元モブ、王族会議出席。王位継承権について?
少し急いだので誤字脱字があるかもしれません。
内容に関して手は抜いていないのでご心配なく。
「あのーー姫様。聞かされてないんですけど………」
「護衛よろしくお願いしますわ」
大きな丸いテーブルを囲み7人の王族が王位継承権について話している。どうしてこうなった……
朝、姫様と会います→視界が暗闇に包まれます→今。
これ、回避不可能だよね。7人の王族とは国王に王子五人と王女一人だ。
「国王!進言いたします。第一王子のこの俺こそが王にふさわしいのでは?」
第一王子は手を胸に当て堂々と喋る。しかし第四王子が喋りに割って入る。
「王位継承権は基本的に魔法と剣の技量が全て、つまり!魔法適正値、魔力量ともに一番であり剣技さえも使える第四王子の我こそが王にふさわしいのである。」
それに第二王子が手を上げて第四王子に反論する。
「そうかもしれない。しかし未だに魔法をうてたためしかないではないか」
「そんなの問題ではないのである。我が王になれば魔法適正値や魔力量、そんな物必要ないである」
第四王子は自身満々にそう答えた。それなら魔法適正値、魔力量や剣技などは関係ないやん。なんて僕も突っ込みそうになった。自重しろ、自重しろ……
「僕は国王にならなくてもいいかな……。はい……」
第五王子はまだ7歳であるがために実感がわかないのだろうと思い聞いていた。第三王子は話し合いが始まってからずっと黙っている。討論しても意味がないと思っているのか王位継承権はいらないのか何を考えているのやら。すると覚悟を決めたのか姫様は口を開く。
「国王、わたくしに王位継承権をいただけないでしょうか?」
「…………」
するとあれほど騒がしくもめていた王族達が喋るのをやめ5秒ほど静寂に包まれる。だが途端に王族(王様以外)の全員がお腹を抱え笑い始めた。
「今まで推薦者すらいないお前じゃ、論外だ」
「初級魔法しか使えないとは、エリシア王国始まって以来の無能だな」
「畑でも耕してろ」
と王子たちは見下すように言葉を返す。それでも姫様は揺るがない。ふと目があった。嫌な予感がする……
「わたくしには彼がいますわ」
と姫様は僕の方を向き指を指す。とっさに僕は後ろを向くが誰もいない。僕ですよねぇ……
「適当に推薦者を連れてきただけじゃねぇーの。てかチビじゃねーか」
「彼はもう十五歳ですわ」
「やっぱりチビじゃねーか」
この世界では十五歳はチビらしい。そんなことはどうでもいいな。どうするだろ姫様。
「こう見えて彼は虹色の最高位冒険者ですわ」
「なんと!」
国王が初めて反応を示した。王子達はまだ見下し笑っている。嘘だと思っているみたいだ。確認のため国王に冒険者カードを渡す。
「確かに彼は虹色の最高位冒険者じゃ」
その国王の発言を聞きいっきに王子達の顔が苦々な表情を浮かべた。詳しく聞かされていない僕にはなんのことやらさっぱりわからない。
「ゴーーーン」
とベルが鳴り響く。国王が立ち上がりドアを開け退席する。すると入れ替わりで入ってきた秘書風の女の人が
「これにて第一回目の王位継承権会議を終了する」
と告げる。次第に王子達も立ち上がり僕を睨みドアから退席する。残ったのは僕と姫様だけである。
姫様は気がゆるんだのかふらりと力が抜け倒れそうになるのを僕は後ろから支える。姫様は僕にもたれため息をつく。
「なんとか、うまくいきましたわ」
「姫様、どういうことか説明してください」
僕は少し声に力を込めて言う。
すると姫様は消え入りそうな声で事情を語り始めた。
来週あたりには国王が退位する。つまり王子または王女の誰か一人に王位継承権が与えられ王となる。次の王を決めるのは現国王であるため王子や王女達は必死にアピールしなければならない。まして王位継承権の会議以外に国王に対してその話をしてはいけないという決まりがあるのでさらに必死さが増す。
一般的に知られている基本的な条件は剣技、魔法適正、魔法量などである。しかしそれだけでは王になり得ない。例外は国民の絶大的な支持、知力、推薦者なども絡んでくる。
よって姫様は推薦者または知力で勝負するしかないのだ。だけど絶大的な支持がなければ知力があっても何も案が通ることはない。つまりできないことを省いた結果残ったのは推薦者を利用するしかない。
ここで一つ問題が起きた。それは貴族は推薦者になることができないということだ。
それこそ貴族と王族の誰かが組んでしまうと均衡が崩れてしまうからだ。
となると国家騎士または国家魔導師内の支持が必要である。またここでも問題が起きる。
国家騎士や国家魔導師は実力によって這い上がってきた人達だ。そんな人達が才能がない姫様を支持するとは到底思えなかった。絶望的に見えた王位継承権。国内の色々な村や町を旅し推薦者を探していた。見つからず諦め掛けていたそんな時、冒険者である僕が目の前に現れた。
「そして今に至りますわ。本当に申し訳ございません」
姫様は深々と頭を下げた。話してる途中護衛といい王位継承権に利用してしまったことから姫様は目を合わそうとしなかった。
「なぜ、そこまで王になることにこだわるのかな」
才能がなくどんなに絶望的でも諦めずに可能性を探り続けた。僕は話をすればするほど不思議になっていった。純粋に知りたいと思った。
「それは……この国を豊かにしたいのですわ」
そう言う姫様は無表情のままだ。おそらく言っていることは本当かもしれないけど真意は違うと僕のカンが言っている。僕はそのことをあえて尋ねない。
ここまで事情を話してそれでも言わないということは余程のことだと思ったから。
「わかりました。僕が協力できる範囲なら協力します」
「ありがとうございます」
とまた姫様は深々と頭を下げた。
「これはシュウイチ様を騙していたせめてもの償いです。こんなものでは足らないと思いますが……」
と金貨五十枚の袋を渡してきた。それを僕は素直に受け取る。変に遠慮した方が姫様も辛いと思うから。これで少しは心が和らぐだろう。
「明日からまたお願いしますわ」
と何度も何度も王宮前の門にてお願いをされた。
ある程度は情報屋の情報通りだ。
姫様の本心を聞きたかったなどと思いながら僕は宿に帰るのであった。
読んでいただきありがとうございます。