13話 明かされる真実!勇者の受難は続く……
そろそろサブタイトルが思いつかなくなってきたぞ☆
でも、まだまだ続くぞ☆
「ぐはぁっ!」
無抵抗の男を何人もの町人が甚振る……
それは狂気的な光景だった……
彼等は男を殴る事に何の呵責も覚えず……
彼等は男を蹴り、踏みつけることに何の躊躇いも無かった……
まるで祭りでも行われているのかと錯覚するほどの喧騒の中、彼等は一人の男を大勢で囲み暴力を振るう。
昨日まで、大通りの店で元気に客引きをしていた若い男性も……
道の端で井戸端会議に花を咲かせていた主婦も……
毎日散歩をしていた老婆までもが、男を執拗に嬲っていた……
「ぐあぁあああ!!」
なんだよこれ……
なんなんだよこれは!!
こんな……
なんで……
相手が魔王だからって、幾らなんでもやりすぎだ!
なんで、こんな酷いことができるんだ!
「はぁっ……はぁっ……こんなものか?」
ボロボロの魔王が立ちあがりながら言う……
「まだだ……!グフッ……っはぁ……はぁ……まだ……余を倒すにはこの程度では程遠いぞ―――――!!」
っ!
魔王が何故無抵抗なのかは分からない……
でも!!
これは人として止めないと駄目だ!
こんなリンチ……止めないと……
そう思い、皆を止めようと一歩踏み出そうとする。
しかし足が動かない……
ならばと、声を出そうとするも声も上手く出せない……
くそっ!
なんだよ!
情けない!それでも勇者かよ!
動け!動けっ!動け――――!!
ふっ……と身体の自由が戻る。
行ける!
「ヒデオ!待つブヒィ!駄目ブヒィ!」
シューバインが俺を制止する。
それでも俺は勇者として行かないと!
「なんでいきなり勇者の使命に目覚めてるブヒィ!?あっ駄目ブヒィ!」
シューバインの制止を振り切り、俺は暴力の渦中へと走る!
皆!止めろー!
こんな事しちゃいけない!!
一人を寄って集ってなん「邪魔するでないわー!!!」ッゴファ!?
いきなり殴り飛ばされた……
ズザァ―――――――
「おかえりブヒィ。気は済んだブヒィ?」
うん。
雰囲気的にやらないといけない気がして、ノリで勇者っぽくしてみたけど駄目だったよ。
HAHAHA!
いや……もうね……パターン分かってきたよ。
うん。
「貴様!よくも勇者の攻撃以外では不滅というのを良いことに、自分よりも遥かに劣る者に無抵抗で一方的に嬲られるという、余の唯一の楽しみを邪魔してくれたな!!」
ほーらね。
もういい加減に学習したよ!
この世界、まともな奴が少なすぎるってなぁ!!
魔王まで変態とかね。
もう、どうすればいいのか分からない!!!
俺にまともに勇者させてくれよ!!
「むっ?貴様……勇者だと……」
おや?魔王の様子が……
「くっ……明らかに弱いが、万が一……いや、憶が一ということもある。余は甚振られるのは好きだが、死ぬのは嫌いでな!たとえ何度でも甦れるとはいえ、死んでいる間は痛みを受ける事が出来ぬからな!故に此度は引いてやる!」
なるほど、王配のオッサンが言ってたのはこういうことか。
「だが!攻めてくるならいつでも来るがいい!魔王として勇者の挑戦は受けなければならぬからな!できれば攻撃的な仲間を連れてくるがよい。その時は歓迎しよう。」
後半欲望が漏れてますよ……
「まあ、それはそれとして……人間共よ!これは此度の報酬だ。皆で分配するがよい。次も頼むぞ。」
魔王は一抱えもある大きめの袋をどこからか取り出して、魔王を殴っていた町人達の方に投げた。
ガシャっと重い音を立てながら地面に袋が落ちる。
中身は音からしてお金だろう。
町人達は嬉しそうにそれを回収するとゾロゾロと街の中に戻って行った。
えー……
「さて、余も戻るとしよう。見られているようだしな……」
チラリと街の外壁の上を見ながら魔王が呟く。
「では、さらばだ勇者よ!いつか貴様が強くなり、余の前に現れることを期待しているぞ!」
魔王の背後に闇としか形容できない何かが発生し渦を巻く。
そこに魔王が入っていく。
転移ゲート的な魔法のようだ。
何それ?カッコイイ!
変態のくせに退場は無駄にカッコ良かった……
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城壁の上。
魔王とヒデオとのやり取りを見つめていた影がポツリと呟く。
「魔王……昔はあんな感じじゃ無かったのに……」
最後の謎の影……
いったい誰なんでしょうね?




