075 アイドル編51 陰謀
短いです。
SIDE:???
『せっかく俺が苦労してお膳立てしてやったのに失敗したんだってな?』
ボルド伯爵の目の前の仮想スクリーンには王冠のアイコンと『SOUND ONLY』の文字が表示されていた。
そこから男の声だけが流れていた。
「まさかあれほど明確な証拠を上げられて詐欺と証明されるとは思いもよらなかった次第で……」
声の主はボルド伯爵より立場が上なのか、ボルド伯爵は遜るような言い方をしている。
『彼女たちが遠征に参加せざるを得ないようにするのに、どれだけ俺が裏で動いたかわかってるのか?
CランクのトーナメントにAランクを偽装して参加させるのなんて、別に専用艦を用意したりと苦労したんだぞ』
「も、申し訳ございません」
ボルド伯爵は脂汗を流しながら謝罪するしかないようだ。
『遠征クエストを受注させるのに野良宇宙艦の放出を止めたり、クエストを限定して表示させたり、システムの二重チェックを外して即受注させたり。
帝都の技術者にいくら払ったと思ってるんだ?』
「も、申し訳ございま『謝罪はもういい!』」
『彼女たちが訴え出なかったことに感謝するんだな。
彼女たちへの報酬はそちらできっちり負担したまえ』
「は、はい」
『それと通常次元跳躍門への直接侵攻の調査団がそちらに向かう。
くれぐれも、こちらの事は話すなよ?
話せばどうなるかわかっているよな?』
「は、はい。それは肝に命じております」
『それにしても、あの異常な野良宇宙艦隊は何だったのか……。
あれさえ来なければ彼女らには貴族特権で言いがかりをつければどうとでもなったものを。
なんとしても奴を闇に葬らなければ……。
どうやら最終手段を使う頃合いかもしれないな』
「はい?」
『いや、こっちの話だ。
くれぐれも、ボロを出すなよ?』
通信が終わり仮想スクリーンが消える。
「くそ! これまでは上手くやっていたのに!
あんな強力な連中を寄越しやがって!」
ボルド伯爵は消えた仮想スクリーンに怒りをぶつける。
彼らの目的は100万Gなどという端金ではなく、彼女たちの身柄そのものだった。
人身売買、詐欺ではなくそれが目的だった。
違約金で縛り奴隷として売る。
それが叶わなければ大艦隊で囲んで言うことを聞かせる。
相手が訴え出ても貴族特権でごり押しする。
地球人などという帝国でなんの地位も権利も持たない奴らならどうとでも出来た。
それがどうしてこうなった。
なんでイレギュラーな野良宇宙艦隊なんてものがやって来たのか?
ハブ次元跳躍門を通らない直接侵攻なんて前代未聞だ。
帝都から査察も来る。
上手く乗り切らなければ身の破滅だった。




