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030 アイドル編7 模擬戦トーナメントEクラス2

 15cm粒子ビーム砲を分離し36cmブラスターを融合した。

この融合で1日やることがなかった。

そして融合終了後の専用艦の諸元が以下。



『AKIRA』

艦種 艦隊旗艦

艦体 全長230m 巡洋艦型 2腕 次元格納庫(-)

主機 対消滅反応炉G型(15) 高速推進機D型

補機 熱核反応炉G型(6)停止

兵装 主砲 長砲身5cmレールガン単装1基1門 通常弾 100(残弾)100(最大) 特殊弾(*バレット) 20(残弾)20(最大)

      ***粒子ビーム砲単装1基1門 (ロック)

      36cmブラスター単装1基1門

   副砲 なし

   対艦刀 30m対艦刀【**】使用不可

   対宙砲 10cmレーザー単装4基4門

   ミサイル発射管 D型標準2基2門 最大弾数4×2 残弾 8

防御 耐ビームコーティング特殊鋼装甲板(盾D型相当)

   耐実体弾耐ビーム盾E型 1

   停滞フィールド(バリヤー)D型

電子兵装 電脳S型 対艦レーダーS型 広域通信機S型 戦術兵器統合制御システムS型

空きエネルギースロット 0

状態 次元格納庫 機能制限(ダウングレード)

