21話 便利アイテムは重要であるが過信してはいけない。
今回、後ろの方に一部のキャラのステータスが載っています。
チュンチュン……
チュンチュン……
む、もう朝か……
微睡の中、窓の外から小鳥の囀りが聞こえる。
外はまだ薄暗く、まだ日は昇っていない。
チュンチュン……
ヂュンヂュン……
何やら聞き覚えのあるバリトン囀りも聞こえる。
鳥人族の長とか言ってたけど、何処にでも居るなフェーニクス……
こんなに早くから何やってるんだよ……
さて、ここで普通の異世界召喚された主人公なら、カーテンを開けてイベントが発生したりするんだろうけど……
いや、普通は異世界召喚とかされないんだけどな?
まあ、それは置いておこう。
俺みたいなチートと呼べるような能力も持っていない雑魚の場合は、関わったら碌な目に合わない事は明白だ。
よし。
無視だな。
さて、二度寝するか。
「ヒデオさん。起きていますか?」
ん?
二度寝を決め込もうとした矢先、ドアの方から声がした。
この声はアリエルだろう。
これは流石に無視したら悪いので、眠気を堪えてドアを開けるために立ち上がる。
おはよう。
こんな早くにどうしたんだ?
「おはようございます。朝早くにすみません。昨日の内にヒデオさんの今日の予定を聞くのを忘れていたもので……」
予定?
あー……
特に決めてないなぁ。
「それは良かったです!それなら今日は私と出かけませんか?」
ああ、一緒に出掛けるね。
うん。
うん。
うん?
その言葉に眠気が一気に覚めた!
なななななななんだってー!?
二人でODEKAKEだとぉ!?
美少女と二人で出かけるなんて……
それはつまりデートのお誘いということだろ?
ふっ……
苦節異世界生活一か月ちょっと……
遂に俺のモテ期が来たのか?
来ちゃったのか?
ふっ……
やはり異世界召喚されたら、こうじゃなきゃな。
くっくっくふふふふふ……
……おっと妄想してないで返事しないとな。
アリエルが俺がなかなか返事しないから怪訝な顔をしているし……
おっ、オッケー。
なな何時にする?
緊張しすぎてめっちゃドモった……
「では、9時くらいに旅館の前に集合したいのですけど、その時間で大丈夫ですか?」
わ、分かった。
じゃあその時間に旅館の前だな。
「はい。楽しみにしていますね。」
やだ。
めちゃくちゃかわいい。
「それでは、私は一度部屋に戻ります。では、また後程。」
そういってアリエルは自分の部屋に戻っていった。
…………い………
いよっしゃー!
来たよ来たよ!
俺の時代が!
「ヒデオ~。朝から騒いじゃダメブヒィ……」
あ、なんかゴメン……
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
さあ、9時だ!
これから俺のバラ色異世界生活が幕を開けるんだ!
・
・
・
と、思ってた時代が俺にもありました。
「ヒデオ君。どうしたんだい?俯いて……気分でも悪いのかい?」
「え?大丈夫ブヒィ?」
……うん。
二人じゃなかったね。
そうだろうね。
デートと思い込み、意気揚々と集合場所に向かった俺だったが、集合場所にはアリエルだけではなく普通にレオンとシューバインもいた。
いや、出かける前にシューバインが「僕は先に行ってるブヒィ。」とか言ってるから、なんかおかしいなーと思ってたんだよ……
そうだよ。
アリエルは一言も二人でなんて言ってなかったんだよ……
ふっ……
所詮俺はモブだったか……
短い夢だったな……
「全員揃いましたし行きましょうか。」
何時までも落ち込んでいても良い事無いから気を取り直して、出発するみたいだからついて行こう。
ところでどこに行くのか聞いてなかったけど、どこへ向かってるんだ?
「あ……。すみません説明していませんでした。今日は、その、以前の件と昨日の件も兼ねてヒデオさんにお詫びの品を贈りたいと思いまして……」
え?
どっちかと言うと俺の方が悪かった気がするんだけど……
なにこの娘、天使なの?
そんなこんなで目的地に到着した。
温泉郷の冒険者ギルドの隣の宝飾店だ。
店の中に入るとアリエルが店員に何かを告げる。
「はい。それでは試用機を持って参りますので少々お待ちください。」
そう言うと店員は店の奥に去って行った。
「ヒデオさん。試用機が来るまでの間にフレームを選びましょうか。」
ふれーむ?
「こっちです。」
アリエルについて行った先には、どこかで見たことがある戦闘力が計れそうなデザインの片メガネのような物が……
……え?
これ大丈夫なやつ?
モザイクかけないといけない奴じゃない!?
「贈りたい物というのは、この【ステータスカウンター】です。」
はいOUT。
ぎりぎりどころじゃない奴だこれ!?
「これは冒険者としてやっていくのならとても便利なんですよ。」
「うん。名前からも解る通り対象のステータスを見れるアイテムでね。討伐系の依頼には必須と言っても良い物なんだ。」
「魔物だけではなく人のステータスも見れますから、冒険者カードを見る手間も省けますしね。」
うん。
見た目からして明らかにそのためのアイテムだもんな。
完全に歴代勇者の仕業だな。
「中に鑑定石が入っていて、それでステータスが見れるのさ。まあ、サイズが小さいから安いのだとスキルは見えないんだけどね。」
アリエル達から説明を受けていると店員が戻って来たようだ。
「お待たせいたしました。こちらが試用機になります。どうぞお試しになってください。」
どれどれ……?
俺は受け取ったステータスカウンターを左耳に装着する。
付け心地はまあまあかな。
安いヘッドホンみたいにちょっと耳に違和感がする。
「本体側面にボタンが3つあるのですが、まず1番上のボタンを押してみていただけますでしょうか?」
店員の説明の指示通りにボタンを押してみる。
すると画面部分に俺のステータスが表示された。
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ヒデオ=イサモノ
種族・人間(♂)
Lv.15
HP・800/800
MP・50/50
筋力・300
耐久・900
敏捷・150
知能・80
運 ・400
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ふむふむ。
最近冒険者カード見て無かったけど、結構レベル上がってるな。
何気にジミーさん超えてる。
試用機に使われてる鑑定石のランクだとスキルは見えないのか。
「次に真ん中のボタンを押していただくと正面の対象のステータスが表示されます。」
そう言われてボタンを押すと、今度は俺の正面に居たレオンのステータスが表示される。
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レオン=マリウス
種族・人間( )
Lv.46
HP・5000/5000
MP・4000
筋力・700
耐久・1200
敏捷・500
知能・120
運 ・50
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レオン強っ!?
ん?
性別が表示されてない?
故障か?
「最後のボタンを押していただくと、画面内に複数の対象が写っている場合に、その中で対象を切り替えることができます。」
ほー。
今俺の画面にはレオンとアリエルが写っているから、ボタンを押すとアリエルのステータスが表示されるってことか。
どれどれ?
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アリ■ル=■ーバ■ィ
種族・■■(♀)
Lv.30
HP・18000/18000
MP・12000
筋力・■■■■
耐久・2000
敏捷・1000
知能・160
運 ・200
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…………なんか文字化けしてる。
やっぱり故障か?
それに筋力の数値の表示が上がり続けてなかなかちゃんと表示されない。
4000!
6000!
ば、馬鹿な……まだ上がるだと……!?
8500
9せnっ!
筋力の数値が9000を超えたあたりでステータスカウンターが爆発した。
そして、それを装着していた俺の意識は当然のように掻き消えたのだった。
アイテムで測定できるステータスの内はまだまだだって先人は言っていました。




