九尾狐vs九尾狐
「開幕!」
そう言ったミラの合図で九尾狐たちの戦闘が開始される。
九炎の赤い炎と椿の青い炎がぶつかり合う。
椿は余裕なようで扇をパタパタと煽いでいる。
「やはり力もまだまだ若いのう。押し切らせてもらう!」
椿の周りに青い火柱が立ち上り、椿の姿が見えなくなる。その次の瞬間、椿のいた場所には青い炎を纏う金色の10メートルはあろうかという巨大狐が佇んでいた。九炎もそれを最大限の炎で迎え撃つ。
椿は本気を出すつもりはさらさら無いのかポッと炎を灯すだけだ。
「本気を出す気は無いようだね・・・!」
「若造に力を使う方がバカというものよ。」
ククッと笑う椿。
「お前何食って・・・・・・・・・・悪りぃ、俺トイレ。」
「ぐぇぇぇっ。」
メネがその場で嘔吐。ディアは口元を押さえトイレに走って行った。
慣れているミラやヒロカゲも少しキモいと思ったほどである。
それは、ネステトラが今捕食しているモンスターだった。
ゴブリンだったのだが、どろりとした青い血を撒き散らしてネステトラの蛇が引き裂いてがっついていた。
「おい、主人さすがにそれを捕食するのは気持ち悪くないかの・・・」
「お嬢様さすがにそれはダメです!」
勝負中だった椿が戻ってきてネステトラを止める。
「まぁこれは引き分けでいいよね?」
九炎の一言に椿が頷く。
「ごめんなさい、あまりにもお腹空いてたので。」
「んじゃ、持ち越しだな。」
「ですね。」
勝負の終わり方が若干腑に落ちないという気もしたが、一度目の勝負は引き分けという形で決着がついた。
「次は、きっとこんな仲良くはいかないでしょうがまぁお互い頑張りましょうね。」
ネステトラとディアがお互いに背を向ける。そのとき、銃の狙撃音がした。
勇者チームも導敵チームも身体を強ばらせる。
撃たれたのは導敵チームの方だったようで、ネステトラの咄嗟の抜刀で弾丸は真っ二つに割れた。
「何!?」
メストが動揺する。
「勇者様!」
それは、町人たちだった。あまり見たことの無い者たちが多いので、隣町とかからだろう。
「おまえたちはこの元凶なんだろ!?さっさと元に戻せ!」
そして、もーどーせ!もーどーせ!と大合唱が起こり始める。
「俺たちに言われてもなぁ・・・」
「最初は私たちだって死にかけてるんだけど。」
「私なんてナイフ手に入れるまではバケツに隠れてやり過ごしてた時期ありましたからねー。」
「バケツってやり過ごせたのか・・・」
武器手に入れるまで悲しかったなぁ・・・と悲哀を滲ませるメンバーをよそに戻せの大合唱はまだ続く。
「だーから!俺たちじゃなくて黒幕に言えっての!」
「そもそも戻し方なんて知らないわよ・・・」
「全く人間というのは・・・」
「これに関しては賛成だね、人間ってのはろくなのがいない。」
椿に続いて九炎も呟く。
そこで、町民たちが総攻撃を仕掛けてくる。こちらが何もしないとわかったら強行突破である。
「浅知恵のくせに!」
ミラがキレたのかランプを振り、金と紫の蝶が飛び交う。
「うぇ・・・人間やんのかよ・・・」
うげぇ、と言いながらも斧で人間を吹き飛ばすヒロカゲ。
ネステトラはディアに言う。
「ま、こういうところが違うんでしょうね。」
そして、遊ぶように抜刀し、次々に人を切りさいていった。
そして、血まみれの鬼のようなネステトラが冷めた黒い笑みを浮かべる。
「次は誰ですか?」




