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乙女ゲー異世界転生者(♂)は悪役令嬢を救いたい   その二百四十一

 ため息を吐きたい気分で優花が見上げた先は点数ボード。割とそれどころではなかったために気にしていなかったけれど、気がつけば白組がはっきりとリードしている状況になっていた。


 大縄跳びの段階では白組若干リードといった感じだったけれど、仮装リレーと障害物競争を経てリードは徐々に広がっていたらしい。ここから赤組が逆転するには午後の第二部は頑張らないといけない。


「これ以上凛香さんを不機嫌にしないためにも勝たないとかな……」


 正直今まではどっちが勝っても良いと思っていたけれど、これ以上凛香さんの機嫌を少しでも悪くしないためにもここは頑張りたいところだったけれど……。


「早速、出番なしか……」


 第二部一発目の競技は部活対抗リレー。何の部にも入っていない優花は特にすることがない。


 今回の部活対抗リレーの特殊ルールは部活動のコスチュームを着ること、そして部活動関連の物をバトンの代わりにして走ること。各部当然ながらなるべく小さい物をチョイスしているが、運動部はなるべく大きい荷物を持つように設定されている。

 サッカー部ならサッカーボール、野球部ならバットみたいな感じで運動部が持ちにくい物を持って走るのに対して、文化部は筆とかの小さいものをバトンにして多少のハンデにもなっているのはたぶん計算通りだろう。


 優花を含めてマジハイのメンバーは部活動に入っていないため、参加者で優花の知人は生徒会で参加する深雪とボードゲーム部で参加する楓と……。


「何で混ざってるんだあの人……」


 運動着を着て生徒に混ざって楽し気に待機場所で何か話をしているのは鬼島奈央先生。元々の身長の低さと童顔で全く違和感はない。いや、むしろ中学生ぐらいが混ざっているようにも見えるんだからすごい。

 他の部の顧問は走らないようで、教師で参加するのは奈央先生だけ。ボードゲーム部の人数は顧問の奈央先生を含めてようやく四人なのでたぶん人数が足りなかったからだろう。


『それでは、部活動対抗リレースタートです!』


 スタートのアナウンスが鳴り響き、レースがスタート。


 陸上部を筆頭に運動部がしのぎを削るトップ集団から少し離れて文化部ばかりのグループ。さらにその後ろぐらいにボードゲーム部と生徒会という状況が続き、第一走者と第二走者が走り終わった段階で後ろ二組は更に他のチームとの差ができている。


「お、八手にバトンが回ったな」

「さすがに速いな。アンカーの方が良かったんじゃないか?」


 運動部にも勝るとも劣らない走りで楓が一気に生徒会チームを引き剥がし、バトン代わりのポケットサイズのボードゲームが奈央先生の手に渡る。


「おりゃあああああああ!」


 気合いの雄たけびを上げながら走り始めた奈央先生のスピードは……。


「いや、おっそいな!」

「言ってやるな同士……」


 本当に走っているのか疑いたくなるレベルで足が遅い。気合いはすごいし、必死に足は動かしているんだけど見ているこっちが悲しくなるぐらいに前に進んでいない。


「はあ、はあ……」


 しかも大した距離を走ってないにも関わらずもう息切れまでしている。当然ながら楓が作ったリードはすぐになくなると思ったのだが……。


「いや、深雪先輩もおっそいな!」

「……言ってやるな同士」


 緊張のせいなのか何なのか、いよいよバトンが渡り走り始めた深雪の足もかなり遅い部類だった。それでもさすがに奈央先生よりは早くどんどん距離が縮まっていく。


「頑張れー!」

「会長頑張ってー!」


 運動部どころか文化部まで走り終わる中、残ったボードゲーム部チームと生徒会チームのレースを皆が応援する中、ようやく深雪と奈央先生が横に並んだ。


 ゴールまであとわずかとは言え、楓が作った差を埋めた深雪の勝ちだろうと思った優花だが……。


『ボードゲーム部ゴール! 最下位は生徒会チームです!』


 最後の最後、深雪がつまずいて減速した隙をついて奈央先生がゴール。ボードゲーム部が勝った形になった。


「……今、深雪先輩わざとつまずかなかったか?」

「そうか? 俺様は気が付かなかったけどな……」


 最後、優花には深雪がわざとつまづいたように見えた。それはつまり深雪が奈央先生に勝ちを譲ったということ。


 真面目が人の形を取っているような深雪が、何でわざと手を抜いて負けるような真似をするはずがないので、見間違いだった可能性もあるけれど、どうにも引っかかる。

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