106 放浪編25 四天王
SIDE:某所 仮想空間内会議室 8 9 10 (三人称)
10「プリンスが第6皇子にやられた」
9「フフフ……奴は四天王の中でも最弱……」
8「自然発生皇子ごときに敗れるとは血筋皇子の面汚しよ……」
仮想空間内に設置された極秘会議室の円卓に3人のアバターが座っている。
彼らは黒いローブを羽織った出で立ちで、頭に被ったフードに各々8、9、10という数字が描かれている。
円卓には4人分の席があり、おそらく空いている席がプリンスの席だったのだろう。
どうやら彼らが四天王の残り3人らしい。
8「して、奴を13と呼ばなくとも良いのか?」
10「もう奴は13ではなくなった。だが、秘密会議ゆえ本名は憚られる。
なら奴が使っていたGNのプリンスで良かろう」
9「奴も13とは呼ばれたくなかったようだしな。
それで、プリンス救出は間に合ったのだな?」
8「あれでも弟、命だけでもと救ってやったわ」
10「救出にアレを使ったようだが?」
9「まさか対第1皇子の切り札を、あそこで使うことになろうとは……」
10「プリンスにその価値があったのか?」
8「いや、救出作戦は貸し出した我らの艦隊に対してのものだ」
10「それが失敗しプリンスだけ救えたと……」
9「我らがプリンスに戦力を与えたこと、第1皇子には気取られてしまっただろうか?」
8「あの後処理の早さ……。どこまで知られていたのやら……」
四天王の1人は、プリンス救出に謎の専用艦を差し向けたプリンスの兄らしい。
他の2人も皇帝の血を引く血筋皇子であることは間違いない。
その会話は不穏な内容を紡ぎだす。どうやら第1皇子をもターゲットにしていたようだ。
10「貸し与えた艦が全く帰って来ない。プリンスに期待したのは間違いだったのでは?」
8「我らが上位皇子に対抗するには4人の力を合わせるよりなかった。そこに間違いはない」
9「プリンスめが第6皇子に拘らなければ、こんなことにはならなかっただろう」
8「どうする? 我らでは第6皇子には勝てぬ」
10「あの上位皇子をぶつけるしかないだろ」
9「奴か。奴ならおだてれば乗るかもしれないな」
8「では、根回しはお主に任せる」
9「また金がいるな。そこはプリンス領から引き出せるか?」
どうやら彼らこそがプリンスに無人艦を貸し与えた張本人だったようだ。
自ら戦うのではなく、何やら上位皇子をそそのかすつもりらしい。
10「プリンスが廃嫡となり、その領地がアキラの物になったのは痛い」
9「辺境とはいえ資源が豊富でなかなか旨みのある領地の数々であったからな」
10「今までのように、なんとか上前をはねられないものだろうか?」
8「領地の代官と貴族は我らの息がかかっておる」
9「アキラは素人だ。内政などわかりはしない」
8「そこに付け入る隙があるやもしれんな」
アキラの領地になった元プリンス領にも彼らの根が張り巡らされているようだ。
そこを治めなければならないアキラも前途多難である。
8「いよいよになったら、あの方に出張ってもらって第6皇子を始末してもらうか」
10「あの方に頼るのは最後の手段だ」
9「あの方は駄目だ。我らのリスクも高すぎる」
8「プリンスめ、我らの足を引っ張りおって」
10「新しい四天王を探す必要があるな」
9「7はだめだ」
10「なら11か12か?」
8「探りを入れておくか。最悪五天王でもかまわん」
9「11ならプリンスがちょっかいを出していたはずだ。
たしかボルド伯爵という11の後見人は抱き込んでこちら側だ」
四天王の悪巧みは続く。
そして生き残ったプリンスと謎の救出者の正体と行末はいかに?




