出会い
クラウンフィールド・ソベルバレンタインです。
楽しんでいただけますと幸いです。
「ごっ、ご主人様!大変です」
赤髪の少女は瞼に泪を浮かべながら云った。
彼女の名前はアレース。小柄な彼女は俺の腕に抱きついた。
「なあに、この程度の問題なんて問題の範疇に所属できない」
そして俺は右手に持ったスーパールブリカントを持ち、敵に向かって放った。
すると敵は、生まれたばかりの小鹿のように足を揺ら揺らと揺らめかせ、地面に体をたたきつける形となった。
「き、貴様何を使った」
敵は擦れそうな声で俺たちに泣き言を云った。
「うーんそうだなぁ、お前のような低能には理解できない案件さ」
「さすがは私のご主人様です!」
※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
俺の名前は夏日星ヒカル。
俺がこの世界に来たのは1年ほど前のことであった。自転車で高校から帰宅していた俺は途中の踏切を無理して渡ろうとしたら遮断機に自転車の前輪のタイヤが軌道に引っかかり、空中を放物線を描きながら中へ舞うと同時に、単機回送にて時速90キロメートルもの速さで力行する機関車の下敷きになってしまった。
キィーーーーーーーっとブレーキ音が聞こえたと同時にあたりは血潮の海となって俺は肉片となった。
「俺はこれで終わるのか」
そう思った瞬間、目の前が真っ黒になりダークマターが俺の周囲を取り巻いているような幻覚を見たと同時に、先ほど感じたものとは違う浮遊感に襲われて乗り物酔いを強化して補強したかのようなくらくらとした眩暈にぐらぐらっと襲われた。
右へ左へ、上へ下へと体が持っていかれる感覚は今までで経験したような体験で言うと42度の高熱を出した時の感じといっても過言ではない。体中のありとあらゆる神経機関が移乗動作を起こし俺の感覚を奪い取ってくる。
そして、意識を失いかけたその瞬間、
「命の鼓動よ吹き返せ、リカバリー、キュアヒール、リカバリー……」
砂糖を煮詰めてザラメを作っているかのような甘い少女の声が俺の聴覚神経を刺激していると同時に、柔らかさを感じた。
「目をお覚ましになられましたか?」
俺は、赤髪の少女の膝の上で睡眠をとっていた。
「君は、誰だ?」
「私の名前は、マーキュリー・メルクリウス・アレース。アレースと呼んでください」
「アレース、ここはどこの場所なんだ?」
周りは一面の草原の草花に囲まれている。俺はここがもと居た世界ではないことを一瞬で判断できることができた。
「ここはマルス帝国の王都のはずれの場所です」
「どうして俺がこんなところに」
「それはわかりません、ただ、あなたはこの草原で血まみれになって倒れていました。」
少女は長いスカートを翻し一周ぐるりと回った。
「もしかして君が助けてくれたのか」
「わたくしは人のけがを治癒することしか能がありませんので」
「見ず知らずの俺なんかのために?」
「はい、私は捨てられてしまったのです」
少女は今にでも泣きそうな表情をしていた。
「そうなのか、もし俺でよかったら一緒にこの世界で旅をしないか」
「私を拾ってくれるんですか?」
「もちろんだ。君からの恩は拭い切れないくらいありがたいものなんだ」
「そんなこと言ってくださる人は初めてでした」
そして俺たちの冒険が始まった。
ヤンデレ系主人公!?「桜柳絵美里」さんの爆走恋愛論
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