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6話 最初の依頼は簡単なのから始めるのは基本である

【警告】

今回はほんの少しですが残酷描写が含まれます。ご注意ください。


「ヒデオ。登録はできたみたいブヒィ。どうするブヒィ?早速なにか依頼受けてみるブヒィ?」


世紀末な清掃屋から奢ってもらったステーキを貪っているとシューバインが話しかけてきた。

ああ…あのいきなりのモヒカンインパクトで完璧に忘れてたな。そうだ。俺は冒険者になったんだったな…

ところで、依頼ってどうやって受けるんだ?シューバインに聞いてみるか。


「依頼なら受付の隣にある掲示板に張ってあるのを取って受付に渡せばいいブヒィ。」


ほうほう。えーと?受付の横、受付の横……あれか。確かに大量の紙が貼ってあるな。

ちょっと見てくる。


「いってらっしゃいブヒィ。最初なら弱い魔物の討伐か採取依頼が良いと思うブヒィ。」


うーん。いろいろ有るな。どれにするか…

俺が所謂チート系勇者とかなら、いきなり超強い魔物倒して一気にランクアップとかやるんだろうけど…

俺のステータス、一般兵士以下だしなぁ……

いや、そもそもこの世界の冒険者にランクとかそういうの無いんだけどな。

うーん…シューバインもああ言ってたことだし、簡単そうな奴からやるかー。

お、これにするか。スライムを1体討伐。

うん。スライムとか国民的ゲームでも雑魚の定番だしこれで良いだろ。

ついでにこの、この薬草採取も受けとくか。

よし。受付完了だ!受付の人に薬草の形状の書いてある紙も貰ったし、早速行くか!

おーいシューバイーン。


「ブヒィ?依頼は受けられたブヒィ?」


ばっちりだぜ!

早速行こうと思うんだ。


「それならボクもついてくブヒィ。ボクも薬草採取依頼受けてるブヒィ。」


なら一緒に行こうぜ。人数が多い方が安全だしな。


「そうブヒィ。そうブヒィ。じゃあ出発するブヒィ。」


そうして、俺とシューバインは城下町の外にある平原に移動した。

チラホラと木が生えてるくらいしか特に目立つような物は無いな。あ、ウサギだ…


「あれはキラーラビットブヒィ。小さく見えるけど遠くに居るからそう見えるだけでボクの倍くらい大きいブヒィ。凄く凶暴だから近づかないようにした方が良いブヒィ。この前、お城の兵士が10人がかりでやっと倒したって言ってたブヒィ。」


えぇー…あのウサギ、そんなにヤバいのかよ…ていうかシューバインの倍の大きさって…シューバイン、2メートル以上あるよな……


「まあ、近づかなければ良いブヒィ。ところでヒデオは何の依頼受けたブヒィ?そういえば聞いてなかったブヒィ。」


ああ、俺が受けたのはスライム討伐と薬草採取だよ。


「………ヒデオ。今、なんていったブヒィ?」


ん?いや、スライム討伐と薬草採取って言ったんだよ。


「や…やっぱり聞き間違いじゃ無かったブヒィ!スライム討伐なんて、何で受けたんだブヒィ!?」


え?スライムなんて雑魚だろ?


「どこ情報ブヒィ!?スライムが雑魚なわけないブヒィ!この平原で一番危ない魔物ブヒィ!!」


はあ!?うっそだろ!?スライムが強いなんてそんな訳が…ん?なんか引きずるみたいな音が…

後ろを振り向くとそこには名状し難い不定形の粘体が蠢いていた……


「ブブブヒィ!?スライムブヒィ!?」


シューバイン曰く、コレがスライムらしい。

スライムの見た目は水あめのような…いや、ゼリー状と言えばいいのか…何とも言い難い粘性の物体で、その中に人間の目玉のような器官が複数浮いていてギョロギョロと蠢いていて、人間の歯にも似た巨大な口のような物が縦に付いている。

スライムは俺たちには気づいて居ないのか、こちらに向かっては来ない。

ずるっ…ずるぅう…と重い液体が入った袋を引きずるような音を立てながら俺たちの前を通り過ぎて行く…

その移動している先を見ると、先ほどのキラーラビットが居る。

徐々にキラーラビットの方へ向かっていくスライム。

キラーラビットは後ろを向いていてそれに気づかない。

キラーラビットのすぐ後ろまでスライムが辿り着いた…

そこからは、余りのことに俺は動くこともできず、目を離すなんて出来なかった…

突如スライムが変形したからだ!

触手のような形状に変形した部分をキラーラビットに絡み付け、冒涜的な音を立てながらその縦に付いた大きな口を開いて…

グチャァッ…グチュ…グチャ…

スライムは何度も何度も、まるで断末魔の悲鳴を楽しむかのようにキラーラビットを咀嚼している。

しばらくはキラーラビットの悲鳴が聞こえていたが、やがてそれも聞こえなくなり辺りにはスライムの咀嚼する音だけが響いていた…


「ヒデオ…できるだけ音を出さないようにするブヒィ…」


はっ!はぁっ……はぁっ…

シューバインが小声で話しかけて来たことで、俺は自分が息をすることすら忘れていたことに気付いた…

そしてすぐに息を潜めた…

それからしばらくスライムに気付かれないよう動かずにいると、スライムがずるっ…ずるぅっ…と生理的な不快感を煽るような音を立てながら移動を始めた。

どうやら助かったようだ…

スライムはそのまま何処かへと消えていった…

消えていく最後に「てけり・り」とか聞こえた気がしたけど、聞かなかったことにしよう。


「ブフゥウウウウ…助かったブヒィ…」


シューバイン。俺、スライム討伐はキャンセルするよ。アレは無理だ。


「それが良いブヒィ。ああいうのは触れないのが一番ブヒィ。」


ところで、薬草採取はどうしようか?あんなの居たら何にもできないぞ?


「今、遠くへ行ったばっかりだから急いでササッと採取してすぐに帰るブヒィ。ヒデオも初依頼が両方とも失敗は流石に不味いブヒィ。」


それもそうだな。…よし!スライムが戻って来ないうちに終わらせちまおう!

そうして俺たちは薬草採取に精を出すのだった。


「あ!薬草を抜くときは耳栓を付けないと死んじゃうから気を付けるブヒィ。」


マンドラゴラじゃねえか!

シューバインが居なかったら死んでたな…

この世界、思ってる以上にヤバいんだけど…………

言い忘れましたがSAN値が下がるかも知れませんので、お気を付け下さい。

手遅れかも?

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