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059 アイドル編35 合同ライブ

 シューティングドリーム所属のSFOランカー、リーリエ女史の配信映像を研究し、ブラッシュリップスは専用艦の強化と、社長を仮想リーリエ女子と想定しての戦闘訓練を行った。

ヴァーチャル空間でのシミュレーションなので、配信映像から入手した戦術や癖などのデータを基に作戦を立て、やれるべきことはやった。

そして今日、とうとう合同ライブ開催の日となった。


 ライブの構成は二部制で、地球に生放送で配信されることになっている。

シューティングドリームが主催のライブに、ブラッシュリップスが招待される形の第一部と、お互いが敵同士になってエキシビションのVPをする第二部という構成だ。

第一部では、一応僕たちブラッシュリップスも1曲歌えるけど、シューティングドリームが主催のライブなので、彼女達は3曲歌うことになっている。

そして、エキシビションでSFOランカーに僕らの艦隊を蹂躙させるという完全にかませ犬の役どころだ。

悔しいけど、これが大手事務所の力なのよね。


 だが、僕たちもただ負けるために来たわけじゃない。

SFOランカーに一矢報いる。いや、撃沈してジャイアントキリングを達成してやる。

最低でも他メンバーは全滅させるつもりだ。

今回は作戦に関わる装備もあるので、ブラッシュリップス艦隊の諸元は割愛する。



 ライブは順調に進み、シューティングドリームが過去のヒット曲2曲をアバターで歌う。

そしてステージ(仮想宇宙空間)に僕たちが呼ばれる。


「今日のゲスト、SFO初のアイドルグループ、ブラッシュリップスさんで~す」


 シューティングドリームのリーダーであるナギサが僕たちを紹介し、僕たちもステージに上がる。

そして僕たちはお約束の自己紹介をする。


「こんにちわ♡ リーダーやってます、菜穂(なほ)です♡」


「笑顔担当、紗綾(さーや)で~す」


「無口担当、美優(みゆ)……」


「音響担当、晶羅(きらら)でーす♡」


「武芸担当の綾姫(あやめ)だ」


「「「「「せーの。5人揃ってブラッシュリップス(brashlips)です♡ よろしく♡」」」」」


 挨拶とポーズが決まる。

そこにナギサが雑談のMCを被せる。


「ブラッシュリップスさんは、メンバーが2人辞めちゃったんだよね?」


 ナギサがこんなところでネガティブな話題を振って来た。


「ネットストーカーって言うの? 大変だったんでしょ?」


 無邪気に続けるナギサ。

事務所の台本だろうが、わざわざここでする話題じゃない。

今配信を見ているのはネットユーザーだ。

そのネットユーザーをブラッシュリップスが敵視しているような構図を作ろうとしているのか。

大手事務所えげつないな。


「ええ、辛い思いをした子達が辞めるしかなかったのは残念だったわ。

でも新メンバーが加入してパワーアップしてると思うのでネットの皆様も応援してね♡」


 菜穂(なほ)さんが巧みに切り抜けた。

その切り替えしに一瞬落胆したような表情を見せるナギサ。所謂ぐぬぬ状態。

しかし直ぐに笑顔になり何事も無かったようにMCを続ける。


「それでは、新生したブラッシュリップスさんに1曲歌ってもらいましょう」


 MCのシューティングドリームのナギサがはけてステージ上は僕たちブラッシュリップスだけになる。


「それじゃ行くよ。『絆』聞いてください」


 『絆』は綾姫(あやめ)と対戦した時の即興曲を正式にシングル曲に書き起こしたものだ。

今の僕たちの代表曲と言ってもいい。


 あの戦闘をなぞる様なストーリー展開をダンスで表現する。

ここはミュージカルみたいなノリだ。

曲はあの戦闘の後日談的な綾姫(あやめ)が加入し全員揃ってのブラッシュリップスの絆の表現に移行する。

フォーメーションダンスもサビのビーム発射も決まった。

完璧なパフォーマンスが出来た。


 僕たちが歌い終わりステージをはけると、次はシューティングドリームが登場し新曲を歌い踊る番だ。

ここは僕たちとのパフォーマンスを比較される所だから気合が入っている様子だ。


 力強いアップテンポの曲。スピード感あふれるダンス。

さすがダンスボーカルグループ。一糸乱れぬ……。え?

僕は目を疑った。完璧なダンスチームに足手まといが居た。

そうSFOランカーが足を引っ張っていたのだ。

あれだけの高速機動が出来るのに、ダンスのフォーメーションがワンテンポ遅れる。

まあ助っ人だからね。そっち方面は苦手なんだろう……。

僕らは曲のパフォーマンスで勝ったと密かにガッツポーズをした。



 ライブの第一部が終わり、いよいよ第二部のエキシビジョンVPが始まる。

ここでボロ負けして恥をかいたら元も子もない。


「続いては第二部。

SFOの先輩艦隊であるブラッシュリップスさんの胸を借りてエキシビションVPをお届けします。

私達も頑張るので、応援よろしくお願いしま~す♡」


 いや、助っ人にSFOランカー入れといて胸を借りるとかよく言うわ。

持ち上げて落とす。テンプレ展開のつもりなんだろう。

だが、僕たちだって只ではやられない。さあ練りに練った作戦と訓練の成果を発揮する時だ。

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