表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
371/423

乙女ゲー異世界転生者(♂)は悪役令嬢を救いたい   その三百六十二

『みなさん、落ちついてください。アピールタイムは一人一分間と決まっていますので……』


 司会進行の人が止めようとしたものの、全く止まる気配はない。むしろどんどんアンコールの声は大きくなり、やがて会場中がアンコールし始めた。


「おいおいおい、どうするんだこれ」

「やばいっすね……」


 止まらない大きすぎるアンコールの声に、翡翠も竜二も動揺し、


「くっ、想定外の事態だな……」


 深雪先輩もさすがに冷静ではいられず冷や汗をかいているのが見えた。


 もし観客のアンコールにこのまま応じなければ、アンコールの声が止まらないまま無理やり進行することになると思うけれど、そうなってしまえば当然観客はもうまともにアピールタイムを見てはくれないだろうし、男女混合ミスコンは成功とは言えない感じで終わってしまうだろう。

 そして、男女混合ミスコンの失敗の印象は、そのまま文化祭自体の失敗の印象になってしまう。


「なんとかするしかないですね……」


 この文化祭を成功させることを願っている深雪を助けることは、結局凜香さんを助けることにも繋がっている。ここを黙ってやり過ごすことはできない。


「でもどうすれば……」

「こうなったらもう、真央がもう一度歌うしかないんじゃないか?」


 純粋にもう一度真央の歌を聞きたいだけだろうという翡翠の気持ちはおいておくとして、翡翠の言う通り真央がもう一度歌ってしまうのが手っ取り早い解決策ではある。


 ただ、仮にアンコールに応じて真央にもう一度歌わせてしまえば不公平感がでて、他の参加者とそのファンから不満が出てしまう。そうなった場合もまた、男女混合ミスコンの失敗の印象に繋がるだろう。


「一度対応を協議する必要があるかもしれないな……」

「最悪観客が暴走するかもしれないっすからね。一度落ち着かせる意味でもありかもっすね」


 深雪と竜二はとりあえず協議をすると言って時間をおくことで観客を落ち着かせるという考えらしい。


 たしかに悪くない手にも思えるけど、実際協議した結果としてアンコールに応じても、応じなくても、不満には繋がる。協議で何か良い考えが浮かぶ可能性もあるとはいえ、結局は時間稼ぎにしかならないだろうし、その時間稼ぎで印象も悪くなってしまう可能性がある。


 とはいえ、アンコールに応じる以外にこんなに盛り上がってるアンコールを止める方法なんて……。


 もう深雪も協議をするために動き出す。優花に残された残りわずかな時間、答えを求めて高速で思考を巡らせた優花の目が最後に留まったのは……すぐ隣だった。


「な、なんですの?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