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キノコ摘みと質屋と武器

俺達は依頼をなんとかこなしたのは良かったが宿が見つからず困っていた。松平の案で修道院に泊まることになったが…何か裏がある。そう思いながらも俺は修道院で寝た。


そして翌日…

「おはよう、鏑木君。」

ムカつくまでに笑顔で現れた松平がそこにいた…

「ああ…で?今日は何をするんだ?」

俺は少しその顔を見て不機嫌になり、そう言った。

「これから話すところだよ。一階に来てくれ。」

松平はそれだけ言って一階に行った…


「鏑木…遅いぞ?」

海道か不機嫌そうに俺を睨むが関係ない。

「遅いのは生まれつきなんでね…」

俺はそう言って席に着いた。

「おはようございます~…眠い…」

そう言って現れたのは田沼だった…そういえばこいつ低血圧だったんだ…

「揃ったみたいだね…今日やるべきことは教会からの依頼でキノコの一種…ダイナダケを摘んでもらうよ。」

松平が全員揃ったことを確認しキノコ摘みと言うレベル上げにもならないことを提案してきやがった…

「キノコ摘み?んなもんこいつらに任せればいいだろ?」

案の定、海道は不満そうな声を出し俺達に押し付けようとした。

「ただのキノコ摘みだったら修道院にいる人たちで十分かもしれないけど…今回はそうもいかない。ダイナダケはリザードマンの一種のダイナという魔物に繁殖しているんだ。」

それでダイナダケか…難しいもんだな。

「なるほど…つまりダイナダケを摘むにはダイナを倒せばいいってことだな?」

海道がそう言ってダイナを一刻も早く倒そうとウズウズしている。

「いやダイナダケの厄介なところはダイナが生きている間に取らなきゃダメなんだ。そうしなきゃダイナが消えちゃうからね…」

松平は頭を抱えて、悩んでいた…まあ恐らく強すぎる勇者様かいどうがいるせいだろうな。手加減出来ずに殺しました…なんてことがありそうだ。

「しかしよくそんなこと知っているな…」

もっとも俺が気になったのは松平がそんな知識を蓄えていたことだ。俺はなんでそんな知識があるのか聞いてみた。

「ああ…それなら昨日の夜と今日の朝にこの教会にある本を読んだからね。教会に必要な回復効果をはじめとした効果のある植物やその入手方法も書いてあったし少し詰め込めば楽だったよ。」

松平はそう言って分厚い本を取り出した。

「こんなに覚えられるのか?」

俺はその量に思わずそう言ってしまった…辞書みたいに分厚い本だぞ?詰め込んだだけで覚えられるか!

「いやいや流石に見ただけじゃ覚えられないから生徒手帳のメモ帳に軽くまとめてあるよ。」

松平は生徒手帳を出してまとめたページを見せた…流石エリート組だ…メモ見やすいな。


「このページを見て貰えばわかるけどダイナダケはダイナの背中にひっついている。だから背後に回る必要があるから囮が必要だ…その囮は海道君にやってもらうよ。」

そう言って松平は海道に囮の役割を指名した。

「よし!やってやるぜ!」

海道は意気込んでおり、そう答えた…しばらく見ない間に戦闘狂になっていたのか?

「次にダイナダケを取る役割についてだけど…速の数字が高くなった僕がやろう。」

松平はダイナダケを取る役割を選択して俺達を見た。

「残りの二人は海道君のサポートをお願いするよ。」

全く…要するに海道の邪魔をするなって事だろ?まあレベルが低いのは事実だしどうしようもないか…

「それじゃまずはお金と武器を調達しに行こうか!」

松平は笑顔でそう言って、俺たちは武器屋に行くことになった…


最初は金の調達のために質屋に向かった。

「店主さんちょっといいですか?」

松平がそう言って質屋の老人の店主を呼ぶと店主は興味深そうに俺達を見た。

「おやおや、これは珍しい格好をしているの。」

そう言って店主は不思議そうな顔で俺達を見つめた。

「店主さん。実は…」

松平はある程度店主に事情を説明した。

「ほう…なるほどなるほど。つまりお前さん達は文化も大きく違う遠い国からやってきたのは良いがお金が使えないと。」

「ええ、お金の価値は大体はわかるんですが…僕達の持ち物でコレクターに売れるものがあれば売りますがどうでしょうか?」

「そうですな…一応ガラクタと思えるものも見せてくれますかな?そういったものが案外売れる…」

「なるほど…」

全員がそう言って、財布の中にある金(といっても俺は124円しかなかったが)やカードあるいはレシートを出して、俺はブレてしまった写真やここに来た際にぶっ壊れた携帯とゲーム機も出した。

なんでそんなものがあるかというと学校の放課後にやろうとしたんだよ。結局修道院に壊れたことがわかり俺は売ることを決意した。

「ほうほう…面白い…」

店主はそれを見てトリップしてしばらく帰ってこなかった…


「すまんね…それじゃ鑑定結果を渡すよ。」

そう言って店主は白金貨4枚を俺達に渡した。

「こんなに…!?」

ちなみに金貨は一枚につき100万円相当の価値でその上位にはあたる白金貨は1億円、金貨の下に当たる銀貨は1万円、俺達がもらった銅貨は100円相当だ…つまり10億相当の金をもらったってことだよ。

