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乙女ゲー異世界転生者(♂)は悪役令嬢を救いたい   その二百五十三

「真央が赤組のハチマキを外して白組のハチマキをつけた……?」

「どうしても白組からは一人しか見つからなかったみたいっすね。そんで赤組から走るやつが追加されたんすけど、今度は誰が白組として走るかって話になりますよね?」

「それで真央が白組として走ることになったってことか……」

「そうっすね」


 本当なら新しく入った人が白組のチームに入って走るのが一番手っ取り早かっただろうが、今まで敵だったチームの一員として走るのは嫌だろうと真央が気を利かせて自分から白組として走ることを提案したのが容易に想像できる。


「ま、真央が……敵? う、嘘だろ……」


 何か嫌な予感がする……。


 真央が敵チームに入って走ることにショックを受けている翡翠は放っておいて、真央がどのポジションで走るのかを注視していると、新しく白組のチームに入った真央のポジションは……凛香さんと同じアンカーだった。


 これで凛香さんと真央の直接対決の場が設けられてしまったわけだ。


「普通、勝負が決まるアンカーに今まで敵だった八雲の姉御を置かないと思うんすけどね……」


 竜二の意見はもっともだけれど、たぶんこの不自然な流れはマジハイと無関係ではない。かぶりものをしながら走った短距離走はこの世界的にはノーカウントだったのだろう。


 ちなみに最後の競技になる今回は特殊ルール無し。今回こそ何のハンデも無い本気の直接対決になるわけだ。


『大変お待たせいたしました。それではこれより最後の競技、全学年リレーを開始します!』


 アナウンスが流れまずは女子のリレーがスタート。注目すべきはやっぱり凛香さんが走る赤組二年生チームと真央が参加して走る白組二年生チーム。


 スターターピストルの音が響くと同時にスタートした両チームの最初の走者の実力はほぼ互角。最初から最後まで先頭争いを続け、二人目の走者にバトンが渡ったタイミングにわずかな差も無い。


「たぶん今の二人も次の二人も陸上部っすね。バトンの受け渡しもスムーズでしたし」


 竜二も一年生の白組チームそっちのけで、優花と同じ二年生の赤組白組に注目しているらしい。


「バトンの受け渡しか……」


 部活動対抗リレーの時とは違い、今回受け渡しするのはちゃんとしたバトン。スムーズなバトンの受け渡しもリレーの重要な要素。凛香さんと真央の走力はほぼ互角なため、こうしたポイントで差がつくかもしれない。


 両チーム二番目の走者でも差がつかなかったものの、第三走者で白組がわずかにリード。ただ第四走者へのバトンの受け渡しの際にパスミスがあり、リードは帳消し。

 他のチームを大きく置き去りにしながら、再び横に並んだ状態のまま最後の走者である凛香さんと真央の元へ。


「うおおおお! 真央おおお! 頑張れえええ!」


 結局敵のチームであっても真央を応援することにしたらしい翡翠の横に並んで、優花も声を張り上げる。


「凛香さん! ファイトです!」

「兄貴達……熱いっすね!」


 明らかに優花と翡翠だけが他よりも早く、そして一段高いテンションで応援する横で竜二が何だか楽しそうに笑う中、いよいよバトンが二人に渡るタイミング。


 先に走り出したのは真央。手を後ろに向けながら加速しバトンを待つ状態で走る真央に対し、凛香さんはわずかに遅れてスタートした。


「定石通り早めに走り出して加速した八雲の姉御と、前の人の速度を考えて遅めに走り出した虚空院の姉御。ここは勝負所っすよ」

「まおおおおおおおおおお!」

「凛香さん! 頑張れーー!」

「聞いてないっすね……」

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