16話 旅立ちの朝
いやー難産でした。
もっと早く書けるようにしたい。
チュンチュン
窓の外から聞こえる雀の声で目が覚める。
もう朝か。
ああ、今日から温泉郷に行くんだったな。
荷物は準備してあるし、少し早いけど馬車乗り場に行くとするか。
異世界に来てから初めての遠出だからな。
オラわっくわくしてきたぞ!
初めての遠出に高揚感を覚えつつ移動の為に宿を後にした俺だった。
あ、シューバイン連れて行くの忘れてた!
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「忘れていくなんて酷いブヒィ。」
すまんすまん。
「全く悪かったと思ってない感じブヒィ……」
HAHAHA!
ソンナワケナイジャナイカー。
ワルカッタトオモッテルヨー。
「むむぅ。本当ブヒィ?」
ホントホント。
「……まあいいブヒィ。あ、あそこが馬車乗り場ブヒィ。」
シューバインの指さす方には大量の馬車が停まっている。
ふう。やれやれ。いいタイミングで到着したぜ。
ここが馬車乗り場か。
今後も使うことが有るだろうから覚えておこう。
「今日乗るのはテルマエ行だから、えーと、あ、あの黄色い幌の馬車ブヒィ。」
ほうほう。
幌の色で行き先が分かるようになってるのか。
分かり易くて助かるな。
まだ少し時間が有るけど先に乗っておくか。
ん?
あれは……
シューバインと共に馬車に向かうと、既に何人かの先客が居た。
そこでふと、見覚えのある顔が目に入って来た。
「おや?彼が来たようだね。」
「も、もう来てしまったのですかっ!?」
そこにはギルドで偶に見かけるイケメン金髪剣士と、魔王襲来時に顔からωにダイブしてしまった俺を数十メートル殴り飛ばした僧侶風の少女が居た。
どうやら俺を待っていたようだ。
恐らくωダイブした俺をタイーホする為……
もしくはイケメン金髪剣士に俺をボコらせようということか!
いや、確かにやらかしたけどアレは事故だと思うんだ。
「やあ。ヒデオ君……だよね?こうやって話すのは初めてだよね。僕はレオン。レオン=マリウスだ。よろしく。」
ニコッと爽やかに微笑みながら握手を求めてくるレオン。
どうやらお怒りではないようだ。
だが、まだ油断できない。
「ほら。アリエルも。言わなければいけないことが有るだろう?」
隣の僧侶風の少女を急かすように前に出すレオン。
押し出された少女は慌てたように口を開く。
「ちょっちょっと。レオン!押さないでください!もう!……えっと、ア、アリエルです……」
少女は今にも消え入りそうな声で名乗る。
「ほら。ちゃんと言わないと。」
「わ、分かっています!あの、その……先日は暴力を振るってしまって……す、すみませんでしたっ!」
おや?
これは豚箱回避かな?
「僕からも謝るよ。仲間が迷惑をかけてしまってすまない。」
いやいや。
こちらこそ。
その……胸に飛び込んでしまって……
すんませんでしたー!
「いや、事故だったんだ。ところで、体に異常は無いかい?」
ん?
「アリエルの張り手を受けたんだ。よく頭が吹き飛ばなかったね?」
え?
そんなヤバいアレだったの?
とりあえず目立った怪我とかは無かったけど……
「すみません!すみません!私、人よりちょっと力が強くて……」
ペコペコと頭を下げ続けるアリエル。
ちょっと?
「怪我が無くて良かったよ。もし異常を感じたらいつでも言ってくれ。」
そう言いながらレオンは俺の両肩に手を置き摩る。
おや?
「本当はもっと早く謝罪に来たかったのだけど、昨日まで急ぎの依頼があってね。依頼が終わってからキミ達がテルマエの依頼を受けると聞いて来たんだ。」
そう言いながら肩に置いた手を下さないレオン。
おやあ?
「すみません!すみません!あんなことされたの初めてだったもので……つい手が出てしまって……あんな無遠慮に胸を……」
「アリエルは所謂箱入りでね。蝶よ花よと育てられた影響で、御父上とその部下の方々と彼女の幼馴染の僕くらいしか男性と接する事が無くてね……」
あー。
なるほど。
良い所のお嬢様か……
で、その胸を揉んだ俺って……ヤバくね?
やっぱり豚箱行ですか?
「大丈夫だと思うよ。アリエルの御父上はそこまで狭量な方ではないからね。アリエルが冒険者をさせてもらえることでも分かる通り、とても器の広いお方だよ。」
「はい。それに今回の件はお父様に伝えるほどの事では無いですから。大丈夫ですよ。」
良かった。
異世界二度目の牢屋暮らしは回避できたらしい。
「ははは。おっとそろそろ出発の時間みたいだ。僕たちもテルマエで依頼を受けるから同行させてもらうよ。道中よろしく頼むよ。」
ああ。
よろしく。
馬車の中に入り座席に座る。
「隣、良いかな?」
此方の返事を待たずに隣に腰掛けるレオン。
あの、近いんですけど……
これからも続きます☆




