026 アイドル編3 某事務所にて
SIDE:社長 某事務所内社長室
「社長、オーディションはどうでしたか?」
眼鏡をかけ地味メイクの20代前半の女性が、浅黒い顔の30代男性と話している。
女性はよく見ると美人であるにもかかわらず、わざと地味にして変装しているようだ。
男性はいかにも業界人といった感じのちょい悪オヤジだ。
「菜穂か、まだそんな格好をしていたのか」
男性は菜穂と呼ばれた女性に目を向けると呆れたような表情をした。
「顔バレしない世界が意外と新鮮で癖になっちゃったんです♡」
菜穂は戯けた表情をするとぺろっと舌を出した。
地味な見た目の向こうには間違いなく美人の素顔が隠れていた。
「オーディションだが、あまり面白いやつはいなかったよ。
まあ、逸材なんてそうそう転がっているもんじゃないな。
解かっていたが、特にSFOプロとアイドルの輝きを両立している候補なんて滅多にいるわけがない」
そう言うと男性は、二次試験通過者のエントリーシートを投げ出した。
男性はSFOでもう7日間もオーディションを行っていた。
それで二次試験に合格したのは10人程度だった。
女性はエントリーシートを捲って1人1人チェックしていく。
そして1人のエントリーシートに目を止めると鋭い視線で男性の目を見つめた。
「この子に二次試験の合格出したんだ」
男性は肯定するも残念そうな顔をする。
「ああ、こいつは面白いやつだったな。自信満々でルックスも飛び抜けてた。
だが、合格通知を送ったら辞退されちまったよ。残念だがな」
男性は欧米人のように両手を広げて大げさに首を振った。
眼鏡の女性が真剣な目をして男性に詰め寄る。
「この子、採用して。私達の艦隊に必要だわ」
女性の真剣な眼差しに男性は気圧され頷いた。
「わかった。そんな逸材なら説得しよう」
女性は満面の笑顔を見せる。地味なメイクでも美人が隠せなかった。
「ところで、おまえなんでGNがタンポポなんだ?」
「本名の保田菜穂→アナグラムで田菜穂保→一字変えて和名由来と言われる田菜穂々→タンポポよ」
そう、男性は芸能事務所社長の神澤、女性は初心者講習を受けていたタンポポだった。
GNタンポポはアイドルグループ『ブラッシュリップス』のリーダー菜穂だ。
彼女のグループこそがアイドル艦隊を始めようとしていたのだ。
レビュー、感想、ブックマークありがとうございます。
豆腐メンタルなため感想への返信を一時中止していますが、全て目を通して励みとしています。
今のところ改定前とほとんど同じ展開ですが、要所要所に大幅加筆を加えますので、ご期待ください。




