表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
209/423

乙女ゲー異世界転生者(♂)は悪役令嬢を救いたい   その二百四

「この場には居ませんが、このサプライズ誕生日パーティーを提案したのは翡翠くんのお父さんの四五郎さんなので、是非後でお父さんにもお礼を言ってあげてください」

「そうだったのか、皆も本当にありがとう。俺様は今……すごく幸せだ」


 翡翠からの素直な感謝の言葉に拍手が巻き起こる。


「そうか。それは……本当に良かったな」


 マイクを離しつぶやくように言った言葉は翡翠の耳にはきっと届いてはいないだろう。


 もう良い時間ということで、そのまま誕生日パーティーは終了。


 結局四五郎さんが来なかったのは、未だに女子達に囲まれているから……というわけではさすがにないだろう。もしかしたら初めから自分は準備だけで参加せず、翡翠の友人だけのパーティーにするつもりだったのかもしれない。まあ四五郎さんは後で家で翡翠を祝うこともできるので別に良いだろう。


「坊ちゃま。お迎えに上がりました」

「……ありがとうございます。八雲と八手、お前たちは家の方向が同じだからな。送って行こう」


 家でお抱えの運転手らしい人物が迎えに来た深雪が真央と楓を連れて先に帰る。


「お嬢様、お待たせいたしました」

「ありがとう、めい。それじゃあゆうかさん。わたくし達は先に帰りますけれど、本当に送っていかなくて良いんですの?」

「ええ、大丈夫です。さすがに翡翠を一人で帰らせるわけにはいかないですから」


 続いてめいさんが迎えに来て凛香さんが花恋と竜二を連れて帰っていく。ちなみにまだプレゼントを渡していなかった真央、楓、花恋はちゃんと翡翠へとプレゼントを渡してから帰っていった。


 皆を見送った後は、四五郎さんの発案とは言え無理にお店を開けてもらっていたお店の人達にお礼を言ってから店を出る。



「同士? この店のオーナーと知り合いだったのか? 顔を見て驚いてただろ?」

「あー……うん、まあ。知り合いと言うか……うーん……」


 お礼を言う際オーナーだと言う人も姿を見せたのだが、その人物というのが翡翠の母の真潮がやっているあの四五郎さんグッズだらけの異空間と言うべき喫茶店で優花が接客した年配の女性だったのだ。


 たしかに花恋が『オーナーは四五郎さんの大ファンで、四五郎さんが頼んだら店を開けてくれた』なんて言ってたことを思い出して今更ながら納得する。真潮さんのあの喫茶店に通うコアな四五郎さんファンなら、四五郎さんが頼めば多少の無茶は聞いてくれるだろう。


「あの人真潮さんのお店にお客さんとして来てたんだよ。それで少し喋ったことがあったって感じかな……」

「あー……」


 真潮さんのお店のお客さんと聞いて、翡翠もオーナーがコアな四五郎さんファンだとすぐに理解できたのだろう。四五郎さん関係の話はあまりしたくないのか、それ以上深くは聞いてこなかった。


 さてと……。


 無事に翡翠の誕生日パーティーも終わり、今日の本題は実はこれから。


 さすがにパーティーの主役を一人で帰らせるわけにはいかないと言って凛香さん達を送り出したものの、それは半分本音で半分は建前。優花の目的は誕生日パーティーの後に翡翠と二人で話をすることで同じ人物から想いの欠片が二つ入手できるのか確認すること。


 翡翠の苦悩を知ったことで、翡翠をゲームのキャラではなく一人の人間として見ることができるようになったとは言え、優花がこの世界で最も優先するべきなのはやっぱり凛香さんを救うこと。


 翡翠には悪いけれど、ここは翡翠をゲームのキャラクターとして攻略をさせてもらう。


「あー……翡翠?」

「ん? どうした同士?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