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17話 勇者の受難・続く旅路

またせたな☆


ガラガラガラ

馬車の車輪が音を立てながら回る。

温泉郷へ向け出発したようだ。

この世界に召喚されたばかりの頃の俺なら、馬車移動なんてヒロインとの出会いイベントとかを期待しただろう。

だが今の俺は、もうそんな都合の良いことは起こらないと悟っている。

この世界に来てから、そういうことには期待しない方がいいと理解した。

いや、理解させられた……


ああ。

そうだ。

だけどな……


「ヒデオ君はテルマエは初めてなのかい?だったら僕が案内するよ。実は僕達も同じ依頼を受けていてね、同じ旅館なんだ。いやー。本当に楽しみだなー。」


隣に座ったイケメン(ホモ疑惑)にめっちゃ話しかけられるとか予想してなかった……

誰得だよ……

ていうか近い!!


「レオン。話しかけ過ぎです。後、近いです。ヒデオさんが困ってますよ。」


アリエルがレオンを窘めてくれた。

天使かな?


「す、すまなかったね?ヒデオ君と話すのが楽しくて、つい話し過ぎてしまったよ。」


あ、ああ……

もう少しで疑惑が確信に変わるところだったよ……

ところで、話は変わるんだがそっちのパーティって4人じゃなかったか?

今日は居ないみたいだけど?


「ああ。ゲイルとレコーなら今実家に帰省してるんだよ。あ、男の方がゲイルで女の方がレコーて言うんだ。」


ほー。

実家に帰ってるのか。


「うん。実は僕達のバーティは家同士の付き合いで集まったパーティでね、4人揃ってるのはあんまり多くないんだよ。ゲイルはその、なんというか家が厳しくてね……結構頻繁に帰ってるんだ。レコーは小説家でね、今は締め切りが近いみたいで冒険者どころじゃないみたいだよ。」


ふーん。

ところでその小説はどういう小説なんだ?


「BLだよ。」


え?


「だからBL。ボーイズラブさ。レコーの小説は素晴らしい内容でね?僕もよく読ませてもらってるんだ。」


へー。

ふーん。

さて、ちょっと席移動するかな。


「ところで、ヒデオ君は好みのタイプとかいるのかい?」


レオンは、移動した俺の隣に何事もなかったかのように座り、肩に腕を回しながらそう言ってきた。

疑惑が確信に変わった瞬間だった。

ちょっ……距離縮めんな!?


「あらあら。レオンたら、もうヒデオさんとあんなに仲良くなって。」


違いますけど!?

ホモ野郎と同じ馬車で目的地到着まであと二日とか……

異世界生活最大のピンチだ……

早く!

早く着いてくれー!



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



その頃の城下街


「ヒャッハーー!!汚物は消毒だーーー!!」


「てめえらみてーなゴミは処分しねーとなぁ!」


公共の施設や路上で奇声を発しながら筋骨隆々の厳ついモヒカンやスキンヘッドの大男達が暴虐の限りを尽くす。(清掃活動です。)

2mを軽く超える大柄な体形にも関わらず狭い路地もなんのその。

手際良くゴミを拾っては、しっかりと分別しゴミ袋に入れていく。

見た目は、何の為に付いているのか解らない棘が付いた肩パットを革製のサスペンダーで留め、上半身はそれ以外ほぼ裸で、下半身はナチュラル過ぎるダメージジーンズという、どう見てもゴロツキにしか見えないスタイルだが、この世界での清掃屋の正式なコスチュームである。

この世界では当たり前の光景の為、その凄まじく劇画タッチな絵面を誰も気にしていない。


「オラ!ババア!なんだその荷物はぁ?へっへっへ。俺達にそいつをよこしなぁ!」


老婆から無理やり荷物を奪い取る大柄なモヒカン。

絵面的にはそうとしか見えないが、実際は重い荷物を持ったお年寄りを気遣って目的地まで荷物を運んであげているだけである。


「オラァ!新入り!テメーも気合入れて擦れや!そんなへっぴり腰じゃ汚れは落ちねえぞ!」


「は、はい!すみません支部長!」


大柄な清掃屋たちの中で一際大柄なスキンヘッドのアニーキが怒鳴る。

怒鳴られた銀髪オッドアイの青年はブラシで必死に床を擦る。


「そうだ。そうやるんだよ。やりゃあ出来んじゃねえか!」


「はい!」


「よっし!これが終わったら飲みに行くぞ!」


「はい!お供します!」


「おう!オメー等!あと少しだが気ぃ抜かずに終わらせんぞ!」


「「「「ひゃっはーー!汚物は消毒だーー!!」」」」


街に響く男達の雄叫び。

この街の衛生は彼らの手にかかっている。



まだ続くんじゃ☆

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