表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
320/423

乙女ゲー異世界転生者(♂)は悪役令嬢を救いたい   その三百十三

「くっ、こんなはずじゃ……!」


 何故か歯がみしている凜香さんに首を傾げつつ、優花は凛香さんの手を引いてそのままファン対応に回る。

 まあよくよく考えてみれば、優勝候補筆頭の真央が楓と一緒にファン対応している以上、凜香さんを一位にするためにはこちらもファン対応をせざるを得ない。


 幸い今の優花の格好はメイド姿、ドレス姿の凜香さんと二人で一緒に居るだけで凜香さんのお嬢様感が更に引き立ち、魅力が増す。こうして一緒にファン対応を続けていれば、必然的に凜香さんの方により多く票が集まるだろう。


「頑張りましょうお嬢様。はい、こっちに立ってくださいね」

「なんで急にそんな呼び方なんですの? って、ちょっと、あまり引っ張らないでください。ああもう、わかりましたから……」


 結局、優花達がファン対応から解放されたのは昼ステージの直前まで。ろくに二人で文化祭を巡ることもできずに、そのまま昼ステージの召集に呼ばれてしまったのだった。


*****


「ふう、ひどい目にあったぜ……」

「ああ。これは見込みが甘かったと言わざるを得ないな……」


 ファン対応が終わり、凜香さんと別れて出場者の控室へと戻ると、既に優花以外の男子メンバーはそろっていた。

 一時的に女装をやめていたメンバーも再びめいさんの手で女装は完了していて後はステージに上がるだけの状態でみんなで何かを話している最中だったらしい。


「ええと、どうかしました?」

「ああ、兄貴! よくご無事で!」

「無事……?」


 話を聞いてみると、女装をやめていた竜二はともかく、深雪と翡翠は別の仕事があって時間がないからと女装姿のまま控室を出たところ……優花達と同様に出待ちをしていたファン達にもみくちゃにされてしまったらしい。


「ふっ……俺様の人気があり過ぎたぜ……」


 女装姿なのにいつも通りに格好つけた翡翠も、明らかに疲れ切っていて、このあとステージに上がるのに大丈夫かとさすがに心配になる。


「奥真の人気はわからんが、たまたま奥真と一緒に外に出たのがまずかったのだろうな……」

「ああ、ファン対応してくれると思われてしまったんですね……」


 二人はそれぞれ仕事があるので、ファン対応はしないつもりだったにもかかわらず、一緒に外に出てしまったせいで、ファン対応してくれると出待ちをしていたファンが勘違いし、そのまま我先にとファンが殺到し二人はそのままもみくちゃにされた……という流れらしい。


 おかげで二人の衣装は一部スペアとして用意していた物と変更になってしまったようで、さすがにもう一度同じことが起こっては困るため、どうしようかと話し合っていたところだったという感じか。


 二人のファンに比べれば、優花と凜香、そして真央と楓の出待ちをしていたファン達が理性的だったのは、優花を除いた全員が女子だったからかもしれない。


「ふう、結局仕事の方は別の者が代わりにやってくれたようだが……これでは外に出られんな」

「ああ、俺様もさすがにもう一度同じ目にあうのはごめんだぜ……」

「まあおれはこの格好で外に出ないんで大丈夫っすけど……」


 疲れ切って椅子に座り込む深雪と翡翠に対し、女装をやめていた竜二とボスゴリさんは無事だったらしい。


「やっぱり外に出るときに女装をやめるしかないような……」


 たくましい巨体に似合わないおどおどとした挙動で小さく手を挙げるボスゴリさんに、首を降ったのは深雪。


「いや、たしかに我々だけならそれでも良いかもしれないが、問題は自分達男子だけのものではないだろう」

「まあ、たしかにそうっすよね。女子達だってファンには囲まれるし、同じような目に合わないとは言い切れないっすよね……」


 竜二の言う通り、女子達だって翡翠と深雪と同じようになる可能性はある。さっきはたまたま大丈夫だっただけかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