3章の5話
「うぉーいてて…あ、でもプラスチックで助かったわ、鉄やったらかなり効いたやろうな」
そう言って驚愕した表情をししているリーダーの前でムクリ、と射頭夢は立ち上がった。
「あ、アンタ…何で……」
声を振り絞って聞いた問いに射頭夢はニコリと笑顔を向ける。
「フフフ、驚きましたぁ? 品川 里謡さん」
「なっ!?」
いきなり自分の名を呼ばれ彼女―――品川里謡は更に目を見開く。
そうしている内に射頭夢は掴んでいたパイプに目をやり絡みつくように手を捻らす。するといとも簡単に里謡の手からパイプを奪いバトンのように回し始める。
「更に驚きましたぁ? まあこんな風にパイプを取るのは簡単なんですけどね。回すのも簡単です。こうやって手首をウリウリすれば、ほら! あら簡単!」
暫く周りに見せ付けていたのだが、いきなりパイプの先を突き出し、リセットしたように里謡たちに話し掛ける。
「あたしゃ人は通す人間なのさ。そっちが被害者だから、ワザとここまで受けてあげたんさ。これでチャラ。OK?」
呆然としていた里謡たちだったが、射頭夢に話し掛けられ、我に帰ると射頭夢を睨みつけ罵声を浴びさせようとする。
「ふっ、ふじゃけんじゃないわよ! なん―――」
言い続けようとした口にパイプを当てられ押し止めされられる。
「でもさ、人は通してもプライドは貫く主義なんだよ。だ・か・ら、君らにちょっと置いたしちゃう」
そう言い終えてパイプと手から離す。
パイプはそのまま重力に従って床に下ち、乾いた音を鳴らす。
里謡たちの顔が恐怖に染まっていくのを射頭夢は楽しそうに眺め、ポケットに手を突っ込む。
そして、初め沙希に連れられていた時の表情を取り戻し、楽しそうに声を張り上げる。
「さあさあさあ!! これから、射頭夢ちゃんのお仕置きタイムだよぉー!!」
そう言ってポケットから勢い良く手を出す。
里謡達はそのポケットから取り出したものに口をへの字にする。
それは太陽の光を反射して一部が銀色に光っていた。
射頭夢がそれを窓から見えるオレンジ色の太陽にかざすと、いよいよ状況を理解した数人が顔を青ざめ、まだ理解できていない残りの者たちはポカンとしていた。