乙女ゲー異世界転生者(♂)は悪役令嬢を救いたい その三百九十三
「……」
いつもと変わらないはずの真央の笑顔を見て感じたのは違和感。
たしかに生徒会企画がこの男女混合ミスコンに決まったのは優花の影響が大きいけど、メインで頑張ってくれたのは深雪先輩。優花自身はそんなに感謝されることはしてないので真央の感謝が優花にだけ向けられた感謝なのは変だ。
それに何でだろう。もうこの世界に来てから何度も見て見慣れたはずの真央の笑顔なのに、今初めて見たような気がするのは……。
「ゆうかくん? どうしたの?」
「……いえ、何でもありません」
心配そうにこっちを見る真央は、間違いなくいつもの真央。
……もしかしたらこの大事なミスコンの結果発表に緊張して神経過敏にでもなってるのかもしれない。
『この二日間にわたって繰り広げられてきた熱い白桜学院男女混合ミスコンもついに結果発表です! 学内だけだった一日目よりも本日の二日目は投票される方の数も倍以上に増えており、どの出場者も十分グランプリが狙えると思われます!』
今はミスコンに集中しないと。
まあ集中してもしなくても結果は変わらないけど、グランプリの結果次第でこれからの行動方針、凜香さんへの接し方すら変わる可能性があるんだから超重要、集中しないわけにはいかない。
『それでは早速ではありますが、順位発表に移らせていただきます。まず第十一位から』
いきなりグランプリを発表するんじゃなくて、下位からの発表なのは心の準備ができるので助かる。
十一位からエントリーナンバーを呼ばれた人が前に一歩出る。
『それではエントリーナンバー……』
十一位と十位で呼ばれたエントリーナンバーは3と4。どちらも優花の知らない女子二人で、続く第九位に選ばれたのは、
『第九位は……とてもユニークな一人漫才を披露してくれたこの人! エントリーナンバー5番!』
エントリーナンバー5番のボスゴリさんが前に出ると、笑いと共に大きな拍手が生まれる。
人が笑ってくれることが本当に嬉しいんだろう、ボスゴリさんはすごく嬉しそうに笑顔で手を振っていた。
『それでは続く第八位は……歳年長なのに最年少にしか見えないこの人! エントリーナンバー2番!』
「やっぱり逆転はねーかあ」
前に出てひらひらと長すぎてダボダボの余っている白衣の袖を振るのは奈央先生。
これで残っているのはマジハイに関係しているメンバーと……あとは楓だけ。
主人公、ライバル、マジハイの攻略キャラと残っているメンバーの人気があるのは正直もうマジハイの世界だからしょうがない。
次の第七位の注目ポイントは、マジハイと無関係の楓がこのマジハイ関連メンバーに勝っているかどうかだろう。
『第七位は……王道アイドル路線、歌と踊りで観客を魅了したこの人! エントリーナンバー1番!』
一瞬、顔を伏せて下を向いた楓だけど、すぐに笑顔で顔を上げて両手を大きく振っていた。
正直、楓が一分間アピールで見せた歌と踊りはかなりのクオリティだったし、そのアイドル衣装も男子ウケしそうでかなり良かったので、もう少し上の順位もありえると思ってたけどこの順位。
やっぱりこのマジハイ世界では攻略キャラに人気で勝つことはできないってことなんだろう。
まあ魅力がないキャラが攻略キャラになれるはずもないとはいえ、楓のこの結果にやっぱりこの世界がマジハイのゲーム世界だと意識させられた。
『続きまして第六位は……同じ人間業とは思えない超絶アクロバットを披露してくれたエントリーナンバー6番!』
呼ばれて前に出たのは竜二。中間発表と変わらない順位だけど特に不満もなさそう……というか、はやく終わってくれオーラが出てる竜二に思わず苦笑してしまう。




