悪役たち
耳をつんざくような悲鳴と共に壁がガゴォォォン、と崩れ落ちる。
男が四人と女が六人、それを聞いてため息を吐いた。
二言三言言葉を交わし、外に出る。
いつの間にか湧いて出たスライムたちを簡単に引き裂き、貫き、祓いながら6人は悠々と歩く。
悲鳴の主が死のうが彼らには関係がない。
なぜなら彼らは、
「悪」だから。
「た、助けて・・・」
ピクピクと痙攣しながら伸ばされる手とその少しの希望を見たような表情を、目の前にしゃがんだ少女は一蹴した。
「気づいていないんですね、お可哀想に。」
一拍置いて、
「あなた、下半身無くなっちゃってますよ?」
「え・・・?」
初めて気づき、あまりの痛みに絶叫する女性を一瞥し、下半身を喰らったモンスターを見つめる。
「ぅー。こいつら強いかもなんだよ、テトラぁ。」
幼い巫女服の少女が言う。
「そうですか、じゃあみんなでがんばりましょうね。」
さらっと言い、6人のそのうち四人が「元」学生であるパーティーはただいまより彼らの何十倍もの身長を持つボスモンスター『ニゲルダ』に挑む。
『ピロン』
『エリアボスモンスター『ニゲルダ』との戦闘が開始されました。勝利すればエリアが拡大されます』
6人の携帯にメールが届く。
同じように、世界中の人々にこのメールが届いたことを知りながら、6人は戦闘を開始した。