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元モブ、王宮にてお茶会。魔法適正あり?

 僕は冒険者組合で冒険者カードを発行し姫様がいる馬車にひつじと共に戻る。

 姫様はソファーに座りゆったりとしていたが目は待ちきれないことを訴えかけてくる。期待しすぎじゃないのか………


「再発行うまくできました?」

「はい、おかげさまで」


 すると姫様は手を指し出してきた。冒険者カードを見せてってことでいいんだよな。

 ポケットに入れていた冒険者カードを取り出す。


「虹色……予想以上ですわ。これならいけるかも」


 今まで表情は何一つ変わらなかった姫様だが少し頬が緩んだ気がした。

 そのことに何か違和感を感じた。


「今から王宮でお茶でも一杯いかがですか?」

「そこまでは悪いですよ。それに無一文ですから」

「王族を守ったのですからそれくらいお礼をさせてください」

「そこまでおっしゃってくださるのなら」


 冒険者で依頼してはやくお金を貯めて無一文ではなくなりたいが朝しか依頼ができないし王族と関わることなんてほとんどないだろ。いい機会なのかもな。






「まだ先ですよ」

「はい」


 おそらく僕は王宮の廊下を歩いています。いやー王宮内は素晴らしいなんてわからないや。


「次は右に九十度曲がってください」

「はい」


 おっと角を曲がったようです。一体どこに向かっているんでしょうか。

 僕は王宮内に入るところからこんな感じである。なぜなら暗黒魔法絶視(あんこくまほうダークビジョン)により前が見えない状態にされてしまったからだ。

 理由としては王宮内のマップがわからないようにするためであり、王宮への攻撃をしにくくするためらしい。効果は結果に現れていたこの国が立ってから500年、襲撃が成功したものがいないみたいだ。


絶視(ダークビジョン)を解除します」


 すると視界が元に戻った。しかし魔法の影響か少し辺りが眩しく見えた。

 ここは王宮の一角の客室にいると告げられる。客室は日本にある普通の一軒家の一階の3倍ほど広く天井には宝石でできたと思われるシャンデリア、高そうなツボに椅子と机があった。


「さぁ、二人だけのお茶会を始めましょうか」


 姫様の言葉と同時にひつじは退室した。


「でもその前にショートケーキ一つとショコラと後は……」


 姫様がメイドに次々と注文して行く。


「姫様、お話とはなんですか?」

「あと、これとこれもお願いしますわ」


 まだ姫様は注文中だ。おっと最初に注文していたケーキが来たみたいだ。姫様は来たケーキを食べ始めるが注文は続行される。


「姫様……要件と……」


 僕は姫様が食べるスピードが落ち着くまで待機することに決めた。姫様は食べながら注文しているのにもかかわらず食べ方は上品でいて気分を害さない。

 僕もちゃっかりケーキを二ついただくことにした。

メイド達はせっせせっせと働く。通勤ラッシュのように出入りを繰り返す。大変そうだなと眺めるのであった。





 少し経つと姫様はフォークを置く。食べ終わったみたいだ。試しに声をかけてみる。

 


「姫様……あのーーお話は……」

「単刀直入に申し上げます。明日からの一週間だけわたくしの警護をしていただきたく存じます。警護時間は朝の8時から夜の7時までですわ。もちろん報酬も出させていただきますわ、先払いで」


 単刀直入すぎるな……しかし姫様がわざわざ最上位冒険者に警護を依頼する理由がなんだろう。それも今日あったばかりの冒険者に。

 それに無一文の僕に先払いで依頼するのか。何か引っかかる。


「姫様には護衛の兵士達がいらっしゃるのでは?」

「兵士達は明日からの一週間休暇ですわ」

「当番制とかではないのですか?」

「その辺はひつじに任せていますのでわたくしはちょっとわかりませんわ。そんなことより依頼を受けてくださいますか?」

「うーん、わかりました。その依頼受けましょう」


 姫様が何を考えてやっているのかわからないが無一文の僕には断る理由は一つも見当たらなかった。

 僕が依頼を受けるといったとたん姫様の頬が少しまたやるんだ気がした。やはりおかしい。


「ちなみに報酬はこれくらいですわ」


 とテーブルに置いてあったメモ用紙ほどの大きさの紙にペンで書き渡してきた。そこには金貨50枚とかかれている。


「その額を見て驚きませんわね、さすが最上位冒険者様ですわね」


 えっ、そんなに多いのか。いくらか分からず紙を眺めていただけなんだが。


「この金額でよろしいですか?」

「異論ありません」


 下手にこの世界のことを知らないということを知られると騙される可能性があるので素直に頷く。

 するとメイドが金貨50枚袋にいれて持ったきた。ストレージには今ここではしまわない。ストレージの存在がレアな可能性があるからだ。


「魔法診断の件は冒険者組合にてしてもらえますわよ」

「ありがとうございます」

「では、また明日にお会いしましょう」


 と俺はまた暗黒魔法絶視(あんこくまほうダークビジョン)にて王宮から出るのであった。

 後々マップがあるじゃんなどと気づくのであった。






 姫様と別れて冒険者組合に行く。ひつじが言っていた通り、冒険者達の依頼の結果報告により冒険者組合は沢山の人で溢れていた。もう夕方か。

 最上位冒険者専用の受付へと向かう。


「虹色の冒険者シュウイチ様ですね。どうされましたか?」

「えっと、魔法診断してもらいたいのですが可能でしょうか?」

「もちろんです」


 するとまたもや奥から三十センチほどの大きな石を受付のおねーさんは持ってきた。かなり重そう。


「この魔石に魔力を注いでください」


 魔力を注ぐ……。ゲームでは魔法は使ってたけどコマンドぽちぽちだったし。

 てか最上位冒険者専用の受付にいるためかギャラリーが増えてきた。はやく終わらせなければ面倒なことになるかも。


「魔力を注ぐってどんな感じですか?」

「どんな感じかは言葉では表せませんが魔法は我々の近くにいる精霊に力を借りています。自身の体内にあるエネルギーまたは魔力を精霊と等価交換しているのです」


 一言で言うと考えるな感じろってことか。こうかな。魔石は光輝きヒビが入り、次の瞬間ボロボロに砕け散った。


「すごいです!歴代こんなことはありませんでした。魔力量が膨大なため魔石が破壊されるなんて」


 これが本来の使用かと思ったが違ったみたい。僕、やってもうたな。姫様から金貨50枚で依頼を受けたけどそのお金で足りるかな……でも聞くしかない。


「その魔石は弁償になりますか?」

「少々お待ちを」


 するとおねーさんは奥へと消えていったが2分ほどで戻ってきた。お偉いさんに相談しに行っていたみたいだ。


「こんなことは異例の事態であることから最上位冒険者の魔力量に免じて弁償はなしということになりました」


 よかった。危うくまた無一文になるかもしれないところだった。セーフ、セーフ。








少しでも作品を楽しんでいただけると幸いです

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