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番外編 第18代勇者の英雄譚ダイジェスト・下

待たせたな☆

本当に待たせてしまって……すまぬぅ(´・ω・`)

今回ちょっと長めです。

「断るだと!何故だ!理由を言え!」


「そうですよ!理由を言ってください!」


タミコ達の現状を理解していてなお、断ると言ったソウ氏の言葉にギルバートとライトが噛み付く。


「理由だと?それは本気で言っているのか?」

「お前達に同行したとして、それで俺に何のメリットがある?俺は組織の長として、この街の住人を仲間を守りこの街を復興し、繁栄させる義務があるんだよ。」

「その為には人手が全く足りていない。こうやってお前達と話している時間すら惜しい程にな。いちいち無能な領主に申請するのも手間だし、どうせ通らないから無駄なんだ。それに、最近は訳の分からないことを言いながら襲撃してくる不審者も出るし……そういう訳だ。俺を動かしたければ、国が全面的に復興に支援を約束するのと、領主の排除及び権限を俺によこすぐらいでなければ絶対に動かんぞ。」


「あ、それなら多分なんとかなると思うよ。」


「なに?」


明らかに勇者の一存では決められない案件に対して、なんとかなると言うタミコの言葉に訝しむソウ氏。

発言の後タミコは、おもむろに自身の胸元から何かを取り出し卓上に置く。


この時、行為と格差に筆者は大変憤りを感じました。


「これで直接聞けばいいんだよ。」


「これは、まさか……通信水晶か?」


通信水晶。それは水晶同士で映像と音声で通信が可能な貴重なアイテムである。生成にコストがかかりすぎる為に希少で首都及び著名な大都市にしか設置されていない。


「起動するよ。」


ジジジジ…と音を立てながら通信水晶が起動する。

ブゥンと水晶の上に映像が投影される。


『……こちら王城でございます。勇者タミコ様。お話は伺っております。直ぐに陛下をお呼びしますので少々お待ちください。』


どうやら事前に話が通っていたらしく通信士が離れてから直ぐに女王陛下がお越しになられた。


『貴方がライリューゲのソウですね。初めまして。私はメルティア=ヒュマル=オルクスキー。この国の女王です。』


「…………」


『どうしました?』


映像越しとはいえ女王陛下と直接対面したためかソウ氏は少しの間固まっていた。


「……ハッ。申し訳ありません陛下。突然のことでしたので少々思考が停止しておりました。」


『そ、そうですか。……コホン。この度タミコに通信水晶を持たせたのは貴方との交渉で条件を提示された際に、私でしか判断できない場合に通信を行うためでした。こうやって通信が行われているということはそういうことですね?』


「…………ハッ。私自身、組織の長として容易に動けぬ身。故に此度の勇者殿からの同行の要請に対し、卑しくも条件を付けさせていただきました。」


『卑しくなどありませんよ。労働に対価を支払うのは当然のことです。さあ、条件を言ってみてください。』


「ハッ。それでは同行の条件としまして、ライリューゲの復興支援と現在の領主の排除及びその権限を私に移譲していただきたい。恐れながら現在の領主は増税に次ぐ増税、更には横領、民への圧制によりこのノーバディ領を荒廃させた無能で御座います故。これはライリューゲ及び周辺の町村の総意で御座います。」


『復興支援は了承しました。領主の件についても既に査察官の方から情報が上がっていましたから、直ぐにでも爵位の剥奪と捕縛の為に兵を送りましょう。権限については貴方が旅の間は代官を置き、魔王の討伐が完了し帰還しだい爵位ごと移譲するものとします。それで良いですか?』


「願いを聞き届けて下さるばかりか、爵位まで……代官も付けて下さるということなら、旅への同行に後顧の憂いは御座いません。魔王討伐の任、謹んで御受けいたします。」


『いえいえ。こちらこそ了承して頂いて有り難く思います。それでは勇者タミコをよろしくお願いしますね。』


「ハッ!」


「ではまた。御武運をお祈りします。」



ブゥゥン……

映像結晶が停止し部屋には静寂が訪れる。

カチカチと時計の針の音だけがやけに大きく聞こえる。


「さて……今言ったとおりだ。大変不本意だが、お前達の旅に同行することになった。女王陛下に出て来られて、そのうえ条件を全て飲んで戴いたら流石に断れないからな。」


「やった!じゃあ早速出発しようよ。うん。寄り道とかしないで!特に教会とか孤児院とかには行かないように!」


何故教会や孤児院を避けようとするのかは分からないが、同行が決定した途端に出発を急ごうとするタミコ。


「…………まあ、待て。行くとは言ったが急には無理だ。引き継ぎや諸々の準備もある。出発は2日後で良いだろう。その間はお前達も観光でもしていてくれ。ああ、宿はこちらで用意しておこう。」


「そうか。2日後だな。よし。じゃあ行くぞタミコ。俺達は観光を楽しむぞ!」


「え!?ちょっ引っ張らないで~……」


「ああギル!待ってください!僕も行きますよ!すみません騒がしくて。それでは失礼します。」


「ああ。2日後にまた会おう。」


その後、一旦勇者たちと別れたソウ氏はタミコが言っていたことを無視して孤児院に直行し、孤児院の管理をしているらしいシスター(幼馴染)と談笑していた。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


