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乙女ゲー異世界転生者(♂)は悪役令嬢を救いたい   その二百三十七

「み、深雪先輩」

「生徒会長!」


 鋭い目つきで睨む深雪の表情は、今まで見たことがない本気で怒っているような表情。


 深雪の気迫にビビって男子の手の拘束が緩んだ隙に手を素早く抜き取り男子から離れ距離を取ると、深雪が優花を背に庇うように前に立った。


「ま、まさか! あなたの好きな人って生徒会長なんですか!」


 ……何をとんでもない勘違いをしているんだろうこいつは。


 いや、優花の女装を無視して優花の発言と状況的にはそう思っても仕方がないのか。……なんだか頭が痛くなってきた。


「何を話していたのかは知らないが、嫌がる相手の腕を無理やりつかむのは感心しないな」

「い、いや、おれは……」

「見た所、特に着替えもなさそうだ。ここは更衣室、用が無いならすぐに戻るべきだ。まだ体育祭は続いているからな」

「くっ……」


 くやしそうな顔をしたと思うと男子は走って更衣室を出ていってしまった。


 とりあえず一安心と胸をなでおろしかけた優花だが、そこではたと気付く。


「あ……勘違いさせたままだ」


 後々厄介なことにならないといいけど……。


「ふう、大丈夫だったか灰島」


 緊張を解き、いつも通りくいっと少しずれた眼鏡を直す深雪は、よく見ればこめかみあたりにうっすらと汗をかいている。たぶん男子の出方次第では荒事になっていた緊張からだろう。


「すみません、深雪先輩。助かりました」

「いや、女装した男子への危険を考慮していなかった自分のミスだ。怖い思いさせてすまなかったな」

「いやいや、そんな危険は本来ありませんから!」


 そう、あの男子がちょっと変な人だっただけだ。


「む……そういうものか?」

「そういうものです。それよりもどうして来てくれたんですか?」


 今思えばドアを開けた段階で深雪は既に中の様子を知っていたように思える。


 深雪の登場のおかげで荒事にはならずに済んだが、タイミングの良すぎる登場に当然疑問は残る。


「ああ、それなら八手のおかげだ」


 深雪の口から出たのは意外な名前。


 なんで楓が……。


 割とついさっき喧嘩したばかりだし、そもそも敵視している優花を理由も無しに助けるようなことはしないだろう。もしかしたら、何かを企んでいる可能性も……。


「たまたま近くを通った時に八手が声をかけてきてな。灰島が危ないから助けに行ってくれと言われてな……」

「そ、そうですか。とにかく助かりました。本当にありがとうございました」

「ふっ、律儀だな。……まあ、その礼は素直に受け取っておこう。それでは自分はもう行く」


 ぺこぺこと頭を下げて深雪を見送った優花は、そこでウィッグを外し――――。



「ふう……」


 ワンピースとウィッグをかごに戻し運動着に戻った優花は、今回は記憶がしっかりと残っていた。


「帰りたいな……」


 思い返せば自分が女装をしていたと思われる時は何度かあるものの、今まではそれをはっきりと思い出せはしなかった。


 しかし今回は思い出すと頭が痛くなるものの、それでもしっかりと思い出せてしまうのは、徐々に女装に慣れてきてしまったからか、それとも大衆の前で女装で出るという辱めを受けたからか、凛香さんの仮装姿を忘れないためか、それともまさかの本気の告白をされるという事態のせいか、その全部か。


 頭痛を堪えつつグラウンドに戻った優花は、女装していた時のように視線が集まるんじゃないかと内心少しびびっていたものの、その心配は無くいつも通り特に誰からも見られている感じはない。


 ……いや、訂正、一人だけ優花を見ている人物が居た。


「さっきは助かったよ、ありがとう楓」

「……灰島先輩が楓にお礼を言うなんて意外ですね?」


 素直にお礼を言う優花に警戒の目を向ける楓は、やっぱり相変わらず優花を敵視はしているらしい。


「別に、世話になったらお礼を言うのは当たり前だろ?」

「ふーん……まあいいです。それよりも当然対価はもらえますよね?」

「…………」


 やっぱり裏があったか……。いや、それでこそ楓って感じだけれど、少しだけ実は良いやつなのかと思ってしまった優花がバカだった。

最近はまっているもの→某百満天のお嬢様。


面白すぎて何回も見てるせいで凛香さんのキャラが引っ張られそうですわ……。

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