09_疑惑の目
「おぬし、もしかして偽っておるな。」
「…」
隼人は答えない。いや、答えられない。なにをどのように話せばよいのかわからないでいる。
「やはりそうか。答えない…と言うことが答えか…」
リタカベの眼光はさらに強さをまして、顔を近づけてきた。口元は少しばかり開き、鋭い刃が光っている。
隼人は逃げることもできずただじっとリタカベを見つめていた。
「おぬし…偽っておるな、年齢を。」
「へぇ?」
「ちぃーとばっかしマセて見えるが、まだ10才くらいか?」
「いや、ちが…」
「…」
「そ、その…」
「ぷっ」
「え?」
「ぷ、ぷはっははは。」
突然、リタカベが笑い出した。大口を開けて笑い転げるほどの勢いだ。
「いやぁ、すまん、すまん。一度やってみたかったのじゃ。」
「はぁ?」
「人をからかうのも、たまには楽しいものじゃな。」
「…」
「見たかわしの迫真の演技。おぬし、脂汗をかいておったぞ。」
リタカベは得意気な顔をしている。隼人は安心と呆れが同時にやってきて複雑な表情を浮かべている。
「いやー、すまんかった。こんなに大笑いしたのはいつぶりか…。最近はとんと人が寄りつかんものでな。」
「い、いえ。そういえば、リタカベさんはここでなにをしているのですか。」
「わしは…。」