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168 帝国内乱編6 危機

side:ラスティ星系 専用艦CIC アキラ視点


ロレンツォ(第7皇子)! 罠だ。逃げろ!』


 (アキラ)の警告通信は妨害されロレンツォ(第7皇子)には届かなかった。

要塞艦9艦に搭載され次元跳躍(ワープ)アウトしたロレンツォ(第7皇子)の討伐艦隊は、レオナルド(第5皇子)に占拠された要塞衛星の要塞砲に狙われていた。


「くっ……。仕方ない。

ロレンツォ(第7皇子)が対応する隙を僕が作るしかないぞ」


 僕の専用艦は遮蔽フィールドを纏い、未だレオナルド(第5皇子)の艦隊には気付かれてなかった。

ここで次元格納庫から無人艦を出すと、無人艦がレーダーに捕捉され僕の所在がバレることになる。

だが、ここで躊躇う訳にはいかない。ロレンツォ(第7皇子)が要塞砲の餌食になってしまう。

まあここで遮蔽フィールドを切っても問題ない。

僕は要塞衛星の要塞砲に跳躍弾を発射するとともに、とりあえず無人艦1千艦を放出して敵前衛艦隊に向けGバレットを発射させた。

爆発する敵前衛艦隊。

その爆炎の影で跳躍弾が要塞衛星の要塞砲に転移する。

要塞衛星はタタラ4の工場衛星と同規格の衛星で同じ要塞砲を搭載している。

なのでその弱点は把握済みだ。エネルギー伝送チューブ逆流防止回路、その一点に跳躍弾が飛び込む。

爆発に揺れる要塞衛星。要塞砲もエネルギーが抜けていき発射不能となる。

とその時、僕が出した無人艦が僕の専用艦に向けてGバレットを発射した。

僕は盾を放り投げてGバレットの弾体に当て回避した。

Gバレットのエネルギーが盾に集中し拉げさせるも射線がそれていく。


「まさか、僕の制御下にある無人艦まで敵に支配されるのか!」


 僕の無人艦は敵に支配されていた。

戦術兵器統合制御システムのリンクが切られ、何者かに制御を奪われたのだ。

次弾が発射される前にナーブクラックをかけて制御を奪い返さなければならない。

広域通信機S型がフル稼働で無人艦へのリンクを繋げる。


『警告! 電子量子次元全ての通信の妨害を確認。リンクが繋がりません』


 専用艦の電脳から警告が入る。


「つまり接触通信しか使えないということか!」


 僕は何か手はないかと思考を巡らす。

ケーブルを放出させて接触通信を使うか……。

いや、別空間の次元格納庫で敵の通信妨害を遮断するんだ!

無人艦も有効範囲にある!

僕は敵に支配された無人艦を次元格納庫に取り込んだ。

その瞬間、次元の壁により通信妨害が解除され無人艦のコントロールが復活した。


「ナーブクラック発動! 無人艦の電脳を服従下に置く!」


 これで他の奴には支配されないはずだ。

おそらく戦術兵器統合制御システムのリンクを切られ、偽の命令を出されて制御を乗っ取られたんだ。

ナーブクラックの服従ならば電脳が独自に判断して、敵の偽命令に支配されることはないだろう。

広域通信機S型のECCMまでも無効化するとは侮れない敵だ。


「こんなことが出来るのは、あの電子戦特化の特殊艦だろうね。

あれはブレインハック事件の時の特殊艦がベースだろうか。

それと、あの隣の攻撃型の特殊艦。色と一部装備が例の特殊艦そっくだけど、あれはプリンスを助けた艦じゃないのか?」


 僕は黒い2艦の特殊艦を睨みつけた。


「ブレインハック事件で見せられた幻を、まんまと次元レーダーの情報で見せられてしまったか……。

それと無人艦を偽情報でコントロールする手口。あの時と被るな」


 無人艦は基本的にVPのNPC艦と同等の動きをする。

簡単な命令に従いプログラムされた行動をする。

それを僕は戦術兵器統合制御システムによって細かな命令を個々の艦に与えることで通常以上の行動をさせることが出来るだけだ。

あの通信妨害と無人艦乗っ取りをなんとかしないとロレンツォ(第7皇子)が危ない。

無人艦を出撃させたら、それが全て敵となって襲ってくるぞ。


「間違いない。(プリンス)だ! 奴が来たんだ」



◇  ◇  ◇  ◇  ◆



side:同星系 要塞衛星内司令室 レオナルド 三人称視点


 次元跳躍(ワープ)アウトの痕跡は確認したものの、その艦の所在を把握することが出来すレオナルド(第5皇子)は焦っていた。

その艦は、おそらく遮蔽フィールドを纏いステルス化しているのだ。

だが、ロレンツォ(第7皇子)の要塞艦が次元跳躍(ワープ)アウトして来て状況が動いた。

その隠れていた艦が搭載艦を放出したことで遮蔽フィールドが解除され正体が判明したのだ。

それは多数の搭載艦を収容出来る要塞艦ではなく、巡洋艦クラスの艦だった。

おそらく噂の第6皇子アキラの専用艦だ。

アキラ(第6皇子)の専用艦には次元格納庫と言われるロストテクノロジーが搭載されている。

それは専用艦自らの容積を上回る物体を収納できるチート格納庫だという。

その専用艦は、搭載艦を放出し僚艦共々レオナルド(第5皇子)の前衛艦隊に向けて主砲を連射して来た。

その主砲は見るからにしょぼい小口径にも関わらず、たった1発で戦艦をも轟沈させる威力があった。

Gバレット、発射する長砲身5cmレールガンは簡単に手に入るが、弾体そのものを製造出来ずに使いこなせないというUR(ウルトラレア)装備だ。

それが搭載艦全てに装備されていて前衛艦隊を攻撃している。

その攻撃力にレオナルドの艦隊は浮足立った。

混乱の最中、要塞衛星内部から爆発が起きる。揺れる司令室。

謎の爆発は要塞砲を使用不能にしていた。


「要塞砲が! ちくしょう!

