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新エリア 市街地

今回コメディ成分多いです

「なんつーかさー。」

ぶんぶん斧を振り回しながら敵を吹き飛ばすヒロカゲに声をかけられて、ネステトラが振り向く。

「俺らってさ、悪役っぽくねぇよな。」

「じゃあ悪役がしたいかの?」

「いやそうでもない。」

「じゃあなんなの・・・」

「ふと思っただけ。」

「「「「あっそう(ですか)」」」」

と、自分たちでもかなりどうでもいいと思う会話を続ける。なにしろモンスターを振り払う以外に何もない。それにミラの蝶達の鱗粉でさえ倒せてしまうほどザコいのだ。

「これだけモンスターも弱いですし、別行動にしましょうか。」

「そうね、でも不安だし夜烏さんを連れて行っても?」

「喜んでついて行かせていただきますがさんづけは結構です。」

「あ、そう?」

とりあえず別行動するのが決まったが、「ネステトラはチート並の力を持つからいいけどよ、俺は何かあったらやばい」とヒロカゲがゴネ出した。

「なんかあったら俺じゃ対処しきれねーって!姐さん頼むからついてきてくれよ!」

「いつから椿さんのこと姐さんって呼ぶようになったのよ。」

「この間からじゃの。」

「ていうかヒロカゲ男なんですから九尾狐とはいえ女性を頼らないでくださいよ。」

「知るか!」

「まぁ妾は良いが。」

「よっしゃ!」

「「男のくせに」」

見事にディスられたヒロカゲを軽蔑の眼差しで見ていたミラがヒロカゲに向かって、

「別れようかしら。」

「マジでやめてくださいごめんなさい。」

深々と頭をさげるヒロカゲと、それをやはり軽蔑の眼差しで見るミラを見ながらテトラと椿が呟いた。

「女は強し。」

「まさにその通りじゃな。」


「ほんとなんなのよ女々しいわね」

こちらは勇者グループ。

メストの独裁政治が始まっていた。

「うぅ、だって俺ニートだし。引き篭もりだし。」

「関係ない。」

「あーらら。怖い怖い。」

「魔術で締め上げてやろうか?」

「ちょ、待て待て何で俺まで!?グエエエエ」

という会話を端から聞いていたディアは一瞬、

(何でこんなチームにしちまったんだろうな)

と後悔した。

締め上げられているのは現在一人だけ。九炎はさっさと逃げおおせたようで、ディアの隣に立っている。

その一人はニートではあるがそこそこ優秀な情報員。名をメネ。が、戦闘は全くダメで、このあたりの雑魚モンスターでも放っといたら死んでしまうほどだ。

「ふん!」

「うぐぅ・・・」

「まぁ仲がいいことは結構だが「「いいわけない!」」・・・じゃれ合いはその辺にしとけ「「じゃれてない!」」・・・あっそう。」

「しっかしあの着物の白髪の女いただろう?向こうのチームに。」

九炎の声に、ディアがまた喧嘩を始める二人から視線を外した。

「ああ、いたな。」

「炎の勢いが凄かった。あの分だと九尾狐かも知れないんだけど、九尾狐はもうほとんど滅びてるんだよね。少し気になったんだ。」

「仲間が増えてて安心したが相当に強いな、向こうのチームは。今敵として会ったら確実に即死だろうな。」

「そんなフラグ立てないでくれよ・・・」


「じゃあとりあえず市街地のダンジョン化の地図は作成できましたね。」

「おう!モンスターがものすごい湧いてるところは俺の『参』で気づかれないように通ったからわかんねぇとこはねぇはずだ。」

「地割れで通れないところは私の『陸』で繋げておいたわ。」

「みなさん有能でいいですね、私なんてどこで使うのか・・・まぁ攻撃は無効にできるのはわかったんですけどね。」

「十分じゃねえかよ!」

わいわいと地図を広げて話し合いをしだす三人。椿と夜烏は見守るだけである。やはり小学五年生と三年生。盛り上がる時もある。

「とりあえず、別行動してわかったことを市街地を見ながらそれぞれもう一度報告しましょう。」

「おし!じゃあとりあえずはセンターモールだな!」

そう言って立ち上がったヒロカゲに続き、全員が腰を上げた。


「・・・」

その場にいた全員が沈黙していた。

再び勇者チームと導敵チームの鉢合わせである。

「あの。」

「おう。」

「今すぐ回れ右して帰っていいですか?」

「・・・さぁ。」

「どうすんだよこれ」「お前切り出せよ」「何をだよ」「死ね」「それ俺宛?」「yes」「・・・」

様々な言葉が小声で飛び交う勇者チーム。

それを見ていたテトラは、ふと視線を隣の椿に向けた。その椿は、興味深そうに目を細め、「そんな話してる場合じゃないだろう」と嗜める九炎を見ていた。

「どうかしました、椿。」

「いいや、珍しく妾と同じ種の若造がおるな、と思っていただけじゃ。」

「九尾狐はゲームの世界でも珍しんですか?」

「スーパー絶滅危惧種と言ったところかの。」

「わぉ。」

少し驚くネステトラ。

そして、ネステトラもどうしてもしたいことがあったのだ。

「あれが食べたい・・・」

ここのエリアボスであろう巨大ウナギが川を泳ぐのを眺めながらネステトラが呟く。

「まずは目先の問題だろ。それに地区のボスを破壊しないとエリアボスにはたどり着けないしな?」

「そうですねぇ。」

「ふむ・・・おい若造。」

「誰が若造だって?」

「お主じゃよ、わかっておるじゃろうに。」

「クソBBAのくせに。」

「誰がクソババアじゃクソ狐。」

「クソババアも狐だろう。」

「クソまで行っておらんわクソ若造。」

バチバチと火花が飛び散る二人の視線がぶつかり合う。

「「どっちもクソだろ」」

「「殺すぞ」」

珍しい夜烏の暴言とメネの言葉がマッチ。

がっしりと握手を交わす二人。

「じゃあ今回の勝負はそちらの狐さんと椿の試合ということで。」

「おう。」

「「開幕ー!」」

こちらにも手を取り合う二人が。(メストとミラ)




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