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乙女ゲー異世界転生者(♂)は悪役令嬢を救いたい   その二百四十五

 笑顔を向けられただけでまた心臓が張り裂けそうになったけど、今はそれよりも凛香さんがこうして素直にお礼を言ってくれるようになった変化が本当に嬉しい。

 これを他の人にもできるようになれば、変な誤解は解けてアイスクイーンなんて呼ばれることもなくなるだろう。


「それと、凛香さん。応援してくれてありがとうございました。おかげで力が出ました」

「……な、何のことだかわかりませんわね」


 ぷいっとそっぽを向いてしまった凛香さんの耳はしっかり赤く染まっている。声に出して応援したのが恥ずかしかったんだろう。


 何だか久しぶりに見た気がする照れ隠しも可愛い凛香さんに癒されつつ自分達のクラスの待機場所へと戻る中で見上げるのは得点板。


 優花達のクラスの勝利は全体の点数にすぐに反映され、全体でも赤組の勝利数が多くなり白組との点差はぐっと縮まった。この後の競技しだいでは逆転も全然あり得る感じ。

 ただ、残りの競技はそれほど多くは無いし、個人で活躍できる競技は次の『借り人競争』で最後だ。


 借り人競争は三学年合同で行われる個人競技。参加者召集のアナウンスが流れ、参加する優花が招集場所に集まると、そこには竜二の姿。


「お、兄貴も参加するんすね!」

「うわ、竜二か……」

「ちょっと兄貴! ひどいっすよ!」


 優花の姿を見つけて嬉しそうに笑う竜二だが、これ以上凛香さんの機嫌を悪くしないためにも赤組の勝利を狙う優花としてはあまり喜ばしくはない。


 竜二の身体能力の高さはそれはもう圧倒的。借り人競争のお題にもよるけれど、よほど難しいお題でもなければ竜二が参加するグループでは竜二が1位になってしまうだろう。

 仮に優花が別グループで一位を取ったとしてもほぼ確定している竜二の1位で相殺されてしまうわけだ。


「いや、逆に一位を取っておかないとポイント差が付く可能性が高いのか?」

「何ぶつぶつ言ってるんですか兄貴。それより兄貴、ほら、あそこに生徒会長も居るっすよ」

「え? あ、ほんとだ」


 竜二の指さす方を見てみると、たしかに深雪が居たが、何かに耐えるようにぐっと拳を握り、目をつぶっている。集中してるんだろうか?


「あ、兄貴。今回の特殊ルールが発表されるみたいっすよ」


 集中している所に声をかけるのも悪いなと思い、話しかけるのを躊躇している内に、アナウンスが流れ始めた。


『お待たせいたしました。それでは今回の借り人競争の特殊ルールを発表します! 今回の特殊ルールは二人三脚です!』

「……二人三脚?」

「ええと、つまり借り人競争のお題で指定された人と二人三脚でゴールに向かうってことっすかね?」


 その後詳細の説明が続き、竜二が口にした内容で大体合っていた。


 まずスタートと同時にお題が書かれた紙に向かって走り、それぞれ中の紙を見てそれを持ったまま指定の人物の元に行き、一緒に走ってくれるように参加を依頼、そこで了承された場合その場で足を二人三脚のように結び、そのままゴールまで二人で走る感じ。


 ちなみにゴールには審判が居て、お題と連れてきた人が合っているか確認し、合っていなかったらやり直しになる。また、そもそも誘った人に参加を断られたら別の人に依頼をするかお題の引き直し、時間制限もあり、タイムオーバーは失格扱いになるらしい。


「なるほど……」

「何がなるほどなんすか兄貴?」

「いや、お題の人を探す時間と、慣れない相手との二人三脚っていう要素があるから誰でも竜二に勝てる可能性はあるなと思ってな」


 そう。いくら竜二でも二人三脚なら力尽くで相手を引っ張るわけにもいかなくなる。これならどれだけ竜二が足が速くてもあまり有利にはならないだろう。


 このルールなら足の速さよりも、どんなお題が来るかと二人三脚で息を合わせることができるかの二点の方がより重要になるだろう。

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