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20話 待望の温泉回

温泉回はみんな好きだと聞きました☆彡

さあ!

温泉だ!

みんな大好き温泉回だ!

まあ、普通に男湯と女湯が別れてるんだけどな!


俺は今、当たり前のように一人で男湯に入っている。


そう。

俺は学習したんだ……

勇者として召喚されてもモブはモブなんだって……

異世界に召喚されたからって引き籠りのNEETにヒロインなんて出来る訳無いって……

冷静に考えれば当たり前の事だったんだ……

混浴でヒロインとトラぶってしまうだなんて、そんなのはイケメンに限ると注釈が付くんだよ。

その証拠に、現在俺はデカい露天風呂に一人で入っている。

シューバインは部屋で寝てるし、レオンは冒険者ギルドに用事が有るらしく、この町のギルド支部に行っている。

アリエルは温泉に入ると言っていたので、おそらくこの男湯と女湯を分けている竹製の壁の向こうに居るだろう。


そう。

この壁の向こうには美少女が居るのだ。

俺は引きニートではあったが、健全な男であることには変わりはない。

健全な男ならやることは一つだろう。

そう。

NOZOKI!

だが、しかし!

やったら今度こそ豚箱行きだろう……

いや、彼女は良いとこのお嬢様らしいから親御さんにコロコロされる可能性も否定できない。

そうなる以前に彼女自身に血祭りにあげられるかもしれない。

クソ雑魚な俺は、彼女の力なら数秒で潰れたトマトのようになるだろう……

よし。

止めておこう。

俺はまだ死にたくないからな。


「あら?その声は、ヒデオさんですか?」


ひょぅっ!?


突然だったから変な声出た……

え?

もしかして今までの全部声に出てたのか!?

独り言、長っ!?

怖っ!?

ていうか聞かれてた!?


「だ、大丈夫ですかヒデオさん!そちらで何かありましたか!?」


バシャバシャと近づいてくる音がする。


い、いや、なんでもないよ!?

それより、俺を呼ぶ前に何か聞こえてた?


「何を言っていたのかまでは聞き取れませんでしたけど。ヒデオさんの声がしたので……」


ッセエエエエエフ!

危ねええええええ!!

聞かれてなかった!

よし。

話題を変えて誤魔化しきるぞ!


そそそ、そんな事よりも、アリエルは何で冒険者になったんだ?

お嬢様ならこんな、危険な仕事なんてしなくてもいいんだろ?


「冒険者になった理由ですか?」


いよっし。

話題変更成功!


「その、前にレオンが言ったと思うのですが、私、貴族なんです。」


うん知ってる。


「それで、その、冒険者になる前は屋敷のある街から出たことがなくて、甘やかされて育ったもので……常識に疎くて、一般の方がどのように生活してるのかも分からなかったんです。」


典型的な箱入りだったのか。


「幼馴染のレオンが外の話をよく聞かせてくれたんですけど、よくわからなくて……それで、将来の為にも実際に見てみたくてお父様にお願いして領内の町村を見て回ったんです。」


ほうほう。


「でも、お父様が庇護している領内が平穏で不自由なんて無いのは当たり前の事なので参考にならなかったんです。」


うんうん。

うん?


「だから、他の領地も見てみたいとお父様に言ったら、あまり貴族が移動すると周りが気を使って迷惑するから駄目だって言われまして……だから貴族としてではなくて冒険者の身分なら良いのでは?と思いまして。」


ちょっと何言ってるのかわからない。


「それをお父様に言ったら、お父様が指定したパーティーで活動するのと定期的に連絡するならと、許可を貰えたんです。」


それで親同士の付き合いのある身内パーティーになったと。


「はい。」


ところでアリエルってやけに力強いけど、どうやってそんなに強くなったんだ?


「ああ、それは私が何かしたという訳では無くて、おかあ……」


ガラガラガラ


「ヒデオ君!背中を流しに来たよ!」


風呂の扉をスパーンと開けて入ってきたレオンが何かほざいている。

というか、なんでこいつタオルを胸まで巻いてるんだ……?


「いやー。部屋に行ったらシューバイン君しかいなくてね?ヒデオ君は温泉に行ったって言うから僕も来てしまったよ。」


レオンがグイグイと近づいて着た。

近いよ。

ちょっと離れ……くっ壁際だった……


「おや?どうしたんだいヒデオ君。さあ、背中を流し合って親睦を深めようじゃないか。」


ちょっ目の前まで来やがった!

壁ドンすんなし!


ミシッ……

メキメキメキ……


おや?


「あら?レオンも来たのですか?あれ?でもそっちは……」


メキメキメキ……

バキィッ!


瞬間!

レオンの壁ドンが原因で男湯と女湯を別けていた壁が崩れた!

壁に凭れていた俺は当然、壁と一緒に女湯の方に……


バッシャアアアン!!


ゴボッボオボボボボ……

プッハア!

はあっはあっ……


「ヒデオ君っ!大丈夫かい!?」


レオンお前っ……はっ!?


顔を上げた俺の目に飛び込んで来たのは、下手人レオンでは無かった。


「…………き。」


き?


「きゃあああああああああああああ!?」


迫る拳!

頬に走る衝撃!

そこで俺に意識は途切れた。


「…………ゅー。」


なんだ?


「……じゅー。」


声……?


どこかで聞いたことのある声がする。


懐かしいような……

思い出せない……


声の主は徐々に近づいて来ている。


「教授ー。」



そして、俺のすぐ傍まで来た声の主の姿が視界に入ってきた。


「あ、ここに居たんですね教授!」


アリ……エル……?

いや、似ているけど違う?

彼女の髪は黒では無かった。

でも、どこかで見たことが……?

異世界に来る前?

いや、俺は教授なんて大層な人間じゃ無かった筈だ。

なのに妙にしっくりくるような……


はっ!?

ここは!?


「やっと起きたブヒィ!?」


シューバイン?


「ヒデオ!温泉に行ってから気絶して戻ってきたから心配してたブヒィ!」


ん?

温泉?

ああ、アリエルと話しててその後、ッ痛……

思い出せない。

なにか素晴らしいものを見たような……

あと、なにか強い衝撃を受けたような……

そして、とても大切で懐かしいものを見たような……



次回もお楽しみに☆

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