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3章の4話


「もう…こんなもんだろ」


 息を切らして立っている女子生徒の足元には数本のパイプと―――射頭夢が力なく倒れていた。

 あれからかなりの暴行を加えられたらしく、生々しい痣が無数につけられている。


 倉庫に入ったときは先ほどの女子生徒一人と見受けられたが、まだ数人隠れていたらしく今ではその数人で射頭夢を取り囲んでいた。


 射頭夢を初めに傷つけたた彼女がこの中でのリーダー格らしく、他の女子生徒を代表して倒れている射頭夢に言葉を投げつける。


「何で…何であんたがあの人と付き合うなんてこと出来るんだよっ! うち等は見てることしか出来なかったのに…。こんな事になったのもあんたっ…自分のせいなんだかんねっ」


 また、言い終わると同時に即座に拾い上げたパイプを射頭夢の肩に叩きつける。

 射頭夢は小さく悲鳴をあげ、一時停止していたように見られたが、やがてカタカタと震え出す。

 その姿を見ていいように思ったのか、周りの生徒たちが口元を吊り上げる。


「調子乗ってたお前が悪いんだよ!」


「もっと似合う人だったら納得も出来たのに…名の知れないお前が何で」


「何でお前が付き合うんだよっ!!」


 大声で自分の気持ちを射頭夢にぶつけていく。

 気持ちと一緒にパイプもかざしては勢いよく下ろし、下ろし。それを何度も繰り返す。

 射頭夢はそれでも力なく倒れており、意識があるのかどうかも分からない。

 

 その光景を見て満足に思ったのか、パイプを床に下ろし射頭夢の噛みを掴み上げ顔を無理やり上げさせる。


「分かったんなら…さ、別れちゃえよ。そのほうが楽だし、もうこんなことされないよ?」


 上から見下すような視線を向け射頭夢に話し掛ける。

 対する射頭夢は目を虚ろにしていたが自分の返事を待つような言葉に反応して光を戻す。


 そして―――笑った。


 それを見て一気に周りの女子生徒たちの頭に血が上る。

 射頭夢は何かを楽しんでいるような顔と同時に、自分たちを哀れむような目を向けていた。


「このっ!ふざけんじゃ―――」


 射頭夢を掴み上げていた手を話すとパイプを再び握りなおし振りかざして下ろ―――


 そのパイプを射頭夢の手ががっしりと握っていた。









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