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乙女ゲー異世界転生者(♂)は悪役令嬢を救いたい   その二百九

「はあ……」


 ため息と共に急にやってきた疲れから目を閉じる。


「はっはっはっ、それは仕方ないよ翡翠。同士くんと僕はマブダチだからね」

「マブ……?」

「ああ、伝わらないか……ジェネレーションギャップとは悲しいものだね……」

「えーっと……親友みたいな感じか」

「まあその認識で大体合ってるかな。まあ、細かく言うと少し違うらしいけどね」

「へー……」


 なんだかすごく疲れた……。


 四五郎と翡翠の割とどうでも良い会話を聞きながら優花はそのまま眠ってしまった。



*****


 結局四五郎さんに家まで送ってもらい翌日は休日。


「にははっ! お兄ちゃん朝だよー。……あれ? もう起きてたんだ」

「うん、おはよう花恋」


 昨日の夜家に帰った後ぐらいにめいさんから連絡が来て、しばらく執事の仕事はお休みと言われたので今日の予定は何も無い。いつもだったら何も無い日はこうして花恋が起こしに来るまでずっとベッドで寝ているのに今日は起きていたので花恋もびっくりしたみたいだった。


「おはよう……えっと、どしたのお兄ちゃん?」

「ん? 何がだ?」

「なんだか難しい顔してるけど? 何か考え事?」

「あー……」


 いつも通りの顔をしていたはずだけれど、さすがは妹。花恋にはわかってしまうらしい。優花が起きていたのは、花恋が言う通り少し考え事をしていたからだった。


「よくわかんないけど。とりあえず朝ごはん食べようお兄ちゃん! パン焼いたからさ!」

「ああ、うん」


 着替えを済ませリビングに移動し、花恋が用意してくれていたバターを塗った後に焼いたパンを食べ、牛乳で流し込むように食べる。


「…………」

「…………」


 いつもだったらテレビでもつけたり、二人で話しながら食べるけれど、今日はどっちも喋らず静かな食卓になった。と言うのも優花の考え事はまだ終わっておらず、それを花恋も察してくれたからだ。



「……えーっと、花恋?」


 食事も終わり、椅子に座ったまましばらく動いていなかった優花とは違い、花恋はソファでゴロゴロしながらスマホをいじっていたのだが、優花が声をかけるとひょいと顔を上げた。


「んー? どしたの? 考え事終わったの?」

「いや、終わってはないんだけど……」


 優花がずっと考えていたのは……凛香さんのこと。いや、正確には昨日翡翠との会話で気が付いてしまった自分の凛香さんへの好意……異性としての好意についてだ。


 まず最初にこの世界に来て優花が凛香を助けたかったのは、凛香がマジハイで好きなキャラクターだったからだ。そしてこの『好き』は異性としての好きじゃない。言うなれば『推し』の幸せを応援したいファンみたいな感じだろう。


 しかし、昨日の翡翠との会話で不意に引きずり出されたのは、自分が凛香さんを異性として好きらしいということ。


 この世界は複数のルールが存在するゲームだというのが今の優花の結論だが、そうなると当然凛香さんを含む全てのマジハイの登場人物はキャラクター。しかし、ゲーム内の優花にとっては目の前の世界は現実なわけで……。


 マジハイの登場人物達をキャラクターとしてとらえた方が良いと考えている自分と、現実に生きる一人の人として考えた方が良いと思っている自分が混在している今、凛香さんは半分キャラクターで半分人間。


 凛香さんは目の前に現実に居る女の子なので優花のこの気持ちは何もおかしくはないのか、それともマジハイのキャラクターである凛香さんを異性として好きになるのは、漫画のキャラに本気で恋してしまうような変と言われてしまうようなことなのか……考えても考えても答えが出ない。


「こほん、えっとだな、これは友達の話なんだけど……」

「んー?」


 とりあえず、直接自分の話をするのは恥ずかしいので友達の話ということにして花恋の意見を聞いてみることにした。

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