   熱核反応炉G型 停止中

   ***粒子ビーム砲 使用不能

   30m対艦刀【**】 破損使用不能




 レールガンは電磁誘導による質量投射兵器だ。

電磁誘導の速度と弾の質量により威力が変わる。

いくら弾が大きくても軽ければ威力は減り、弾が小さくても重ければ威力は増える。

弾の見た目の大きさより、弾自体の質量が威力を左右する。


 同様にいくら弾が重くても速度が遅ければ威力は減り、弾が軽くとも速度が速ければ威力は増える。

銃の弾丸は小さく軽くとも火薬による発射速度が速いので殺傷能力を持つ。

人がその弾丸を投げてもそこまでの威力は出ない。せいぜい痣が少し出来る程度だろう。

だが、人が重い鉄アレイを同じ速度で投げたら当たった人は死んでしまうかもしれない。

宇宙を超高速で飛んで来た小さな隕石が地表に落下し巨大クレーターを作ることも同様の論理で説明出来る。

これが速度と質量による破壊力の相関関係だ。


 レールガンの性能にもこの法則が適用される。

電磁誘導の加速による速度が速ければ、口径が小さくとも威力は大きくなる。

だが同じ速度で発射出来るなら、口径が大きい方が威力は大きくなる。

同じ速度で発射出来るなら、口径よりも弾が重い方が威力は大きくなる。

SFOの世界で使用されているレールガンには砲身の長さ、電磁誘導のパワー、口径、弾種という性能要素がある。


砲身が長い=電磁誘導の距離が長いため加速が得られ速度が速い

電磁誘導のパワーがある=電磁加速の加速度が大きいため速度が速い

口径が大きい=弾体の質量が大きい

弾の材質の比重が大きい=弾体の質量が大きい


 つまり長砲身大パワー大口径で弾種が特に重ければ威力が高いということになる。

戦艦に搭載される大口径レールガンとはまさにそんな究極兵器だった。

弾種の中には弾自体が加速に寄与し威力を増すものもある。

弾がイオン化し電磁的に加速しやすくなるとか、弾自体が加速できる飛翔体だったりとか。

SFOの世界で一般的に使われている弾体がイオン加速式であり、飛翔体方式はミサイルの方が誘導という面で使い勝手が良いので採用されていない。

もう一つ採用されている弾種は質量が重い特殊弾になる。


 本来、僕が目指すべきは、この大口径レールガンの採用だった。

射撃補正装置を使ってアウトレンジから一方的に叩く。まさに最強兵器。

だが高すぎて手が出せなかった。

その代わりとして採用したのが大口径ブラスター。

熱線を放射し敵の装甲を焼き切る。

弱点は当たってから効果が出るまでの時間。

つまり回避運動によって効果を下げられてしまうこと。

大口径ブラスターが有利なわけは、その出力と投射面積が広いことだ。

この新兵器で賞金を積み上げてやる。



◇◇◇◇◆



 模擬戦トーナメントEクラス1回戦。

アキラ艦隊は対策方法を売られたため、他の艦隊に完全に舐められていた。

戦闘宙域は抽選で通常空間。

相手にとっては必勝パターンに嵌ったも同然に思えただろう。


「だが、今回は一味違うんだぜ!」


 戦闘開始と共にお互いにレーダー波を飛ばす。

お互い回避行動を取りながら長距離砲を射撃する。

敵艦隊はやはり手数が多い。

レールガンの複数装備。おそらく1艦につき2門はある。

その合計6門以上のレールガンがNPC艦C型Bに降り注ぐ。

僕は雑魚扱いなので完全にスルーされている。


 だけど今回の僕の専用艦は36cmブラスター持ちなんだぞ。

僕は対艦レーダーS型と射撃補正装置を使って敵巡洋艦Aにブラスターをぶち込んだ。

瞬く間に灼熱する敵艦の盾、慌てて回避運動をするも、レーダー追尾でブラスターを当て続ける。

1射目を撃ち終わった時には敵巡洋艦Aは上部構造物が溶けて戦闘不能になっていた。


 続けて敵の2艦目を狙うも、残り2艦は敵巡洋艦Aの後ろに隠れてしまった。

それなら敵巡洋艦Aごと焼き切るのみ。

僕はブラスターを敵巡洋艦Aの艦首に当て続けた。

ブラスターの強みはエネルギーさえあれば撃ち続けることが出来ること。

一応ブラスターが壊れないように間隔を空けて撃っているけど、同じ場所を抉り続けた結果、敵巡洋艦Aをぶち抜き後方の敵巡洋艦Bにブラスターが当たる。

慌てて回避運動を取る敵巡洋艦Bと敵巡洋艦C。

しかし通常空間でそれは的になるようなもの。

僕は敵巡洋艦Bを追うようににブラスターを撃ち込んでいく。

敵巡洋艦Cは、敵巡洋艦Bを囮にしてこちらにレールガンを撃ってくる。

しかし、こちらもNPC艦C型AとBが健在だ。

いつのまにか側面に回っていたNPC艦C型AとBによる挟撃にあい敵巡洋艦Cが轟沈する。

その頃、敵巡洋艦Bもブラスターの餌食になり戦闘不能となっていた。


『ダイヤモンドダスト艦隊全滅。試合終了。おめでとうございます。アキラ艦隊1回戦突破です』


 システム音声が流れてアキラ艦隊の勝ちが確定した。

1回戦突破賞金は3万Gだった。

僕の専用艦がブラスターを装備したことは、このトーナメントに出場中の艦隊にはまだ知られないはずだ。

Eクラストーナメントはまだ4戦あるから、まだまだ稼げるぞ!



◇◇◇◆◇



 まさに初見殺し。

模擬戦トーナメントEクラスに参加した艦隊はアキラ艦隊を鴨だと思っていた。

だがそれを大口径ブラスターの存在が覆して行った。

模擬戦トーナメントは試合を同時に行うため、同じトーナメントの対戦相手の情報はトーナメント終了まで手に入らない。

それがアキラ艦隊に有利に働いていた。

僕は2回戦、3回戦、準決勝と勝ち進み、いよいよ決勝へと駒を進めた。

これまで3万G、6万G、9万G、12万Gと合計30万Gを手に入れた。 



 模擬戦トーナメントEクラス3艦の部決勝。

僕の艦隊はNPC艦を含めて満身創痍だった。

大口径ブラスターという新兵器があったにしろ、無傷で勝ち上がれるほどの戦いは出来ていない。

もし次に対戦したら対戦相手はブラスター対策を行って来るだろう。

もう次は勝てないかもしれない。

そうなると新たな戦力増強が必要になるのだが、今日手に入れた30万Gでは心もとない。

だからこのコンディションでも棄権はしない。Dクラスに上がって高額賞金を手にするんだ。

決勝に勝ち上がった相手艦隊は『雷鳴』という名前らしい。

僕の艦隊の諸元は以下。



『AKIRA』

艦種 艦隊旗艦

艦体 全長230m 巡洋艦型 2腕 次元格納庫(-)

主機 対消滅反応炉G型(15) 高速推進機D型

補機 熱核反応炉G型(6)停止

兵装 主砲 長砲身5cmレールガン単装1基1門 通常弾 43(残弾)100(最大) 特殊弾(*バレット) 20(残弾)20(最大)

      ***粒子ビーム砲単装1基1門 (ロック)

      36cmブラスター単装1基1門

   副砲 なし

   対艦刀 30m対艦刀【**】使用不可

   対宙砲 10cmレーザー単装4基4門

   ミサイル発射管 D型標準2基2門 最大弾数4×2 残弾 6

防御 耐ビームコーティング特殊鋼装甲板(盾D型相当)

   耐実体弾耐ビーム盾E型 1

   停滞フィールド(バリヤー)D型

電子兵装 電脳S型 対艦レーダーS型 広域通信機S型 戦術兵器統合制御システムS型

空きエネルギースロット 0

状態 次元格納庫 機能制限(ダウングレード)