第4章第3節 ノーバディ領防衛


※ノーバディ領防衛時、ソウ氏以外の勇者一行及び記録者である筆者自身がソウ氏によって気絶させられていたため詳細は不明。

魔王軍幹部の半数を倒し補給と休息のため王都に帰還していた勇者一行に、ノーバディ領に魔物の大群が迫っているという知らせが入った。ソウ氏は移動速度の差から足手纏いになると判断し勇者一行を全員気絶させ単身ノーバディ領へ向かった。気絶から目覚めた後、勇者一行が駆け付けた時には既に5日が経過し事態は終息していた。

地平の彼方まで続く数億の魔物の死骸と、その中心で魔王軍幹部3名の死体と立ったまま気を失っているソウ氏が発見された。

この際、全長1000mを超える超弩級の魔物ベヒーモスの死骸が確認された。


余談ではあるが勇者一行が気絶させられた際、タミコのみ何故か吐瀉物塗れで発見された。ザマァ。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


最終章 魔王討伐


気を失い倒れ伏すタミコとギルバート。


「くっ……すみません……回復魔法はこれで打ち止めです……もう魔力が……」


ライトも魔力が尽き果て膝を付く。

響く轟音。

拳がぶつかり合い、その一撃一撃の衝撃で大地が砕け窪む。

既に互いに武器も砕け、防具も大部分が弾け飛び意味を成さぬと脱ぎ捨て、己の肉体一つで戦い続ける魔王とソウ氏。

両者共に満身創痍。

もはや意地だけで只管殴り合っていた。


「ぐっ……はぁ……はぁ……まだ倒れぬか……」


「はぁ……ぺっ!……はぁ……当たり前だ……ぐぅっ……」


「お前は良く闘った。っぐぅっ……認めよう。余が今まで闘った中でお前は間違い無く最強だった。誇るが良い。だが……それでもお前は余には勝てぬ!知っているだろう?たとえどれ程ダメージを受けたとしても、余は勇者以外の攻撃では死なないということを……」


「……そんなことは承知の上だ。それでもな……ここで引いたらアイツに引っ叩かれちまうからな。また小言を言われるのは勘弁願いたいもんでな。」


「ほう?お前ほどの男にそのように言わせるとは、どれ程の剛の者か……」


「いや、剛の者とかでは無くてな……まあ……あれだ、惚れた弱みと言う奴だよ。」


「…………なるほど。ククッ……確かにそれは負けられぬな!」


一瞬、虚を突かれたのか魔王はキョトンとした表情になり、直ぐに笑いながら返した。


「ああ。負けられねえんだ!」


「ならば来るがいい!真に強き者よ!」


「ああ!行くぞ魔王!これで最後だ!お前を行動不能にしさえすればタミコに止めを刺させられるからな!」


「出来るものならやってみるが良い!」


会話が終わると同時に両者が駆け出す!

既に満身創痍で有りながら、常人には視認不可能な速度でぶつかり合う。

掻き消えるかのように姿が見えなくなった次の瞬間、再び現れ今までで最大の轟音が響いた。

お互いの頬にお互いの拳が突き刺さり微動だにしない両者。

そして魔王が崩れ落ちた。


「ぐ……ぅ……余の……負けか……もはや指一本すら動かぬ……」


「ああ。俺の勝ちだ……今とどめを刺してやる。」


今にも倒れそうな足取りで、気絶しているタミコの元まで移動し、タミコの足を掴み引きずりながら魔王の元まで戻って来たソウ氏。


「いや、中々に楽しかったぞ。今までの生で一番かも知れぬ。」


「そうか。……ふぅ。流石にそろそろキツイな……さて、これで終わりだ。と言いたいが、どうせまた復活するのだろう?」


「その通りだ。余は何度でも復活する。その度により強くなってな。まあ、次にいつ復活するのかは余にも分からぬのだがな……」


「そうか……なら、何時になるかは分からないが、それまでに今よりも強くなっておくさ。」


「フッ……お前の寿命が先に尽きぬことを祈っておこう。」


「それなら安心しろ。俺はハーフエルフだ。あと500年は生きる。」


「ククッそうか。なら安心だ。……さあ、やるがいい。そろそろ立っているのもキツかろう?」


「ああ、そうだな。……じゃあな。」


タミコを振りかぶる。


「ではな。」


ぐしゃぁ…………



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


これにて第18代勇者の冒険は終わりを迎えました。

ここより先は魔王を倒した後、勇者一行がどうなったのか。平和を手にした彼らがどのような道を進んだかを記します。


勇者タミコ

魔王を倒した後、旅の間アピールし続けたソウ氏に告白を敢行。

そして断られた。

後述のギルバートとライトの件もあり、自身の恋愛を完全に諦めBL作家を目指しネタ探しの旅に出る。


ギルバート=ゲオルグ

魔王を倒した後、旅に出る以前より共に行動していたライトと同性婚を行った。

当時、冒険者として名が売れていた為、多くのファンを衝撃が襲った。


ライト=マリウス

前述のギルバートとの同性婚で多くのファンが驚愕した。

後に自身の性別を変換する魔法の開発に成功した。


ソウ=ノーバディ

魔王を倒した後、契約通り女王陛下からノーバディ領の全権と伯爵位を授かる。

伯爵就任後、ライリューゲの街の孤児院を管理している幼馴染と結婚。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――







パタン……

俺はそっと本を閉じる。

これ、勇者の英雄譚じゃなくてソウの英雄譚じゃね?

まだまだ続くよ☆

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