1話 異世界召喚する王族は基本的に悪人
初めまして。小説投稿とか初めてなので色々おかしいところがあるかも知れませんがご容赦ください。
俺の名前は勇者英雄。読んで字の如く、勇者になる為に生まれてきたような男だ。
眉目秀麗文武両道(自画自賛)な俺は、いつものように学校には行かず家でゲームやファンタジー小説を読み漁り妄想に耽っていた。
そんで、小説を読み終わって顔を上げると床に見覚えの無い魔法陣が…………はぁっ!?
なんで俺の部屋にこんなもんが!?
魔法陣なんていくらなんでも自分で描くわけがないし、部屋に人が入ってきてこんなもん描いてたら流石に気付く…本物か!?これ乗ったら異世界に召喚されるアレなのか!?
完璧超人な俺は、慌てず騒がず冷静に異世界に持って行くものを家中から掻き集めた。親がドタバタ煩いとか、いい加減学校に…とか言ってたが華麗にスルーして只管リュック(数年前に買ったが家から出ないので全く使ってない)に詰め込んでいく。
とりあえず紙とペンは基本だな。異世界召喚物の金策アイテムの王道だもんな!後は、胡椒とか香辛料の類も持っていかないと。ペンライトも持って行こう。
あぁスマホは絶対に忘れないようにしなきゃな。異世界に言ったらスマホがチートアイテムに変わるなんて常識常識!
他にも色々詰め込んでリュックがパンパンになったのでそろそろ行くかと魔法陣に近づく。
今更だが、本当に本物の召喚の魔法陣なんだろうか?ドッキリだったら最悪だし…ええい、乗ってみれば分かるだろ!男は度胸だ!
俺が魔法陣に乗った瞬間、魔法陣が凄まじい光を発しながら回転しだした。え?魔法陣っていうか俺の身体ごと回転してない?てか速っ!うっ吐き気が……
そうこうしてるうちに、光が更に強まり視界が真っ白になった。余りの眩しさに目を瞑って光が収まるのをまった。
数秒後、光は収まり周囲から人の声がする。
目を開けると、そこにはゲームとかでよく見る謁見の間?的な景色が…玉座っぽいのに王様っぽいオッサンがいるし、本当に異世界召喚されたらしいな…
で、その後、オッサン(この国は女王制だから王様じゃなくて王配だそうだ)から魔王が出たから倒して欲しいと頼まれた。
女王様は忙しくて来れないのでオッサンが代わりに説明してくれた。
なんでも、この世界の魔王はこの世界の者ではボコボコにすることはできるけど、殺すことができないらしい。ダメージは与えられるけど止めがさせないとか。それで勇者を召喚して止めだけ刺してもらう形式らしい。
この言い方だと魔王が何回も出現してるみたいに聞こえるが、実際何回も出現してるそうだ。
同じ個体が毎回復活して攻めてきてるらしい。
懲りない魔王だ。
しかもこの魔王、勇者が召喚されると侵略を緩めて勇者が来るまで魔王の城で待っているという受け身な姿勢らしい。
一度そういう習性を利用して勇者召喚だけして放置したこともあるらしい。それが前回の勇者なんだが、勇者が寿命で死ぬまで攻めてこなかったらしい。
ただ、城の壁に落書きされたり玉座に糊が塗ってあったりと地味な嫌がらせは度々あったそうだ。陰湿な魔王だ。
基本的に魔王の被害はその代の王族だけが受けることが殆どなので、この世界の殆どの人は魔王が現れても割とどうでもいいらしい。
今回俺が召喚されたのも、寿命が尽きるまでこの世界で暮らして魔王避けになって欲しいからだそうだ。
因みに俺は20代目らしい。
勇者は基本的に特殊なスキルやステータスが高い場合が多いから冒険者でもやれば生活には困らないはずだといわれた。
どうやらこの世界にはステータスとかスキルとかお約束なシステムがあるらしい。
元の世界に未練が無い俺としては文句はなかった。
一応これからの身の振り方を考える為にもステータスが知りたいとオッサンに言ったら、ステータスを確認するデカい水晶という、これまたお約束なアイテムを出してきた。
そしてこれが俺のステータスだ。
■■■■■■■■■■■■■■■■
ヒデオ=イサモノ
種族・人間(♂)
Lv.1
HP・10/10→100/100
MP・0.2/0.2→2/2
筋力・3→30
耐久・5→50
敏捷・2→20
知能・80
運 ・400
スキル
勇者(知能と運以外の全ステータス10倍)出会い系(良い巡り合わせがあるかも)剣術Ⅰ(剣術の習熟度・Ⅰの場合は初めて剣を握った程度)戦闘勘Ⅰ(戦闘に関する才能・Ⅰの場合は無いよりマシ程度)
■■■■■■■■■■■■■■■■
これが俺のステータスか!完璧超人な俺に相応しい素晴らしいステータスだな!特に10倍の辺りが!
ん?オッサンや周りの兵士たちの視線が生暖かい。
オッサンが若い兵士に目配せする。
若い兵士が水晶に近づくと兵士のステータスが表示された。
■■■■■■■■■■■■■■■■
ジミー=ザコーイ
種族・人間(♂)
Lv.10
HP・200/200
MP・0
筋力・100
耐久・150
敏捷・90
知能・80
運 ・100
スキル
剣術Ⅲ(一般的な兵士と言える程度)料理Ⅲ(家庭料理程度)掃除Ⅳ(一流と言える程度)
■■■■■■■■■■■■■■■■
オッサン曰く、一般的な兵士のステータスだそうだ。
すんません調子こいてました。
その後、通貨等の説明を受けて結構な額の支度金を渡され、ついでに剣も貰った。一般的な兵士用の鋼の剣だ。ひの〇の棒とか竹槍じゃなくてよかった。
良い感じの装備も貰ったしそろそろ冒険者になる為に出発しようとオッサンにその旨を伝えて、オッサンに見送られて城を後にした。
・
・
・
そして俺は今、なぜか牢屋の中にいる。