   熱核反応炉G型 停止中

   ***粒子ビーム砲 使用不能

   30m対艦刀【**】 破損使用不能

   耐実体弾耐ビーム盾E型 耐久残30%

   停滞フィールドD型 出力45%



『NPC艦C型』A

艦種 標準巡洋艦

艦体 全長200m 巡洋艦型 2腕

主機 熱核反応炉E型(8) 高速推進機F型

兵装 主砲 長砲身20cmレールガン単装1基1門 通常弾 13(残弾)80(最大)

   副砲 15cm粒子ビーム砲単装1基1門

   対宙砲 5cmレーザー単装4基4門

   ミサイル発射管 なし

防御 耐ビームコーティング特殊鋼装甲板

   耐実体弾耐ビーム盾E型 1

   停滞フィールド(バリヤー)D型

電子兵装 電王E型 対艦レーダーD型 通信機E型

空きエネルギースロット 0

状態 耐実体弾耐ビーム盾E型 耐久残25%

   停滞フィールドD型 出力40%




『NPC艦C型』B

艦種 標準巡洋艦

艦体 全長200m 巡洋艦型 2腕

主機 熱核反応炉E型(8) 高速推進機F型

兵装 主砲 長砲身20cmレールガン単装1基1門 通常弾 16(残弾)80(最大)

   副砲 15cm粒子ビーム砲単装1基1門

   対宙砲 5cmレーザー単装4基4門

   ミサイル発射管 D型標準2基2門 最大弾数4×2 ミサイル残弾 4

防御 耐ビームコーティング特殊鋼装甲板

   耐実体弾耐ビーム盾E型 1

   停滞フィールド(バリヤー)D型

電子兵装 電王E型 対艦レーダーE型 通信機E型

空きエネルギースロット 0

状態 耐実体弾耐ビーム盾E型 使用不能

   停滞フィールドD型 出力30%



 状態の部分で満身創痍なのがわかるだろう。

決勝に勝てば賞金50万Gがもらえ、艦隊ランクがDクラスに上がる。

目の前のVR画面に表示される参加艦艇選択画面に『AKIRA』『NPC艦C型A』『NPC艦C型B』のアイコンを掴んで放り込み確定させる。

戦闘宙域は「重力異常宙域」にランダム設定された。

長距離射撃が厳しい宙域だが、Fクラス決勝で対策は確認済み。

準備完了。試合時間を待つ。


 目の前に数字が現れカウントダウンが始まる。

戦術兵器統合制御システムを起動、僚艦とデータリンクを繋いでおく。

カウントゼロで目の前の風景が一変し、宇宙空間が表示される。

毎度あっという間に戦闘突入だから、格納庫からの発進シーンでも入れればいいのにと思う。

さあ決勝戦開始だ。


 レーダーに火を入れる。


「デカイ!」


 巨大な艦の反応がレーダーに映る。1km級?

慌てて戦術兵器統合制御システムで僚艦に回避指示を出す。

刹那、敵巨大艦が発砲!

