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071 アイドル編47 遠征4

 自炊の食事を終えた僕らは宇宙港兼宇宙ドック(バベル)内部に宿舎としてあてがわれた一室で対策会議を開いていた。

野良宇宙戦艦討伐の依頼が、どうも詐欺臭いと気付いた僕たちだが、おいそれと抗議をするわけにはいかなかった。

貴族に抗議するからには、それなりの資料を用意しなければ立場上面倒くさいことになるからだ。


「そういや、巡洋艦が岩塊を纏って隠れていたという前例があったんだった。

この可能性は潰さないと抗議も出来ないね」


 この前例は僕が遭遇したやつだからね。

2km級の戦艦の偽装なら大きさを判断材料に岩塊をピックアップして調べればいいだろう。


「戦艦の大きさから有り得ないとは思うけど、新型の遮蔽フィールドを持っているという可能性も否定できないわ」


 菜穂(なほ)さんは遮蔽フィールドで隠れている可能性を潰すべきだと言う。

これは重力場マップでも作って現地調査して潰すしかないかな。


「一休さんのとんちにある『(戦艦)屏風(岩礁宙域)から出してくれれば退治(討伐)しましょう』というやつでもする?」


 綾姫(あやめ)、古いの知ってるな。

でも、そのとんちが星間帝国の貴族に通用するかな?

みんな微笑ましいと感じつつもスルーする。


「SFOギルドには依頼内容不備の連絡をしておくべきね」


「僕もそれは考えたんだけど、通信繋がらないよ。

おそらく僕らの艦載通信機ではビギニ星系まで直接通信出来ないんだと思う。

ステーションでも地球と通信するのに次元跳躍門(ゲート)を開く必要があると言っていたからね。

ここでは次元跳躍門(ゲート)を支配しているボルド伯爵の協力が無ければ、SFOギルドと通信も出来ないだろうね」


「誰かを連絡員として送るにしても次元跳躍門(ゲート)を使わなければ戻ることも出来ないわね……」


 なかなか巧妙な罠だわ。

無事に帰るには野良宇宙戦艦を討伐するか違約金を払うしかないわけだ。 


「とりあえずダブルチェック、トリプルチェックした上で野良宇宙戦艦が居ないという報告書をまとめるべきだわね」


「それを提出した後でボルド伯爵がどう出て来るか、それにより対応が違って来るね」


「ところで違約金っていくらなの~?」


 紗綾(さーや)は自分がポチったせいで詐欺に引っかかったのかと不安になったのだろう。

いくら払うのか聞いて来た。


「金額に指定はないわ。でも基本は報酬の倍というところね」


「う~。社長払ってくれるかな~?」


 他力本願だった!


「はいはい。明日から報告書を作るために可能性を潰すわよ! 今日はさっさと寝なさい」


 菜穂(なほ)さんが手をパンパンと鳴らしながら会議を打ち切った。

僕らはあてがわれた大部屋で寝ることになった。

うん。全員女性アイドルということだから同室だった。

紗綾(さーや)美優(みゆ)も僕の事なんか気にしないでパジャマに着替えている。

意識しているのは綾姫(あやめ)だけ。布団の中でモゾモゾ着替えている。

菜穂(なほ)さんは服を脱ぎブラを取ってショーツ一枚でベッドに入った。

どうやら夜は裸族らしい……。

菜穂(なほ)さんは僕が男だって知ってるよね?

やばい。意識したら寝れなくなった。



◇  ◇  ◇  ◇  ◆



 それからじっくり一週間かけて可能性を潰して行った。

偽装されている可能性のある岩塊をセンサーで非破壊検査し、内部に隠れていないことを証明した。

重力場を探査し、怪しい箇所に戦艦が隠れていないことも現地にて確認した。

再度岩礁宙域をレーダー探査すること2回もおまけして、野良宇宙戦艦が居ないことを確認した。

これを最終報告としてボルド伯爵に提出することになり、アポイントメントを取った。



 バベルの伯爵執務室に僕と菜穂(なほ)さんが報告書を持って訪れていた。

ボルド伯爵は報告書に一通り目を通しおもむろに呟いた。


「つまり依頼失敗ということでいいのかな?」


 そら来た。

この報告書を見て野良宇宙戦艦が居なくなって良かったではなく、依頼失敗と来た。

このような対応は通常有り得ない。


「お言葉ですが、野良宇宙戦艦の捜索をあらゆる方法を取り行いましたわ。

(わたくし)たちのの見解は『野良宇宙戦艦は居ない』ですの。

居ないものは討伐できませんわ。

これは不可能依頼としてSFOギルドに報告せざるを得ません」


 SFOギルドに報告というところでボルド伯爵の眉がピクリと動いた。


「おかしいですな。昨日我が領の貨物船が岩礁宙域で野良宇宙戦艦に襲われたばかりですぞ?

これこそ野良宇宙戦艦が居る証拠ではないですかな?」


 はあ? そんなことあるか。

昨日は岩礁宙域全体をレーダー探査しまくっていた。

そこには野良宇宙戦艦どころか貨物船もいなかった。


「ほう。その貨物船を調べさせていただけますか?」


 僕は怒りを抑えて、その証拠の捏造を暴くことに決めた。

貨物船の電脳のハッキングでもなんでもして徹底的にやってやる!

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