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095 放浪編14 敵艦隊来襲

 グラウル星系に敵勢力が現れたとの連絡があり、緊急出動が発令され僕のもとにハンターがやって来た。

グラウル領軍は僕の配下ということになっているので、ハンターが救援の許可を受けに来たのだ。


「ちょっと待って、次元跳躍門(ゲート)の向こうの星系には通信が送れないから連絡艦でやりとりしているとプリンスに聞いていたんだけど?」


「ああ、それはプリンスの嘘ですね。

次元跳躍門(ゲート)で繋がっている他星系には超次元通信が繋がっていて普通に通信が可能です」


 ハンターが言うには、むしろある条件以外では超次元通信のみしか繋がらない星系があったりするらしい。

その最たるものが地球と繋がっている超ハブ次元跳躍門(ゲート)だそうだ。

そういえば、ビギニ星系の次元跳躍門(ゲート)では、週に1度しか艦のやりとりが出来ないと言っていたな。

それでSFO参加希望の地球人がビギニ星系に運ばれ、契約があけで帰る人で枠が埋まれば契約を結ばなくても帰れないほどシビアなのだと言われていた。

しかし、超次元通信は繋がっているので、SFOの生配信が出来るのだと……。

いろいろプリンスには騙されていたんだな。

じゃあ、姉貴はプリンスに誘拐されているということなのか……。

姉貴と連絡出来ないというのがプリンスの嘘だとすると姉貴の身が心配だ。



 僕たちはグラウル星系救援の艦隊を地球人に募り、出撃のために次元跳躍門(ゲート)の前に集結していた。

特に帝国5等戦功章を持っていない地球人は、帝国二級市民相当の資格を得るためにも参加するようにしていた。

僕もみんなを守るために当然出撃する。


『緊急警報! 次元跳躍門(ゲート)に転移の兆候あり、迎撃準備発令!』


 グラウル領軍と地球有志軍がグラウル星系に救援に向かおうと準備をしていると、なんと惑星アノイの次元跳躍門(ゲート)に転移の兆候が現れた。


『グラウル星系からです。敵艦隊は去った。繰り返す敵艦隊は去った』


 敵襲来の報告をしてきていたのグラウル星系の超次元通信からは、続報で敵艦隊が去ったことが告げられていた。

敵艦隊はグラウル領を強力なセンサーでサーチした後、再び次元跳躍門(ゲート)を通り去って行ったのだと言う。

そしてどうやら今目の前に転移して来ている敵艦隊がその艦隊であるらしい。

次元跳躍門(ゲート)を使おうと集結していた僕達と次元跳躍門(ゲート)を出て来た敵艦隊、まさに衝突の危険の中混戦状態になってしまった。


『レールガンは外した弾体が味方に当たる危険がある。

ミサイルとビームで応戦するんだ!』


 僕はグラウル領軍と地球有志軍に指示を出す。


『若様! 必ず我らが守ってみせます!』


 グラウル領軍司令、ハンターが吠える。

おいおい誰が若様だよ。だが有難い申し出だ。

僕よりRPに不慣れな地球人を守って欲しいと伝える。


 後方ではカプリース領軍と小領地混成軍がアノイ要塞から緊急発進して来る。


『若! お世継ぎを残す前に死なせはしませんぞ!』


「お前もか! 何を言ってるんだノアは!」


 思わず突っ込む。

しかし、敵艦隊とグラウル領軍+地球有志軍が混戦状態で彼らも手が出せない。

艦の数は味方艦4500:敵艦5000とほぼ互角。お互い泥沼の打撃戦になっている。

いつかは決着が付くが、お互いに大被害を受けるだろう。

ここにカプリース領軍と小領地混成軍6000が加われば数では勝てるが、敵味方混在のため誤射の危険があり組織立った戦闘が出来ない。


 何か良い手は無いものか……。僕は頭をフル回転させて思案する。

敵味方混在だから撃てないなら、混在状態を解消する。どうやって?

そうだこれだ!


『グラウル領軍と地球有志軍は次元跳躍門(ゲート)に飛び込め!

そして亜空間で反転、次元跳躍門(ゲート)から戻り敵の後ろにつく。

カプリース領軍と小領地混成軍は僕達が次元跳躍門(ゲート)に入ったら一斉攻撃だ!』


『『『了解した』』』


 僕の号令で全軍が動く。

タイミングは超次元通信――広域通信機S型の機能に最初からあった――を使って送る。

思い込みとは凄いもので、使えないと思っている機能は、今まで全く使われる事がなかったのだ。

突入完了のタイミングと再突入のタイミングを、超次元通信を送受信出来るアノイ要塞経由で行う。


『よし、突入開始する』


 グラウル領軍と地球有志軍が一斉に次元跳躍門(ゲート)へと突入していく。

僕は戦術兵器統合制御システムで、グラウル領軍と地球有志軍の次元跳躍門(ゲート)突入完了を確認し、アノイ要塞に超次元通信を送る。

そしてカプリース領軍と小領地混成軍の斉射完了タイミングをはかり射撃中止命令を出す。


『突入完了。カプリース領軍、小領地混成軍一斉射撃!』


 僕の次元通信をアノイ要塞が中継してカプリース領軍、小領地混成軍全軍に伝える。


『『了解!』』


 僕は敵艦隊が混乱するのを待って攻撃中止命令を出すタイミングを計る。

いよいよこちらが攻撃する番だ。


『カプリース領軍、小領地混成軍射撃中止!』


『『よし、攻撃中止。回避だ!』』


 カプリース領軍と小領地混成軍の艦艇が僕たちの再突入の射線から逃れようと回避行動に入る。


『グラウル領軍、地球有志軍再突入準備。3・2・1・再突入開始! 敵艦を各個撃破せよ』


『了解。グラウル領軍、地球有志軍全軍再突入!』


 僕達は敵の後ろを取るべく次元跳躍門(ゲート)からアノイ星系に飛び出す。

だが敵艦隊は予想外の行動を取る。


『敵艦隊突入して来ます!』


『なんだと!』


 敵艦隊は僕らのアノイ星系突入のタイミングで逆に次元跳躍門(ゲート)に突入して来た。

そしてそのまま去って行った。


「社長、この敵は今までと違わないか? 行動に知性を感じる」


 敵艦隊には何か目的があったとしか思えない。


「グラウル星系が強力なセンサーでサーチされたと言っていただろ。

あれをアノイ星系でもやったんじゃないか?」


 まさか、それが目的? ならここでも。


『コマンダー・サンダース、敵艦は星系をサーチして行ったか?』


『ああ、サーチされたぞ。それが敵の目的か?』


 僕はコマンダー・サンダースと通信を交わし、そのサーチがあったことを確認した。


「どうやら、奴らはアノイ星系(ここ)とグラウル星系で何か探しものをしていたようだね」


晶羅(あきら)! 綾姫(あやめ)ちゃんの艦が!」


 突然通信に菜穂(なほ)さんの声が響く。


『再突入の時に敵艦と接触したみたい』


 どうやら綾姫(あやめ)艦が損傷したらしい。

あの速度重視の綾姫(あやめ)艦が敵艦と当たっただと?

何と運の悪い……。


綾姫(あやめ)の怪我は?」


「それは大丈夫」


「ああ、良かった。艦は直せばいいからな」


 怪我が無くて良かった。

だが、敵艦隊に奇策を奇策で返されてしまった。

敵の正体はいったい何なんだ?

そして探し物は何だ?

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