NPC艦C型Aがたった1発で轟沈した。


「なんで戦艦なんているんだよ!」


 全艦回避運動に入っていた。狙われたのはたまたまだ。

人の意識ではパターン化するので艦載電脳によりランダム回避をさせる。

合わせて重力異常スポットを盾に利用する。


「ミサイル全弾発射! 目眩ましでいい!」


 少しでも時間を稼ぎたい。

NPC艦C型Bが2発2連射、合計4発を撃つ。

僕の専用艦も2発3連射、合計6発を撃つ。

こちらのミサイルは次発装填分も全て撃ち尽くした。

ミサイルが雷鳴艦隊に向かう。

雷鳴艦隊の残り2艦が敵戦艦の左右に展開、対宙防御の弾幕を張る。

2艦は防宙専用艦のようだ。


「これじゃ、ミサイルは全弾撃ち落とされるな」


 とその時、敵戦艦のレールガンが至近弾となって僕の専用艦の盾を掠める。

その衝撃で左腕が動かなくなる。これで盾は使えない。


『エネルギー伝送系にダメージ! ブラスター使用不能です!』


 電脳より警告が入る。

頼みの綱の大口径ブラスターが使用不能になった。

さて、こちらにはもう敵艦にダメージを与えるような強力な武装はないぞ。

僕の残った武器といえば豆鉄砲の5cmレールガンだし。

とりあえず牽制でレールガンを撃つ。

NPC艦C型Bだって20cmレールガンだけど残弾があと6発だ。

僕の専用艦よりは頼りになるが戦艦を倒すのには残弾が心もとない。


 幸いなことに敵戦艦は豆鉄砲の5cmレールガンでも回避してくれる。

こちらのブラスターが使用不能だなんて気付いてないのだ。

その回避運動によって敵戦艦は照準が付けられない。

こちらのレールガンの残弾がみるみる減っていく。


 その時、不幸が起きた。

僕の専用艦が豆鉄砲の5cmレールガンしか撃っていないことに敵戦艦が気付いたのだ。

豆鉄砲は敵戦艦の停滞フィールドにダメージすら与えられなかった。

大口径ブラスターが使用不能。それに気付いた敵戦艦は回避運動をやめた。

敵戦艦は射撃補助装置を使い慎重に照準を合わせる。

レールガンを発射。その大口径弾が僕の専用艦に迫る。


 もうダメかと思った瞬間、NPC艦C型Bが間に割って入り、僕を庇ってくれた。

NPC艦C型Bは轟沈。いよいよ僕はひとりぼっちだ。

僕のコントロール下にあったはずのNPC艦C型Bが自律行動をして僕を守ってくれた。

勝手に動かないようにと支配下に置いていたのに、自分の意志で庇ってくれた。

ぼっち艦隊だと思っていたけど立派な僚艦だった。


 大口径レールガンの唯一の弱点は発射エネルギーが大きいということだろう。

それを供給するのが戦艦という巨大な艦体にのみ搭載が許される巨大エネルギー炉だ。

だが、戦艦といえども、そんな最上級のエネルギー炉を搭載出来るわけじゃない。

つまり搭載されているエネルギー炉によっては次弾を撃つまでに時間がかかる(タイムラグがある)はず。


「敵戦艦の次弾発射までに考えろ! 僕!」


 敵の弾は大きく体積がある。

体積があれば重力場の影響圏に入りやすい。

射撃補正装置で絶妙な制御をしている弾は少しのズレで照準を外す。

つまり僕の専用艦の豆鉄砲でも、当たれば敵弾のコースを変えられるかもしれない。

照準は一つ。重力異常スポット横を弾が通過する瞬間に、敵弾のコースをそちらに向けてやればいい。

作戦は決まった。僕は繊細な射撃を行うために艦の回避行動を止めた。


 敵戦艦が大口径レールガンを撃つ。

僕は敵弾のコースを逆算予測して豆鉄砲を撃つ。

迎撃成功。敵弾は重力異常スポットの影響を受けて大きく逸れた。

いいぞ。だが敵への攻撃手段を考えないと手詰まりだ。


 そのような綱渡りの迎撃を続けること数発。

敵戦艦は徐々に重力異常スポットを避ける方向に移動しはじめた。

豆鉄砲が大口径弾のコースを変えるからくりに気づかれたようだ。

僕も敵戦艦との位置を修正して、なるべく重力異常スポットを間に入れるように動く。

このままタイムオーバーなら負け決定だ。

そんな遣り取りを続ける中、ついに僕はレールガンの通常弾を撃ち尽くしてしまった。

終わった。万策尽きた。

もうやることがあるとすればダメ元で特殊弾を撃ち込むのみ。

僕は自棄っぱちで用途不明の特殊弾を撃つことにした。


(これでダメなら降伏だな)


 長砲身5cmレールガンの照準を射撃補正装置を使い敵戦艦に合わせる。


「特殊弾発射!」


 レールガンの2条のガイド砲身(レール)が電磁的な力を纏いスパークする。

その2条のガイド砲身(レール)の間で後部をプラズマイオン化した弾体が加速していく。

超高速に加速された小さな弾体は、重力異常スポットの影響を受けつつも一瞬で敵戦艦に辿り着き、そのエネルギーを開放する。

射撃補正装置が検出している重力値が異常に跳ね上がる。

その弾体は(グラビティ)バレット。

弾体は小さくとも一瞬で超質量を顕現する重力弾だった。

速度と質量。その内包するエネルギーが敵戦艦に直撃した。

敵戦艦は盾もろとも中央をぶち抜かれ(ひしゃ)げた。

続いて大爆発。防宙のため接近していた僚艦を巻き込み少なくない被害を出した。

敵艦から緊急通信。


『『こ、降伏します!!』』



『雷鳴艦隊降伏。試合終了。おめでとうございます。アキラ艦隊の優勝です』


 システム音声が響き、目の前の映像がエントリー会場に戻る。


「やべー! 超やべー! 重力弾なんてバカじゃないの!?」


 僕の専用艦の主砲は豆鉄砲なのにバケモノだった。

特殊弾は電脳空間でしか使用できないって言い訳で秘匿しよう。

ていうかもう実戦しかも緊急時以外で使うのをやめよう。


 目の前に優勝賞金50万G振り込み完了のメッセージが表示される。

「ちゃりん♪」と擬音。

僕は模擬戦トーナメントEクラスを優勝しDクラスに昇格、賞金合計80万Gを手に入れた。



 何にせよ、これでノービスを脱してDクラス以上の模擬戦トーナメント本戦に出れる。

今日の模擬戦映像も配信されてお小遣いが発生するといいな。

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