泣き虫少女の思う事
昔から透は泣き虫な女の子だった。何かあるとすぐに泣いた。でも、体質のせいか透の目は赤くならなかった。透にとってそれは好都合だった。泣いたことを知られたくなかったから。
「透は泣きたくなることある?」
耳に残っていた。
「あるよ。」
透はそれだけ言って笑った。
「そんな時どうしてる?」
「どうだろうねーw涙が出たら泣くし出なかったら泣かないかな。」
「何それw」
そう言って彼女は笑った。
「私はね、泣き方を忘れたんだ。」
悲しい声だった。
「泣いちゃいけない気がしてさ。」
透は何も言えなかった。色々なことを思ったはずなのに。
ー泣き方なんて僕も知らないよ。それでも涙は出るんだ。泣いちゃいけないんだったら、僕は何回いけないことをしたんだろう。泣けないなんてただの思い込みだろ!ー
ほら、また泣きそうになった。
いつか、伝える時は来るのだろうか。