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乙女ゲー異世界転生者(♂)は悪役令嬢を救いたい   その二百三十九

「この後楓と一緒に昼食べる約束してるんだけど、翡翠と四五郎さんも一緒に食べるか?」

「お、いいのか同士? 珍しいな同士から誘ってくれるなんて!」

「いや、まあ、たまにはな……」


 正直な所、楓と二人きりで食事をするのはさすがに気まずいので誘ったのだが、翡翠はそんな優花の事情は露知らず喜んでいる。


 何はともあれこれで四人。他の知り合いは皆家族が来てると思うので、これ以上は誘わなくても良いだろう……と思ったのだが。


「兄貴! おれと淀も一緒に食います!」

「あ、私も良いかな? 今日お母さん達来てないんだ」

「も、もちろんだぜ真央! なあ、同士!」


 優花達の話を聞いていた竜二と淀、そして真央も一緒に食べるらしい。真央も一緒に食べると聞いてはしゃぐ翡翠は放っておいて、問題は竜二。


「一緒に食べるのはいいんだけど、竜二はどうしてここに居るんだ?」


 そう。ここは優花達二年生の教室棟。たまたまこんな所に居るわけも無く、何か用事があったのは明白だ。


「いや、兄貴と一緒に飯食おうと思って誘いに来たんすよ!」

「あ、なんだ。そうなのか」


 元々竜二は一緒にお昼を食べるつもりで優花の元に来たらしい。竜二と淀の所の家族も来てないんだろうか?


 まあこれで一緒に食べるのは七人。これだけ居ればそれなりに広く場所を取らないといけないなと思っていると……。


「…………」


 ちらちらとこっちを見る凛香さんと目が合った。


 コスプレリレーの時のコスプレと順位のせいで落ち込んでいるんじゃないかと思ったけれど、そんな感じは無い。あの視線ともどかしそうな表情から察するに凛香さんも一緒にお昼を食べたいと思ってくれているのだろう。


「あの、り、りんっ……凛香さんも一緒にどうですか? もちろんめいさんも一緒に」


 凛香さんに話しかけるだけで、再び心臓が荒れ狂いだしたせいで少し噛んだけれど、何とか誘うことに成功すると、凛香さんは一瞬嬉しそうな目をした後、ぷいと横を向いた。


「ま、まあ? ゆうかさんがどうしてもと言うのでしたらご一緒してあげても良いですわ」


 うーん……相変わらずだなあ。素直にうんと言えないところがまた愛らしい。


***


「……で? これはどういうことですか灰島先輩」


 頬を引きつらせこちらを睨む楓の顔が怖い。


「いや、二人で食べるのもなんだなと思って翡翠を誘ったんだけど……気がついたらこうなってた。悪い……」


 優花と楓に優花が誘った翡翠とその父の四五郎さん。その場に居た竜二と淀、そして真央が加わり、凛香さんとめいさんも参加。更にここに来るまでにたまたま会った深雪先輩に奈央先生までが一緒に食事を取ることになり、合計で十一人まで昼食のメンバーは増えていた。


 マジハイに関係する人は昴先生以外は全員居るのは偶然じゃない。たぶん、真央が居るからだ。


 憶測に過ぎないが、今回の体育祭が特殊なルールを追加した変な体育祭になったせいで、本来であればほぼ確実に発生するはずの真央と攻略キャラクターのイベントが未だに発生していないために、全キャラの好感度を上げずにフラグも立っていないというマジハイでは慎重に狙わないと成立しない特殊な状況下で発生する昼食イベントが発生しているのだろう。


 ……コンプを目指す際に一番苦労した共通スチル最難関のイベントが今こうして目の前に広がっているわけだけれど、その感動は特にない。

 このイベントでは想いの欠片は出ないので、特に攻略等の心配も無いし、優花にとっては単純に仲が良い皆で食事をしているだけに過ぎないからだろう。


「姉さん。教師が生徒と一緒に食事なんて聞いたことが無いんだが……」

「まあまあ、細かいことは気にするなよみーくん。おっ、そのおかずうまそうだな一口くれ!」

「あっ、はい。いいですよ。どうぞ!」

「お、たしかにうまそうっすね。八雲の姉御、おれももらっていいですか? 代わりにブロッコリーあげるんで」

「りゅう……苦手だからって……先輩に押し付けるのは良くない……」

「あ、親父だけソーセージが倍入ってる!」

「ははは、僕としてはもう少し野菜を入れて欲しかったところだけどね……」


 深雪先輩、奈央先生、真央、竜二、淀、翡翠、四五郎が口々に会話し楽しそうに食事をする中、優花の隣、楓とは反対側に座る凛香さんとその隣に座るめいさんだけ何故か無言で怖い。また何か知らない内に機嫌を損ねるようなことをしてしまっただろうか?

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