「ワシはね、君の出した不思議な物の二つが価値があると踏んだんだ。」

そう言って俺を指差した。

「俺?」

「うむ。あの二つの謎の物体は見たこともない金属があり高く売れると判断したんだ。」

「なるほどレアメタルか。」

海道がそういって頷いた。

「レアメタル…確かにそうだね。それは高く売れるよ。」

レアメタル…ああ思い出した。確か俺達のいた世界でも滅多に取れない金属だったな。

「あの金属はレアメタルというのだな…そうだ。この首飾りをやろう。この首飾りは竜の首飾りと言われており、昔ワシが英雄と呼ばれた者から貰った物だ。受け取れ。」

そういって老人は俺に首飾りをかけた。

「さあいつまでもワシに構わず行くがよい。」


次に武器屋だが…

「けっ!てめら初心者がまともな武器なんざ早い早い!これでも受け取りやがれ!頑丈にはできてやがるから安心して使え!」

といってなまくらの剣を貰い、俺達は別の武器屋に行こうとした。


「ん?」

しかし、俺は突如気になる槍を見つけた。

「三人とも…先行ってくれ。少し残る。」

俺は武器にとどまり武器屋のおっさんに尋ねた。

「おっさん、あれくれないか?」

そういって俺は槍を指差すとおっさんは困った顔をした。

「あ?あんな槍が欲しいのか?ありゃ呪われていんぞ?握るといきなり身体が重くなって使えたもんじゃねえ…俺が運ぶ時も注意して運ばなきゃならなかったしな。」

「それでも欲しいんだ…頼む!」

俺はあの槍が欲しくて堪らない…それこそゲームや携帯を際引いてもいいくらいだ。

「まあ、いいだろう。そこまで言うんなら仕方ねえ…処分品なんだ。白金貨1枚で売ってやるよ。」

「処分品ならもっと安く出来ないのか?」

俺はそう言って抗議するが…

「あのな…この槍は白金貨10枚もして買ったんだぞ?その1割で売ってやるって言ってんだ…わかるか?」

俺は武器屋のおっさんが哀れに見えて来たので素直に白金貨を出した。ちなみに白金貨は1人1枚に均等に分けたので俺の金はもうない…

「それじゃ少し待ってろ。」

そういって武器屋のおっさんは槍を慎重に運んだ。

「ほらよ。まあどうせ使えないし記念として持ち帰りな。」

そういって武器屋のおっさんは槍一式を俺に渡した。それに感激するあまり、田沼と松平の武器の調達の様子を覚えていない…


そもそもダイナとは一見すると恐竜のような魔物だが実際にはリザードマンの一種である以上は森や山の中で住むことが多い。それ故に俺達は上位種が出ない海沿いの森の中へと向かった。

「いたぞ…」

海道がダイナを見つけて指差した…

「よし、それじゃ合図をしたら皆で襲いかかって。」

そう言って松平は合図を教えて、周り込んだ。


そして合図が出ると俺達3人はダイナに襲いかかった。

「っ!?」

ダイナはいきなり俺達が現れたことに驚き硬直した。

初級雷撃呪文ショート!」

硬直してしまったダイナの隙を海道が逃すはずがなく、海道の呪文がダイナに直撃してダイナは痺れてしばらくの間は動けなくなった。


そして松平が後ろからダイナの背中に飛び乗り、ダイナダケを引っこ抜こうとする

「GAAAA!?」

ダイナは松平を落とそうと必死で暴れ、もがくが松平は離れなかった。

「大人しく…しろっ!」

ブチッ!

松平はそう言ってダイナダケを引っこ抜いた…上手いな。

「よし!ダイナダケをとったよ!」

ダイナダケを引っこ抜いた松平がそう言って背中から飛び降りて逃げる…

「GAAAAAAA!!!」

ダイナはダイナダケを抜いた瞬間大暴れして松平に襲いかかってきた。フォローしないとな…

「くそ…鏑木君パス!」

そう言って松平は俺にダイナダケを投げてきた。

「GAAAAA!!」

それを掴むとダイナは標的を俺に変えて突進してきた。それを避けようとするが俺には速が足りないために避けることは出来なかった…


「鏑木君、危ない!!」

田沼が俺を突き飛ばしてダイナの突進を受け…吹っ飛んだ。

「田沼!!」

俺は田沼の方向を吹っ飛ばされた方向を見ると最悪なことに海のある崖だった。いくら海があっても崖は崖なので田沼が生きている可能性はないと思い、俺はショックを受けて硬直してしまった。

「鏑木君、前!」

そして松平の声で俺は前を向くとそこにはダイナが目の前にいた。慌てて武器屋から貰った剣でガードするが…無駄だった。

「UOOOOOOOOON!!」

そしてダイナは俺を田沼と同じ方向に突き飛ばした。

「がはっ!?」

俺は宙に浮き、いつしか崖の上に浮いており…一気に落ちた…死んだな、これ。最後に一言言わせて貰うぞ。異世界にトリップしてから2日目で死ぬって…

「情けねぇ…」

俺はそれだけ呟くと死を覚悟して目を閉じて…走馬灯すら見ることなく意識が消えていった…

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