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「趙雲の気まぐれ短編集」  作者: 趙雲
Trick or Treat! -殺し屋たちの待ち合わせ-
12/69

「Trick or Treat! -殺し屋たちの待ち合わせ-」

予約投稿が出来ておらず、遅刻してごめんなさい。

元の原稿を若干変更いたしました。


殺し屋たちもハロウィンは楽しみたいのです。


※約3,300字

2015年10月31日

ハロウィン特設会場 入口前

菅野



 今日は仮装イベントで有名なハロウィンやで!

もともとの意味を俺は知らんのやけど、裾野が収穫が何とかって言うてたで。

ほんでここは鳩村公園前なんやけど、仮設の仮装撮影会に参加したいって俺がごねたからリヴェテさんと一緒に裾野を待ってるんや。

あいつ……時間ぴったりに来るからしゃあないんやけど、遠くから女の人たちに見られていたり、写真を撮られたりされて、ちょっとやけど気味悪い思てん。

写真撮りたいなら、言うてくれればええのに……。

そういう俺は、野良っぽい黒猫をイメージしてコーディネートしてみてん!

耳は無いけど、一緒に写真を撮った人たちからは何も言わんくても分かったみたいやから、普段着でも結構いけるんかな?

せやった、リヴェテさんは、猫が着る服を嫌がるからそのままやで!

 それにしても殺し屋もこういうイベントは楽しみたいんか、何人か既に知り合いを見かけててん。

まず鳩村公園の入り口すぐ横に居るんは、後醍醐純司(ごだいご じゅんじ)や。

マッドサイエンティストの格好で血糊までご丁寧につけてんから、結構クオリティ高いで!

それに髪の毛もボサッとさせとるし、顔も特殊メイクまでやってんねん。

俺は流石にそこまで出来へんわ……。

多分やけど、こいつは兄の(まさる)を待ってるんとちゃうん?

それにネタなんやろうけど、傑の銃を一般の人に向けてんのはほんま危ないわ。

 次にその隣で本を読みふけってるんは、入れ替わり事件の時に世話になった(れん)やな。

背が小さくてぽてっとしてはるからか、マキシ丈黒魔女ワンピースで決めててん。

せやけど本を読んでるからか、めっちゃ魔法使えそうな雰囲気出てるで。

この子はあれや……俺の嫌いな黒河月道待ちやろな。

前に昏睡から目覚めたあいつんとこ行ったときに一緒に出てきてたし、仲良いってのも鳩村はんから聞いててん。

あ~あ、俺の方がええのにな~……なんちゃってな。

 お、珍しい人もおるで。

反対側のところなんやけど、たしか片桐組のエンジニアで毒の研究をしてる大崎月光(おおさき るこう)とちゃう?

宇宙服やから顔まで隠れてはるし、ほんま予想なんやけどな。

でもなんか異質な雰囲気を感じるから、そうな気がする。

スマフォゲームに夢中すぎて、誰待ちなんかもよう分からんな~。

裾野が来るまでに来たら見てみようかなぁ。


「結構殺し屋さんも楽しんでいるみたいね」

リヴェテさんはお座りして俺を見上げると、他の人に喋っていると思われへんように顔を背けてん。

「せやな~。一般の人の方が多いし、今日わざわざ休みにせんでも――」

って、俺がスマフォ片手にブツブツ言うとると、ピロリンって軽快な音が鳴ってん。

多分裾野とちゃうかな?

「……あ~」

俺はCAINの吹きだしを見て思わずニヤッとしてん。

そしたらリヴェテさんは苦笑いやったんやけど、裾野は空くんっていう子どもが居るから寝かしつけてくるんやって!

あ~めっちゃパパやんな~!

「子どもの世話?」

絶対俺の表情で分かったと思うんやけど、リヴェテさんはスマフォを胸に抱いている俺の足首を突っつきながら言うてん。

「せやねん!!」

俺はしゃがんでリヴェテさんをわしゃわしゃ撫でながら笑顔で言うと、リヴェテさんは盛大にため息ついてん。

「はぁ……その結婚指輪は裾野さんとのだっけ?」

って、指輪に興味津々な猫の振りをして引っ掻いてきたんやけど、そないなつもりとちゃうねん。

子ども居るのはほんまに羨ましいし、たまに遊ばせてくれるのも俺を信頼してくれてる証やろ~?

せやから裾野のことこんな風に言いふらしたら、そう見えるんかな?

「う~ん……小指のはせやけど……」

って、裾野がくれた指輪を見せると、リヴェテさんは大きく目見開いてん。

「やっぱそうよね! すっごく高そう!」

裾野はほんまに大事な時しかお金使わへんから……あかん、これは恥ずかしい話や。

 ほんでそれから数分待って待ち合わせ時間になったんやけど、特に裾野からも連絡来()うへんし、ほんまに5分遅れで平気なんかな~?

せやけどな、めっちゃ珍しい人がこっちに向かって走ってきてん。

コスプレはしてへんけど、秋なのに真冬に着るダッフルコートに下は短パンでも履いてるんかな?

