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乙女ゲー異世界転生者(♂)は悪役令嬢を救いたい   その二百二十三

「いや、なんで水着……」


 9月も半ば、そろそろ暑さも去り際、秋に向けて涼しくなった季節。外を歩くのもTシャツ一枚だと肌寒いと感じる日もあるくらいなのに…………優花達の前に用意されているのはサイズやデザイン等様々なタイプの水着だった。


 ……何で水着で走らないといけないんだろうか。


 よく見れば中には中々にきわどいブーメランタイプのものや、女子用に見えるものまである。女子のかぶりものを面白いとか言っている場合じゃなかった。……たぶん体育祭実行委員会がおかしいんだろう。


「ほら同士! はやく着替えないとそろそろ競技始まるぜ!」

「お、おお……」


 優花同様事前に水着で走らされることなんて聞いていなかったはずの翡翠は、既に水着に着替え始めている。


 ……どうでもいいけれど、こいつは水着で走らされることに疑問を感じないんだろうか。


 無数に用意された水着を前に悩みながら、軽く周囲を確認してみると大体の人がトランクスタイプを選んでいる。ただ、中には肌の露出が恥ずかしいのか全身を覆うウェットスーツを着ているやつや、ブーメランタイプを着る猛者もいる。


 ちなみに翡翠は緑のぴっちりとしたスポーツタイプ。走ることだけを考えるのならたしかにスポーツタイプの方が機能性は良さそうだけれど、さすがにぴっちりしすぎなのでやめておく。


 ウケに走る必要も無いので、とりあえず無難に青のトランクスタイプを選ぶことにした。


 既に女子の短距離走は終わり、続いて男子の短距離走開始のアナウンス。着替えを終えて更衣室を出て靴を履いて外に出ると、案の定少し寒い。


 水着を着て現れた男子達に会場は女子達を中心に大盛り上がり。おまけに一番最初に走るトップバッターからブーメランタイプの水着を着た猛者が出場し、会場からは笑い声が聞こえて来た。


 この企画を考えた体育祭実行委員会の狙い通りと言ったところか。普段は紳士、淑女を目指して品位に欠ける行動はしないように言っている先生も多いのに、なんでこんな時だけ寛容なんだろう。


「はあ……」


 凛香さんが走る時はちゃんと楽しんでいた癖に、自分が走る番になると途端に嫌になってため息が出るのだから我ながら勝手だ。


 凛香さんと真央が一緒に走ったように、優花も翡翠と一緒の組で走るせいで隣には翡翠。


「頑張ろうぜ同士! 赤組を勝たせないといけないからな!」


 ため息を吐く優花の背中を叩きながら、翡翠がぐっと親指を立てた。


「はあ……」

「いや、なんでそこでため息を吐くんだ」

「お前とか竜二とかはいいんだろうけどなあ……」


 言いながら自分の体を見下すと、めいさんに教わった護身術の練習を続けているおかげで以前よりはましになったとは言えまだまだ割れているとは言えない腹筋。……細身ながらしっかりと割れた腹筋を見せる翡翠の横に並びたくはない。

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