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乙女ゲー異世界転生者(♂)は悪役令嬢を救いたい   その二百十

「えーっと、つまりお兄ちゃんはゲームに出てくる女の子のことが好きになっちゃったんだね?」

「いや、俺がじゃなくて、友達がね! あくまで友達の話だから!」


 実際はもっと複雑な事情があるけれど、まさか花恋にマジハイとこの世界のことを詳しく説明するわけにもいかない。一先ず話を簡単にするためにゲームのキャラクターに恋しちゃった友達の話……ということにしておいたところ、花恋が胡乱げな目で見てきた。


「えっ? お兄ちゃんに友達なんて居たっけ?」


 たしかに花恋の言う通り友達はあんまりいないけど……地味にひどいことを言うなこの妹。


「いやほら、竜二とか翡翠は友達だから……」

「うん。でもその二人はそんなこと言いそうにないよね?」


 たしかに、言いそうにない。


「あー……ほら! 人には言いたくない秘密の一つや二つあるものだろ?」

「ふーん。まあいいけどね」


 全然信じて無さそうな花恋だが、とりあえずは納得してくれたらしい。これでようやく話が進められる。


「それで、花恋はどう思う?」

「んー、どう思うって言われてもなあ……」


 どうやら真剣に考えてくれるらしい。腕を組み、むむむと唸る花恋の答えが出るのを静かに待つ。


「そうだね、そういう人も居るよね! って感じかなあ」


 しばらく考えていた花恋の結論は、思ったよりもだいぶシンプルな内容だった。


「えーっと……それだけ?」

「それだけって?」

「いや、ほら。色々あるだろ? だから……あー……変とか気持ち悪いとか……正直引くとかさ」


 優花が花恋に言われるだろうなと覚悟していたセリフを口にすると、花恋は小首を傾げた。


「えー? 二次元のキャラクターに恋するのなんて普通にあると思うけど?」

「えっ? そうなの?」


 花恋の意外な意見に優花が目を丸くすると、花恋はびしっと指を突き付けてきた。


「そうだよ。それに二次元のキャラクターと結婚だってしちゃう時代なんだよ? わたしに言わせれば『好き』とか『恋した』ぐらいじゃ、まだまだだね!」

「そ、そうか……」


 それじゃあ凛香さんを異性として好きになるのも別に変じゃない……のか?


 自分の価値観も、花恋の価値観も一般的だなんて思ってはいないけれど、とりあえず花恋にとっては今の優花の心の葛藤は無駄なものらしい。


「お兄ちゃん」

「ん? どうした花恋?」

「二次元のキャラクターに恋するのもそれはそれで良いと思うけど、ちゃんと現実の女の子のことも見ようね?」


 うん。やっぱり完全に今の話が友達の話なんて信じて無かったなこいつ。


 花恋の中ではもう、今の話は全て優花のことになっているらしい。


 そして二次元のキャラクターに恋するのは普通とか言っていた癖に、最後は現実を見ろとちゃんと諭してくるのやめてほしい。


「はー、やれやれだよ。これは凛香お姉ちゃんに相談かなあ……」


 何かぶつぶつとつぶやきながら肩をすくめてリビングを出ていく花恋の背中を見送り一人になった後、優花はスマホを手に取った。

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