色もコートが紅で、薄い生地のスリッポンが深緑色やってん。

「お兄ちゃんの相棒さ~ん!」

あ……思い出したわ。裾野の弟の後鳥羽潤(ごとば じゅん)や。

街中じゃ目立つ白髪で、真っ黒で顔半分隠れるマスク姿やから、ある意味みんな振り返ってん。

「はいは~い」

俺は苦笑いで潤を迎えると、リヴェテさんは不思議そうに首を傾げてん。

「お兄ちゃんは?」

せやけど潤は目を輝かせたと思たら、すぐに兄である裾野のことを訊いてきてん。

でもな、めっちゃ嬉しそうに跳ねながら訊いてくるってことは、ほんまに裾野のことが好きなんやな思てん。

「あと5分くらいで来るで。ほんまに好きなんやな……」

せやけどいくらハロウィン言うても、こんなに裾野に対して……あーもう分からんからええわ!!

「そっか!」

潤は俺の顔を見ずに言うと、ポケットから黒猫の耳のカチューシャを取り出して被ってん。

「お兄ちゃん、どんな格好かなぁ?」

しかも色々想像してるんか、頬まで緩めてて……弟なのに若干嫉妬してん。

「知らんけど、クオリティ高そうやな」

それでも俺は、子どもん時みたいに不機嫌になったりせえへんと頷いてん。


 それからちょっとすると、恋が待っていた黒河月道が狼男の真似をしながら来てん。

恋はめっちゃほっとしてたのと、クオリティの高さに驚いててん。

ほんでまた5分後に、後醍醐純司がほんまにドラキュラの格好した傑に向かって発砲したときは驚いたで。

せやけど傑も相殺させてて、流石殺し屋思てん!

まぁ……一般の人の視線は集めちゃったんやけどな。

「わっ、怖いね~」

それでも潤はどこか楽しそうに目を細めて俺に腕を回してきてん。

「せ、せやな……」

俺は急に距離を詰められて気味が悪かったんやけど、リヴェテさんは心配そうに見上げてくれたし愛想笑いすることにしてん。

早う裾野来んかな~?

 そう思っていると、向こうの方から見覚えのある顔が見えて俺は思わず腕を振り払って駆け寄ってん。

「ん? どうした、菅野?」

裾野は侍の格好してたんやけど、雅っぽい袴が格好良くてぎゅっとしてん。

「ん、んん?」

ちょっと困ってはったけど、裾野はいつも通り頭を優しく撫でてくれてん。

やっぱり裾野ぐらいの距離感がええな。

「何でもないで」

俺は少し屈んで柔らかい胸板に顔を埋めて、時間通りに来てくれたことの感謝もしてん。

「そうか?」

裾野はガバッて顔をあげた俺に驚きながらも、その後ろに居る潤に気付いて意味ありげに頷いてん。

「潤、よく外に出られたな」

そう言われた潤は、俺を引き剥がそうとしたんやけど、裾野はぎゅっと俺の背中に回した手に力を込めてん。

「うん! お兄ちゃんに会いたかったの!」

黒猫の耳を弄りながら飛び跳ねる潤は、やっぱり俺が独占してると思ってるんか、若干不満のオーラが出ててん。

「それはありがとうな。だが今は……こうしておかないといけない気がするんだ」

せやけど裾野は俺から手を離さずに、ずっと俺には笑顔を向けてくれててん。

ほんま……ええ人やな。

「そっか! お兄ちゃんが決めたならいいよ!」

何やろう、裾野の言う事は何でも聞くんかな?

「うん、潤はいい子だな」

裾野は微笑みながら言うと、会場に向かおうと俺たちに声を掛けてん。


 それから待ち合わせ相手が来てへん大崎月光の方を見たら、物凄く苛立った様子でスマフォを弄っててん。

怒りのオーラが出てはるし、結構遅れるんかな?

まぁあと5分あるから、何とか間に合うんとちゃうん? 知らんけど。

ほんで俺たちが会場入りして鳩村公園前に垂れ幕がかかろうとした頃になってから、ドタバタと走って来る音が聞こえたと思ったら、大崎月光と藤堂からすやってん。

「待って~!!」

しかも宇宙服と烏天狗のコスプレで走ってたから、スタッフも大慌てで身分証を確認しててん。

ま、このあとSNSで拡散されてたんは……予想通りかもしれへんな?

さてと……ハロウィン一色の会場やし、入り口でカボチャ型のお菓子入れも貰たし、早速いくで!

「トリックオアトリート!」

恋です!

視点は菅野だったのに、しばらく私でごめんなさい。


投稿日について、変更がございます。

もしかしたらご一緒に受験される方もいらっしゃるかもしれませんが、あと数週間すると資格試験がございます。

その資格を確実に取りたい為、明日(11月4日(土))、明後日(11月5日(日))に更新が間に合わない可能性が非常に高いです。

ですので、今週中のどこかでの更新という形でご了承ください。

大変ご迷惑をおかけ致しまして、申し訳ございません。


それでは、良い連休を。


半分作者でしたが、前半だけ恋でした!


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