8話 人は見かけで判断してはいけない。
MATASETANA!
今回も短いよ!
「燃えていました。
全てが燃えていました。
草木も家も轟々と燃える炎に包まれていました。
周囲から人々の悲鳴が鳴りやみませんでした。
その時の私には力は無く、どうする事もできず只々呆然とそれを見ていることしかできませんでした。
人々が炎から逃げ惑い、私自身も逃げようとしましたが煙に巻かれてしまい倒れ伏してしまいました。
煙を吸い込んでしまい意識が朦朧とする中、私はここで死ぬのかと諦めかけたその時…
「ブヒィ!そこの超絶美少女!今、助けるブヒィ!」
一人のハンサムなオークが颯爽と現れました。
彼は自分が炎に焼かれるのも構わず私に駆け寄ると、その逞しい腕で私を抱き上げこう言いました。
「ブヒィ。もう大丈夫ブヒィ。怪我はないブヒィ?君のような絶世の超絶ウルトラグレートハイパーマキシマムウルトラ美少女に火傷の跡が残ったら世界の損失ブヒィ!」
彼は私を安全な場所まで移動させると、すぐに現場に戻り消火活動を始めました。
やがて炎が治まり完全に鎮火したのを確かめると彼は私のところに戻ってきました。
「これでもう大丈夫ブヒィ。それにしても君はなんて可愛らしいんだブヒィ!是非とも名前を教えてほしいブヒィ!」
「はい!私はローゼ!ローゼ=クッコです!」
・
・
・
これが私たちの出会いでした。」
「ほとんど妄想ブヒィ…」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
あの後、女騎士たちを追い払った後、息を荒げながら近づいてくるローゼさんにシューバインが襲われる寸前で、たまたま路地裏の清掃の為に通りかかった世紀末清掃員の人達に助けられた。
顔…というか全体的に怖いけどとても良い人達だった。
アニーキさん(スキンヘッドの人・リーダー)が「ここは俺たちが引き受ける!お前らは早く逃げやがれぇ!」と俺たちを逃がそうとしてくれた。
ザッコ―さん(モヒカンの人・サブリーダー)は「ヒャッハー!いくら女騎士の隊長さんだってなぁ?この人数を相手にあいつらを追えると思ってんじゃねえぞ!」とアニーキさんに続いて部下の人達に指示してローゼさんの進路を塞いでくれた。
モブゥさん(特徴無し。敢えて言うなら顔が認識できない・無貌)は「#%$&?%#&$!!!」と叫び、間接とか骨格とか無視したような不思議な動きをしていた。
他にも清掃員の人達が「倒してしまっても」とか「俺、今度結婚するんだ」とか「逃げきれたら酒でも飲もうぜ」とか言いながら俺たちを逃がしてくれた。
俺たちは走った!清掃員さん達の漢気を無駄にしないためにも逃げきらなければならない!
ギルドまで逃げれば振り切れる筈だと思い、只管走る!
ギルドの入り口が見えてきた!あと少しだ!
俺たちは転がるようにギルドに逃げ込んだ!
やった!逃げきったぞ!
「あら。遅かったですね?」
聞こえてはいけない声が聞こえた…
そんな馬鹿な!なぜここに居る!清掃員さん達はどうしたんだ!
「ああ、彼等なら路地裏で寝ていますよ。大丈夫です。殺してはいませんから。」
あの人数を倒して追い抜くとか強すぎるだろ!
「まあ、立ち話もなんですから座ってください。」
促されるまま俺たちは席に着いた。
「さて、自己紹介がまだでしたね?私はローゼ=クッコといいます。この国の騎士隊の隊長を務めています。」
えーとヒデオです。
「貴方のことは国から知らされていますよ。異世界から召喚された勇者ヒデオ。」
ああ、騎士隊長様だもんな。そりゃ知ってるか。
「シューバイン様を斬ったことも知っています。私のシューバイン様をよくも…と思いましたが、シューバイン様自身が許しているなら私がナニカすることはありませんから安心してください。」
その節は本当にすみませんでした。
ん?私の?
あの失礼ですがシューバインとの関係は?
「妻でs「妄想ブヒィ。」…」
「………コホン。それでは私とシューバイン様の馴初めを御教えしましょう。」
続けた!?
「あれは15年前のこと…」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
で、冒頭に戻ると……
今のかなり誇張表現が含まれてるんだろうな。
「いやボクあんな台詞言ってないブヒィ。それにまるで町一つ火事になったみたいに言ってるけど、実際はローゼが火遊びしてボヤを起こしただけブヒィ……」
記憶の改竄しすぎだろ!?
このエルフ…
…この世界、色々おかしい。
この清掃員さん達はギルドの新人が絡まれているのを見て助けるレベルのいい人達です。
でも冒険者ではありません。
あくまで清掃員です。