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乙女ゲー異世界転生者(♂)は悪役令嬢を救いたい   その三百九十六

 エントリーナンバー9番、それは……優花じゃなくて、凜香さんの番号つまり――――グランプリを取ったのは凜香さんだ!


「おぉ……おお!?」


 凜香さんがグランプリを取った事実を一瞬頭が理解できなかったけど、すぐに大歓声と共に凜香さんがグランプリを取ったことが改めて頭に入ってきて、思わず素に戻ってぐっと拳を握って喜んでしまった。


 今日一番の歓声と拍手が凜香さんへと向けられ、凜香さんは……。


「ふふん! だからわたくしが優勝と言ったでしょう! おーほっほっほっ!」


 今までで一番気持ち良さそうに高笑いしていた。


 本当に自分がグランプリを取るとちゃんと信じていたらしく、グランプリを取っても相変わらずの反応、さすが凜香さんだ。


 良かった……本当に良かった……。


 きっと凜香さん本人よりも凜香さんがグランプリを取ることを望んでいた優花としては最高の結果。


 グランプリの発表の後、優花が二位だったことが発表され応援に感謝の気持ちで手を振ると大きな歓声が起きた。こんなに歓声を浴びることはきっともう二度とないだろう。

 二度とないこの光景を目に焼き付けていると、


『それでは、白桜学院男女混合ミスコン、グランプリトロフィーの授与です!』


 大きな……本当に大きなトロフィーが運ばれてきた。


「でっけぇ……」

「……いや、これはでかすぎないか?」


 竜二も翡翠が横で引くほどのサイズ感。当然相当お金もかかってそうだけど……。


「ふっ、余った予算のほとんどはここに使ったと言っても過言ではない」


 なんか深雪先輩がドヤ顔で眼鏡をクイッとしているのは置いておいて、重量も結構ありそうだけど、これ凜香さん一人で持てるんだろうか?


 台車に乗せて運ばれてきたトロフィーを持って凜香さんへと渡す役は三日月先生。


「おめでとうございます、虚空院君」

「ふふん! 当然の結果ですわね!」


 最後まで凜香さんは凜香さんらしく、自信満々、満面の笑みでトロフィーを受け取った……ものの、


「ちょっ!」


 さすがの凜香さんでもトロフィーが重過ぎてフラフラしているので、慌てて優花が支える。


「これ重すぎますわ。ゆうかさん、そのまま持っててくださいまし」

「ええと、はい。それはいいんですけど……」


 何か結果的に二人で持っている感じになってしまっているのはいいんだろうか。


「て……てぇてぇ」

「最高っすわ……」

「これが見たかった……」


 二人でトロフィーを持つ優花達を見て、観客の中にはなんか静かに合掌したり、涙を流している人までいた。


 最後にもう一度一際大きい拍手と共に男女混合ミスコンの結果発表は終了。拍手に包まれながら、優花達出場者はステージから裏へと移動する。


「それにしても本当に重いですわねこれ」

「台車に乗せて戻った方が良いんじゃ……」

「嫌ですわ! 最後まで自分で持ちますの!」


 よっぽど嬉しかったのか、自分で持って戻りたいという凜香さんに合わせて、みんなから少し遅れて二人でトロフィーを持って戻ることに。


「あの……凜香さん」


 図らずも凜香さんと二人きりの状況になったことに感謝しながら、優花はトロフィーを持ったまま凜香さんの方を見る。


「グランプリ、本当におめでとうございます!」


 凜香さんと優花のポイントの差は1ポイント。凜香さんと一緒に投票に行ったあの時、自分に票を入れるんじゃなくてちゃんと凜香さんに票を入れておいて良かったと心の底から思う。


 あの時凜香さんは凜香さん自身に入れていたと考えれば、あの時一緒に行ってなかったら獲得したポイントの結果は逆転していて優花がグランプリだった可能性もあったことを思えば、本当にギリギリだった。

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