別れた町人たち
血飛沫をあげながら狂ったように人を殺すネステトラに、ディアは、
「やっぱり変わっちまったな・・・」
と呟いた。
「あーくそ!キリねぇじゃん!」
ヒロカゲが言い、人をぶん投げていた夜烏がネステトラに言う。
「お嬢様、そろそろ退散しては?」
「そうですね、面倒臭くなってきましたしね。」
そして、ロベリアを鞘に収めると、
「じゃ、走りましょうか。」
「武器なしで!?」
思わずツッコミを入れたヒロカゲに、
「私の能力使いますよ。はい、走りますよー!」
その間延びした声でネステトラ達は走り出す。
「個有スキル『零』」
個有スキルとは、その名の通りその個人だけが持つことのできるスキルである。気づかれることなく動けるヒロカゲの『参』や、少しだけなら陸を動かしたり繋げたりするミラの『陸』も個有スキルだ。
『零』の発動で、全ての攻撃が戻される。弾丸は銃に戻り、剣は鞘へと収まる。
その隙にネステトラたちは路地へと姿を消した。
「まったくもう・・・」
心底疲れた様子でミラが魔力を回復する。
スマホのアプリにショップが足されていたのだ。そのショップに回復薬があったので、それを使用している。ヒロカゲやネステトラは座り込んで休憩しており、椿や夜烏はあたりを警戒しているようだ。
「ミラも回復したようですし、ボスでも破壊しに行きますかね。」
そう言ってネステトラが立ち上がった時だった。
「ヒロ兄ちゃん!」
「げっ!?」
ヒロカゲが後ずさる。ヒロカゲのことをヒロ兄ちゃんと呼ぶのはネステトラもミラも一人しか知らない。それは、
「ヒロミかよ!?」
ヒロカゲの弟、ヒロミだった。
「姉ちゃん!ミラちゃんいたよ!」
「ミラ!」
その後をミラの姉であるモネが走ってくる。
「なんで姉さんがいるの!?」
「お母さんも心配してるのよ!いくら敵になったからってちゃんと帰ってくるくらいしなさいよ!」
「兄ちゃんも兄ちゃんだよ!モネ姉ちゃんの言う通りだよ何自分関係ねーしみたいな顔してんの!?」
姉、弟と喧嘩を始める二人を見ながらネステトラは我関せずといった表情でそれを眺めていた。
「「テトラ説明よろしく!」」
「なんで!?」
突然話を振られた挙句説明を放り投げられたネステトラが敬語も忘れて驚く。
「あーっとですね、かくかくしかじかこういうことです。」
「「なるほど。」」
「それでわかったのかよ!?ってツッコミはコメディによくあるよな。」
「そうね。」
かくかくしかじかによって説明を簡単に終えたネステトラが状況を聞くと、
「なんか導き兼敵役の人たちがこの現象を起こしたって思い込んだ人がいて・・・」
「その人たちは大体隣町とかね。ヒロカゲくんとかミラとかテトラちゃんはよく商店街や町のお手伝いをしてくれたりしてたでしょ?そんないい子達がこんなことするはずがないって、この町はあなたたちの味方よ。だからとりあえず私たちの集まっている公民館に来てくれないかしら。」
今回短いです。ごめんなさい(_ _)




