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ゲームスタート

とある世界のとある国、とある町のとある学校。

とある少女とクラスメイトたちが授業を受けていた。

外国の生徒も本国の生徒も入れ混じるこの学校で、外国の少女にしてはあまり想像のつかない本当に真っ黒な黒髪に、これが金髪であれば外国の子だな、というような腰までのウェーブの黒髪。

制服が黒いため、全身が黒々とした少女である。

名をネステトラ・ビオ・グレンツェ。

ネステトラと呼びにくいので、ネス、もしくはテトラと呼ばれる。

「------------であるからして、これが---------」

という教師の声をほぼ無視してネステトラは窓際を見つめる。

この学校には初、中、高等部以外に幼稚園や保育園などの施設も存在する。

ましてや孤児院まであるのだからかなり大規模である。


五分休み。

中等部からは10分になるようだが、基本的に初等部は五分。

ふー、と息をつきながら教科書を片付けていると、このクラス、というか初等部の中でたった二人の友達が声をかけてくる。

「テートラっ!じゃんけんの続きしよー!」

「こんぼごぞぼれがかづがらな!」(今度こそ俺が勝つからな)

「っておまっ!早弁やめなさい!」

「コントみたいって言われません?」

呆れ気味に言うネステトラ。

こんなにぎやかな二人だが剣道と勉学の腕では凄まじい。高等部の先輩と帰り道の近い女子のメスト。学者ですら作ることができなかった人間の天敵の、ある病を打ち消す薬を作ったのがこのメストである。

剣道の天才のヒロカゲ。

様々な大会優勝の成績をおさめる。

その実力は大人のプロだろうがチャンピオンだろうが敵わないほど。

「そういえば今日私大凶だったのよね、占い。」

「ああ、俺も俺も。」

ヒロカゲが言う。早弁はやめたようだ。

「私もです。」

「世界の人々が死の危険にさらされるでしょう・・・だっけ?意味わかんないよね。」

「でもあれ結構当たりますよね。」

「不吉なこというなよー。」

ピロン♪

大きな音がクラスに響く。全員の携帯にメールが届いたのだ。

『このメールが届いて五分後、世界はゲームの世界となります。コンティニュー不可、命をかけたゲームをお楽しみください。もし元の世界に戻したければクリアしてください。それも、主人公が。それでは与えられた役割を果たし、シナリオクリア目指して頑張ってください。そろそろ、2分ですね?w』

クラスは騒然となる。

「なんだよこれ!?」

「誰かのイタズラ!?」

「なんか怖い・・・」

「静かに!静かに!」

クラスの騒ぎを聞きつけて飛んできた先生がみんなの騒ぎをおさめようとする。

「あの、少し静かにしましょう。他のクラスや先輩たちが騒いでいたら、念のため避難を、ということで・・・」

ネステトラの声にクラスは静まる。

「さすがね、クラス委員長補佐。」

「そんな係ねぇだろ・・・」

メストとヒロカゲが言う。

そして、クラスの全体が出した結論。

「騒いで、ますね・・・」

少し困ったようにネステトラが言う。

「とりあえず狭いところにはいないようにした方がいいな、散り散りにならない方がいい。」

「違いますよ、これは悪質なイタズラです!」

ヒロカゲの声に先生が叫ぶ。

そこに、メストが加わる。

「クラスが静まったのはテトラのおかげなんですよ?テトラを信用してるってことです。テトラの意見に従いましょう!」

クラス全体と先生との言い合い。

初等部では殆どその騒ぎが起きているようだ。

「私、一年に妹がいるの・・・」

「俺も二年に弟が・・・」

「ですから!そんなメールなど・・・」

「3・・・2・・・1・・・5分です。」

ネステトラの声にクラスはシン、と静まった。

そして次の瞬間。

ガァァァァン!

廊下側の壁が凄まじい音を立てて崩れ、悲鳴が響く。

「なに!?なにこいつっ!!」

「みなさん、なるべく散り散りに逃げてくださいっ!!」

ネステトラが張り上げた声に、みんなが散り散りになる。

次の瞬間、ネステトラは目にした。

壁を壊しクラスに侵入してきたモンスターの口に入れられるクラスメイトの姿を。

モンスターの足元には赤い血が水たまりのようになって広がってゆく。

そして、隣の席の女子がモンスターの足をつかみ、持ち上げその足を二つ持って引き裂き・・・

その子が一瞬悲鳴を上げ、引き裂かれる瞬間を、どうしても視線を外せなかったネステトラは凝視してしまい、ボタボタと垂れる血をネステトラは見ていた。

そして我に返り、何処に向かうなどの検討もつかぬままモンスターに気付かれぬよう机の下を通り、そっと教室を後にした。


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