7話 女騎士と言ったら【くっ殺】は、もはや常識
しばらく体調崩してました。日にち開いてしまい申し訳ありません。今回も短いですが楽しんでいただければ幸いです。
初依頼を終えて帰ってきた俺たちは、報告するためにギルドに向かって歩いていた。
今回は薬草採取は成功したけど、スライム討伐は失敗に終わった。
というか、あのスライムは無理だ!見ているだけで精神をガリガリ削ってくるし…
何だよ!あの名状し難い外宇宙的な不定形生物は…どう考えても序盤で戦う奴じゃなかったぞ!
いや、本当に初依頼だっていうのに散々だったよ…あんなヤバいのが最初の街周辺に生息してるとか、これから冒険者としてやっていける自信が無くなるなぁ…
「ヒデオ、そんなに気を落とすことないブヒィ。スライムなんて普段は殆ど見かけないし、今回は運が悪かっただけブヒィ。それにスライム討伐は難易度が高すぎるからキャンセルしても違約金は発生しないブヒィ。薬草採取は成功したんだから、初依頼は成功ってことで良いと思うブヒィ。」
シューバインが励ましてくれるけど、この幸先の悪さは落ち込むわー…
俺は近くの壁に手をついて項垂れた。
「ブヒィ。ギルドに着いたらヒデオの初依頼成功を祝って何か奢るブヒィ。だから元気出すブヒィ。ブッ?ブヒィィイ!?」
それはありがたいけど、どうしたんだ急に奇声を上げて…
項垂れていた俺は、シューバインが居る方に振り向きつつ顔を上げると、そこにシューバインは居なかった。
あれ!?さっきまでそこに居たのにどこいったんだよ!?
キョロキョロとシューバインを探していると、「ヒデオ―ヒデオ―」と俺を呼ぶ声が聞こえる。
シューバインの声がする方を向くとそこには…………
荒縄でグルグル巻きにされて、騎士らしき恰好の女性3人に担がれて宿屋に連れ込まれる寸前のシューバインの姿があった…3人の内1人はどこかで見た様な…
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…はっ!?訳が分からないその光景に一瞬思考が止まっていた!いや本当に何があった!?
「ヒデオ―!助けてブヒィ!」
とりあえずシューバインが被害者だということは分かった。
「女騎士に襲われてるブヒィ!女騎士はオークの天敵ブヒィ!早く助けてブヒィ!」
シューバインは本気で嫌がってるっぽいな…
よし。助けるか。俺は相手が女子供でも容赦しない男だぜ!
うおー!シューバインを離しやがれ―!
そう叫びながら女騎士に殴りかかる。
が…世の中そんなに甘くない。普通に返り討ちにあった。
「なんだお前は。私たちはこれからこのオークと【お楽しみ】だというのに邪魔をするな!」
「そうよ!邪魔するんじゃないわよ!あれ?あんた見たことあるわね……あ!あの時シューバイン様にいきなり斬り付けてきた奴じゃない!」
「なんですって!聞き捨てなりませんわね!そんな極悪人はこうしてくれますわ!」
げふぅ!?
三人に蹴り転がされる。
いや、無理やり宿に連れ込もうとしてたお前らに極悪人呼ばわりされたくねえよ!というか、一人見覚えあると思ったらあの時のシューバインのストーカー女じゃねえか!
「だれがストーカーよ!私はただ、朝から晩までシューバイン様の行くところに付いて行って抱き着いたり愛の告白をしてるだけよ!それのどこがストーカーだっていうのよ!」
そういうのをストーカーって言うんだよ!
こいつ頭がおかしいんじゃないのか!?いや、ストーカーは皆そうか…
「貴女達。ここで何をしているのですか。今は警邏中の筈ですが?」
ストーカー女と言い合いをしていると不意に声がした。
声がした方を見るとそこにはシューバインを襲った3人よりも少し立派な格好の女騎士が居た。
あ、耳が長い。エルフかな?
いや、エルフの女騎士とかそんなことはどうでもいい。また女騎士が増えてしまった…
「た、隊長!今日は非番の筈では…」
「ええ。そうですが今日は王城に用がありまして、先ほどそれも終わりましたので帰宅しようかと思っていたのですが…これはどういうことでしょうね?」
「こ、これは…」
「言い訳は結構です。オークに対して意思を無視して行為に及ぼうとしたのでしょう?いえ。そもそもオークだろうと人間だろうと犯罪ですが…処分は追って知らせます。今すぐ立ち去りなさい!」
「「「は、はいっ!」」」
シューバインを襲った3人は凄い勢いで走り去っていった。
あ、助けてもらったお礼言わないとな。
あの、助けていただきありがとうございます。
「大丈夫ですか?シューバイン様!」
ガン無視された。えー…
ていうかお知り合い?
「ブヒィ!?ロロロロロロ、ローゼ!?し、縛られてて逃げれないブヒィ!?」
「身動きができないシューバイン様が目の前に…ハァハァ…」
「くっ!殺せブヒィ!辱めは受けないブヒィ!」
その台詞、お前が言うのかよ!
今回は、名前があるキャラが一人増えました。これから偶に出るかも。