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乙女ゲー異世界転生者(♂)は悪役令嬢を救いたい   その二百六十九

「そ、そうか! 安心したぜ! いや、真央が直接勉強を教えてくれるのが幸せ過ぎてな……」

「あー……そういう」


 優花は基本竜二に教えてもらっているけれど、翡翠は真央から教わっている。


 遠慮なのか、それともプライドの問題なのかはわからないけれど、わからない問題があると一回優花に聞くスタンスだった翡翠だが、どうやら真央に教わっていること自体はうれしかったらしい。


 竜二と淀をくっつける作戦だったはずが、翡翠と真央に良い感じに作用したということか。


「うーん……竜二の方もこれぐらい簡単にいけば良かったんだけどな」

「うっ、あ、兄貴……すんません……」


 自分が原因だという自覚があるのか、翡翠とは反対側、優花の左隣に座る竜二が申し訳なさそうに体を縮こまらせるのを見て、優花はまあ気にするなというようにぽんぽんと頭を叩く。


「まあ本当は翡翠と真央みたいに、直接教えるのが良かったけど、一緒の時間自体は増えただろ? ちょっとは会話とかもあったんじゃないか?」


 真央が今お手洗いに行ったため、今この場に残っているのは男子四人だけ。竜二と淀について口にしても今なら問題はない。


「そっすね……まあ、帰り道にしてるのは、おれが問題を出して淀が答える簡単なテストみたいな感じっすけど」

「なるほど。それはありだな」


 さすがは竜二。好きだと意識したせいで緊張して普通の会話はできないけれど、テスト勉強というテーマでなんとか会話を成立させていたらしい。


「竜二はその調子でとりあえず中間考査までだな」

「うっす。兄貴!」

「おーい。同士達は何の話をしてるんだ?」


 一人会話に入ってこれずに蚊帳の外になっていた翡翠が構ってほしそうに優花の肩をつんつんと突いてきた。


「いやまあ、こっちの話だから気にするな」


 竜二と淀の件は翡翠と真央には言っていない。別にこのまま勉強会をしている分には二人に説明をする必要もないし、信用してないってわけでもないけれど、真央はともかく翡翠には教えたら余計なことをしそうだからだ。


「それより、深雪先輩。黒岩さんの方はどうですか?」

「む。そうだな……。だいぶましにはなってきたが……」


 テーブルを挟んで反対側にすわる深雪は淀に勉強を教える係。付きっきりでわからない部分を丁寧に説明していたけれど、元々勉強が得意じゃない淀の進捗はあんまりだったらしい。

 淀の勉強のレベルが上がれば、先生役を竜二に戻せる可能性もあったけれど、そう都合よくはいかないか。


 結局この日も竜二と淀に進展はなく、ただ優花達のテスト勉強が進んだだけになった。


*****


 朝起きたら寝巻から着替えてまず軽く水で顔を洗って歯を磨く。その後は花恋を起こさないように音を出さないように気をつけながら、筋トレとそして護身術のトレーニング。

 おかげで筋肉ムキムキになったり、強くなったり……はあんまりしていない。ただ日課になっているので、やらないと気持ち悪く感じる程度にはなっている。


 それがおわったら朝食と弁当作り。良い時間になったら花恋を起こして登校。学校で一日授業を受けたら放課後勉強会。帰ったら夕食も作り、食後に落ち着いたらまたトレーニング。それも終わったらようやく本当の自由時間として軽くゲームしたり……疲れてそのまま寝たりする。


 そんな感じの一日を繰り返して一週間。中間考査まではあと数日。竜二と淀の仲の進展は、傍から見ると思ったよりも良い感じになっていた。


 勉強会終わりに二人で帰らせているのが良かったのか、竜二もだんだん淀を好きだと意識することなく普通に話せるようにはなってきたように思える。このまま行けばそう遠くないうちに竜二に告白させても変な心配はしなくても済むだろう。


「同士。最近調子が良いな。さっきも先生に指されまくってたけど全部答えてたしな」

「まあ、勉強会のおかげかな。今までにないぐらい勉強がわかるよ……」


 勉強会で竜二や真央、そして深雪にも勉強を教わった結果、優花の学力は今までにないくらい高まっていた。

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