新たな仲間は
いきなりの笑い声にネステトラは思わず肩を強張らせた。
「ふふふ、気に入ったぞその名!」
「いい、名前、ありがとう、ございます。」
「ということは・・・」
「ああ、条件の話をせねばなるまいな。
簡単なことじゃ。ここはゲームの世界。主人公も居るし、それを導く、敵役でもあり導き役でもある者や完全な敵も必要じゃ。その導き役兼敵役になること、それだけじゃ。」
「つまり世界の敵になれということですか?」
「その通りじゃの。しかも唯一現実の時からこの地にいた敵じゃ、非難を浴びるじゃろうのぉ。その代わりに我らが味方になる、ということじゃ。」
「・・・ということは、敵はみんなゲームになってから生まれた者たち、と?」
「自分、から、盗賊になったり、する者も、いるには、います。」
「因みに我らのような仲間になった者はゲームが終わっても消えはせぬ。さあどうする?」
微笑を浮かべ口にする椿に、ネステトラは一瞬で頷いた。
「大歓迎ですね。楽しそうじゃないですか。存分に悪役やってやりますよ。」
「決まり、ですね。私の、お嬢様・・・」
「よろしく頼むぞ、我が主人よ。」
「こちらこそ、お願いします。椿、夜烏。」
こうして二人の仲間を連れ、ネステトラはその場を後にした。
「ところで、二人はステータスとかあるのですか?」
「あります、よ。透視で、見てみて、ください。」
夜烏に言われ、使ってみると、
「は!?」
あまりにもぶっ飛んだ数値だったため言うのも憚られたネステトラが絶句していると、
「おおそうじゃ。妾たちの種族を言わねばならぬな。妾は黒銀毛の九尾狐じゃ。大きさは10メートルまでなら変えることができる。このように人の形を取ることも可能じゃな。」
「私は、黒天使、です。あまり人の、言葉を話す、ことがないので、このような、途切れ途切れに、なるのです。翼は、広げたら5メートルくらいは、ありますよ。」
「いやどんだけチートな仲間作っちゃったんですか私。ていうか夜烏さんバランスおかしくなりません?」
「あの、お嬢様、なので敬語は・・・」
「いえ、これ私の普段の言葉遣いなので。」
「ならばさん付けはやめてくれはせぬか?主人なのだからな。」
「わかりました、それはやめましょう。ところでまだ教えることとかありますか?」
「まだまだある。」
「おい!覚えられないんですけど!?」
突っ込むネステトラに、夜烏が自分の喋る言葉でなにかしらを椿に話しかける。椿は頷くと、空間から一振りの刀を取り出した。
「これはとある妖刀じゃ。名を『悪意 ロベリア』。一度でも斬られた相手は斬られた部分にロベリアの花が咲き、生命を吸収される。まぁ一撃必殺じゃな。これは妾が最初に手渡した者以外が触ると斬られた時と同じように生命を吸収する。」
「あと、お嬢様は、メドゥーサと、人の、ハーフに、なっておりますので、目には、お気をつけ、ください。味方には、効果は、発動しません。身体能力は、格段にあがり、刀の、使い方も、体に染み込んで、おりますよね?」
少し考える素振りを見せたネステトラは、まとめた。
「・・・あとでしっかりまとめますけどとりあえず私チートレベルってことでいいんですか?」
「・・・まぁそういうことじゃな。ついでにその呪詛は気にせんでも良いぞ。」
「は?呪詛って・・・なるほど。」
ネステトラが体を見下ろすと、右半身にまるで刺青のような模様が浮き出ていた。
これはまぁ気にするなというのだろう。
顔は窓で見ると、右目の下あたりに黒の模様、右目の上から下までは赤の模様が浮き出ていた。
「それは、ロベリアとの、契約の、証です。椿が、吸収すると、申しましたが、刀は、生きています。その呪詛は、ロベリアが、自分のものだ、という証であることを、示します。それと、その呪詛を使い、上級の、闇系スキルが、発動できると、思われます。」
(なるほど、先程のスキル習得通知はこれですね。)
「ちなみに服はこれで頼むぞ。」
椿から渡された服は、キャミソールワンピースだった。黒一色の。
着替え中
「ザ悪役なんですけど。」
「悪役、ですから。」
黒のワンピースドレスを纏い、右半身と顔に模様のある、ホラーでよくある導き役の少女に似ていた。
「右目が変色することもあるかもしれんがそこも気にしなくて良い。」
「了解です。」
腰のベルトにロベリアを差し、いつでも抜ける位置に置いて、
「さ、拠点探しといきましょう。」
二人の仲間に声をかけ、ネステトラは歩き出した。
今回わかったこと
・主人公と敵、導き役兼敵役でゲームの世界は構成されている。
・ゲームになってから生まれた敵は、導き兼敵役の者たち以外は現実の時にはいなかった。
・悪意のロベリアは、敵を斬ると斬りくちに花が咲き、完全に咲くと斬られたものは闇に飲まれ消滅する。
この斬られたものは、ロベリアの力となる。刀であるロベリアは生きている。
・ネステトラは人とメドゥーサのハーフになっている。味方には石になる効果は発動しない。ロベリアとの契約のためか呪詛が右半身と顔にある。
・呪詛を使い上級の闇系スキルが発動できる。
今回会話ばっかりで分かりずらかったですね、最後にまとめておりますが、不明な点があれば教えてください。お答えします