せっかく奴らを騙せたのに、(ロレンツォ)の要塞艦を1艦も落とせてねーのかよ!」


 要塞衛星の司令室でレオナルド(第5皇子)が地団駄を踏んでいた。 

黒騎士の特殊艦の能力で次元レーダーの探査内容を差し替え、レオナルド(第5皇子)がニアヒュームを僅差で倒し致命的被害を受けたかのように見せかけたのだ。

楽に勝てるとノコノコとやって来たロレンツォ(第7皇子)の要塞艦を要塞衛星の要塞砲で片付ければ楽に勝てるはずだった。


「あのちっこいやつはアキラ(第6皇子)の専用艦か! 余計なことをしやがって!

よし、黒騎士に連絡、無人艦の制御を奪え!

ニアヒューム30万艦で(アキラ)を潰せ! 容赦するな」


 レオナルド(第5皇子)は30万:1の戦いをアキラ(第6皇子)にしかけると言い出した。

配下の将軍達も開いた口が塞がらなかった。


「何をしている。奴は『100万殺し』だぞ!

油断するんじゃねーよ」


 レオナルド(第5皇子)は本気だった。


「獅子はたった一羽の兎でも全力で狩るものだからな!」



◇  ◇  ◇  ◆  ◇


side:同星系 専用艦CIC アキラ視点


 黒騎士の指揮下にあるニアヒュームの艦隊30万艦が(アキラ)の専用艦に照準を会わせる。


次元跳躍(ワープ)のクールタイムは消化出来なかったか……。仕方ない。反物質粒子砲発射!」


 敵30万艦から粒子ビーム砲とミサイルの飽和攻撃が撃ち込まれる。

その射線は僕の専用艦に向かっている。

その中心に反物質粒子砲を撃ち込む。

また反物質粒子砲封じの艦が進出しようとするが、味方艦の射線に入り爆散する。

だが膨大な弾幕の中で反物質粒子と粒子ビームが接触、対消滅による膨大なエネルギーが発生する。

そのエネルギーに巻き込まれ敵30万艦が放った攻撃は全て飲み込まれ消滅した。

僕は反物質粒子砲を連射する。その都度巨大な爆発が起こり攻撃を防ぐ。


 さてちょっと意表を突いて罠をしかけるかな?

僕は反物質粒子砲で弾幕を迎撃しつつ行動に移った。



◇  ◇  ◇  ◆  ◆



side:同星系 要塞艦内司令室 ロレンツォ 三人称視点


アキラ(第6皇子)を援護しろ! 要塞砲発射準備!」


 ロレンツォ(第7皇子)は一瞬でレオナルド(第5皇子)の罠に嵌った事を理解した。

目の前の状況は次元レーダーの情報で把握していたものとは明らかに異なっていた。

壊滅したはずのニアヒュームは健在。なぜかレオナルド(第5皇子)と共闘をしている。

つまり圧倒的な戦力差のある劣勢な現場に自ら飛び込んでしまったということだ。

目の前ではアキラの専用艦が無人艦を出撃させ敵と対峙していた。

アキラの専用艦なら短い時間のクールタイムの後に次元跳躍(ワープ)すれば逃げられたはずなのに、未だ戦場に留まっている。


「悪いなアキラ(第6皇子)、私が逃げる隙を作ってくれているんだろう?

だが、私とてむざむざと逃げるわけにはいかないのだ。

この星系は私の星系なのだぞ。私にも矜持というものがあるのだ」


 するとアキラ(第6皇子)の専用艦に向けアキラ(第6皇子)の出した無人艦が砲を向けた。

無人艦が乗っ取られたのだ。

ロレンツォ(第7皇子)は、帝国先遣艦隊の無人艦がレオナルド(第5皇子)に乗っ取られたという報告を思い出した。


「となるとこちらも無人艦を出撃させるわけにはいかないな」


 無人艦は制御を奪われ味方を襲いかねないという前例を今目にしたのだから当然だ。

通信は途絶しているが、アキラ(第6皇子)が身を以って無人艦の危険を知らせてくれた。


「味方要塞艦、我に追随し要塞砲の発射態勢に入っています」


 要塞艦9艦全てが、搭載されている要塞砲合計9門を敵艦隊に向けて発射態勢に入っていた。

通信妨害の中、誰が命令を下すでもなく全艦がロレンツォ(第7皇子)の行動に同調していた。


アキラ(第6皇子)が危ない! 要塞砲、発射!」


 アキラ(第6皇子)の専用艦の横を通り9束の巨大エネルギーの射線がレオナルド(第5皇子)艦隊に向かう。

レオナルド(第5皇子)の艦隊がエネルギーに飲み込まれ消えていく。

だが、遅かった。アキラ(第6皇子)の専用艦にも敵から放たれた粒子ビームとミサイルが直撃していく。

アキラ(第6皇子)の専用艦も爆発して沈んだ。


「くっ! アキラ(第6皇子)が!」


 ロレンツォ(第7皇子)の叫びが要塞艦司令室に木霊していた。 

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