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1枚目
遭難1枚目
学舎で帰り支度をしていた……はずだった。
何かが割れる音が聞こえたんだ。
新学期早々に誰かが窓を割ったらしい、先生に叱られるぞ。と、そう思った。
だから練習場のある方を向いたんだ。
……そこには何もなかった。
断崖絶壁。
周囲は吹きさらしの荒野。
遠くでは翼の生えた豚の群れが空を舞い、何処からともなく現れた巨大な魚に一飲みにされ、かと思えば突如魚が破裂し小さな魚の群れとなり、現れた時と同じように何処かへと消えていった。
急に日が傾いた。
空を見上げれば、足が4本生えた太陽が、のろのろと南へ歩きだしており、替わりにとでも言うかのように、二足歩行の兎の影がのろのろと月を背負って歩いてきた。
ここはどうやら普通の場所では無いらしい、元の場所に戻るために帰り道を探さなければ。