表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
255/422

乙女ゲー異世界転生者(♂)は悪役令嬢を救いたい   その二百五十

 今回の借り人競争、竜二が最下位を取ったことで全体のポイント的には赤組の勝利がぐっと近づいた気はするけれど……今はそれよりも大事なことがある。


 あ……やっぱり機嫌悪そう……。


 別にお題に忠実にめいさんを指名せずに、凛香さんを指名しておけば良かったと今更思うものの既に後の祭り。

 めいさんと別れて優花達のクラスの待機場所に戻ると、超不機嫌なのが目に見えてわかる凛香さんと、困ったように笑っている真央が居た。


「あ、あの……凛香さん? えっと……」

「話しかけないでください」


 とりあえず恥をかかせてしまったことを謝ろうと声をかけると、凛香さんはぴしゃりとシャットアウト。ぷいとそっぽを向いてしまった。


 完全にやらかしたなー……。


「いや、本当にすいません……」


 凛香さんの機嫌を悪くしないように競技で勝ちたかったのにどうしてこうなった……。


 とりあえずこれ以上はやらかさないよう謝ってから一度撤退。凛香さんから少し距離を取り、頭を抱えたい気分で隅に座ったものの、すぐに次の全体参加の競技が始まってしまった。


「玉入れか……」


 今回の玉入れは各クラスが入れた玉の数がそのまま全体の点数に反映される。仮にここで大差をつけられた場合残りの競技は少なく逆転はできない……のだが、その心配はなさそうだった。


「いや、同士。本当に玉入れかこれ?」


 凛香さんから離れた場所に陣取った優花の隣に来たのは翡翠。そして翡翠が見ている先にあるのは、超長い棒とその上に設置された籠。さらにどういう仕組みか籠は大きく上下したり傾いたりしている。


 たぶんこれが今回の特殊ルールなんだろう。だけど……これ、入るか?


 開始のアナウンスと共に参加者が一斉に球を拾って籠のついている上へと放るけれど……。


「と、届きません!」

「ちょっ、これ高すぎるだろ!」

「あ! 今せっかく一個入ったのに傾いて外に出た!」

「うわあああ!」


 高すぎるうえに動き回る籠に入れるのは至難の技で悪戦苦闘。更に入ったとしても傾くせいで、一度は中に入った玉も外に出て来る始末で阿鼻叫喚の地獄絵図。


 まともに玉が入ったクラスはなく、結果全体で入った玉は赤組が2個、そして白組が3個。結果白組が勝ったものの、広がった点差はわずか一点だけ。


 これで赤組が逆転して勝てるかどうかは最後の競技の全学年リレーの結果にゆだねられることになったけれど……凛香さん相手にやらかした今、全体の勝敗はもうどうでも良いかもしれない。



「はあ……」

「あの、楓と踊っている最中にため息はやめてくださいよ灰島先輩」

「ああ、悪い……」


 玉入れが終わり、最後の全学年リレーの前に皆でダンスの時間。あらかじめ約束していた通り優花は楓と共にクラスから離れて別グループで踊っているが、踊りながらも考えてしまうのは凛香さんのことだった。


「ふふん。どうせ虚空院先輩と踊りたかったんでしょ? 今になって楓と踊る約束をしたことを後悔したって感じですよね?」


 にやりと口元を歪めて不気味に笑う楓に優花は落ち込みつつ首を横に振った。


「いや、違うけど……」

「えっ? 違うんですか?」


 何をそんなに驚いているんだろうこいつは……。


 そもそも今優花達が踊っているのはフォークダンス。クラスから離れて別のグループで踊っているとは言え基本的な部分は変わらない。


 ……つまり何が言いたいかというと、相手が変わるのだ。


「あっ、ちょっ! 灰島先輩!」


 男子は時計回り、女子は反時計回りで相手を変えて踊り続けるため、そもそも同じ相手と踊っている時間は短いのだ。仮に凛香さんと一緒に踊って始めたところで、すぐに別の女子と踊ることになってしまうだろう。


「じゃあな楓。一周したら会おう」

「ちょっと!」


 たぶん楓はフォークダンスの相手が変わることをすっかり忘れてたのだろう。


 あっさりと踊る相手が変わり別の女子と踊る中、優花が自分のクラスの方を見てみると丁度翡翠と真央が踊っているところだった。


 凛香さんは……参加してないのかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