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乙女ゲー異世界転生者(♂)は悪役令嬢を救いたい   その二百三十三

 着替えた運動服は優花が更衣室ボックスを出て走り出した後すぐに更衣室へと運ばれているので、普通ならこのまま更衣室へと戻って着替えをしてから凛香さんのレースを見る流れではある。


 まず間違いなく翡翠は今更衣室で着替えをしている頃だろうし、優花もすぐに着替えをしたいところではあるのだけれど、それをしているとたぶん女子のコスプレリレーのスタートに間に合わない。


「仕方ありませんね……」


 男子組のコスプレから、大体女子組のコスプレがどうなるかも予想はできてきた気もするけれど、凛香さんがどんなコスプレをするのかはやっぱり気になるところ。わずかでも見逃す可能性があるのなら、今はまだ着替えに更衣室に向かうわけにはいかない。


 優花と同じように着替えるかリタイヤかで葛藤していたと思われる他のチームの男子達は、ちゃんと着替えて出てきたのが一組、残り二組は女装に耐えられずリタイヤしてレースは終了。すぐに女子のレースの準備が始まった。


 準備と言っても更衣室ボックスの中の衣装を交換し、走者の順番をくじ引きで決めるだけ。着替えに戻っていたら凛香さんの走りを見逃す可能性が高かったので戻らなくて正解だったわけだけれど、ここで問題が一つ。


「うーん。どこで見るのが正解なんでしょう……」


 未だに感じる周囲からの視線は、凛香さんのレースが迫っている今だけは気にならない。……と言うか気にしている場合じゃない。


「近くで見るのが理想ですけど……まあ無理ですよね……」


 観客席はクラス毎に場所が決まっている。優花達のクラスの場所は残念なことに更衣室ボックスが置かれる場所よりも手前の位置で、コスプレした凛香さんが走る姿を見るのには適さない。


 ちなみに、翡翠は既に体操服に着替えて別のクラスに入り込んでいる。別のクラスの女子からの人気も高い翡翠ならではのやり方で、優花はとても真似できない。


「うーん……となると……」


 あと近くからレースを見られるのは保護者席。今の格好なら、保護者席に入ってもそれほど違和感は無いかもしれない。悩みながら視線を保護者席に向けると……。


「あ、めいさん」


 保護者席近くに確保されている撮影スペース。さすがは白桜学院、テレビの撮影かと思うレベルのカメラがずらっと並んでいる内の一台にめいさんの姿があった。

 めいさんの姿を見つけると同時、向こうも優花の視線に気が付いたようで、ちょいちょいとめいさんが手招きしてきた。


「めいさん、やっぱり来てたんですね」

「ええ。お嬢様の姿を永久保存しておかないといけませんからね」


 挨拶を済ませてめいさんの横に並ぶと、さすがはめいさん。コスプレした凛香さんが出て来る位置と走る位置を完璧に撮れるまさに絶好の位置取り。丁度良いのでここから凛香さんの応援をすることに決めた。


「そう言えば、愛香さんと涙さんは来てないんですか?」

「ええ。旦那様も奥様も忙しい方ですので……」

「そうですか……」


 涙さんはともかく、お母さんである愛香さんのことが大好きな凛香さんからしたら、来てもらえなかったのは残念だろうし、凛香さんのことが大好きな愛香さんも来られなくて残念だったろう。


 優花としてもまた二人に会いたい気持ちはあるけれど、マジハイでは凛香さんの両親が出てくるのは凛香さんのバッドエンドに関連した時だけであることを考えると、会えなくて正解だったかもしれない。


「それで、めいさん。凛香さんが出場したかぶりものして走った短距離走ですけど……」

「もちろんばっちり撮れてます」

「良かった! その映像後で是非見せてください!」


 できればスマホに保存までさせてもらいたいところだが、さすがにそこまでするのは気持ち悪がられるかもしれないので自重する。


「ええ。それとゆうか君もばっちり撮ってますからね」

「いや、それは消してもらいたいくらいですけど……」


 そして、できれば皆の記憶からも消し去ってしまいたい。


『はい。それでは続きましてリレーの女子の部です。どんなコスプ……仮装が飛び出すのかにご期待ください』


 めいさんと少し話している間に準備ができたようで、いよいよ女子のリレーが始まるアナウンスが流れた。


「今コスプレって言いかけましたね……」

いつの間にか実装されていたいいね機能をオンにしてみました! 気が向いたらいいねしていただけると嬉しいです。

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